知ってると得するプラークと歯石の違い

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歯磨きがおろそかになったときに、白色または黄色のネバネバとしたものが歯についていた経験はありませんか?舌触りがぬるっとしていて不快ですよね。

私たちの体の中にはもともと常在菌という細菌やカビが存在します。お口の中も同じで500 ~700種類の常在菌が住み着いています。常在菌には善玉菌、悪玉菌がいて、お口の中の食べカスをエサにして増殖していきます。それがプラーク(歯垢)です。

プラーク 細菌

ここでは、「プラーク」と「歯石」の違い、放置するとどんなことが起こるのか、またそれらをお口の中に残さないためにはどのようなことが必要なのかをお話させていただきます。

1. プラークを放置すると歯石になります

プラークとは食べカスをエサにして増えていく細菌の塊です。
このネバネバしたプラークが、唾液中のカルシウムによって硬い石のようになったものが歯石です。

歯石

1-1 プラーク(歯垢)が付着する3つの理由

唾液減少による自浄作用の低下

食べカスや細菌の多くは、お口の中にある唾液の(※)自浄作用によって流されていきます。
しかし、年齢薬の副作用、またよく噛まないで飲み込むような食事をすることで唾液の分泌は減少してしまい、食べ カスや細菌が流されずに留まってしまいます。 

(※)自浄作用
唾液には食べカスや細菌を洗い流す作用があります。年齢や薬の副作用、またはよく噛まない食事によって唾液の分泌は減少することにより自浄作用が低くなります。
唾液にはその他にも細菌の増殖を抑える抗菌作用、歯の表面を再生して虫歯から保護する再石灰化などの機能があり、お口の中で大切な役割を果たしています。

やわらかい食材による咀嚼回数の低下

硬い食材をしっかり噛んで食事をすることでもプラークは除去されます。また、噛むことによって唾液の分泌も促されます。あまり噛まずに飲み込めるやわらかい食材ばかりを食べていると、プラークは除去できずに留まっていきます。

歯磨きでの磨き残し

プラークはネバネバとしたやわらかいものなので歯ブラシで除去することができます。しかし毎日歯を磨いていても、歯ブラシがきちんとあたっていない部分があれば、磨き残しとなり細菌が増殖してプラーク(歯垢)となります。

1-2 歯石になる過程

プラークを取り除かないで放置すると、唾液中のカルシウムによって硬い石のようになります。それが歯石です。
溜まった細菌が唾液によって歯石になるということは、唾液がたくさん出てくるところは歯石になりやすいということになります。
歯石がつきやすい場所としては、唾液腺付近である上の奥歯の頬側下の前歯の内側です。

歯石に変わるまでは約2日

プラークが硬い歯石になるまでは2日程度。あっという間ですね。
まる2日間まったく歯磨きをしない状況になることは、よほど体調を崩したり、とんでもない非常事態に陥ったりしないかぎりはないとは思われますが、歯ブラシがきちんとあてられずにプラークが溜まりやすくなっている部分は、結果としてそのまま歯石になりやすいということです。
歯石は字の通り、石のように硬くなった状態なので、歯ブラシで取り除くことはできません。また歯石の表面はでこぼこしているため、更に細菌が溜まりやすくなっていきます。

2. プラーク、歯石を放置すると虫歯や歯周病の原因になります

歯の表面に付着した食べカスをエサに細菌が増殖してプラークになりますが、付着した食べカスの中でも糖分を含んだ食物は虫歯菌とも呼ばれるミュータンス菌により分解され、酸になります。その酸が歯のエナメル質を溶かすことにより虫歯になります

歯周病の原因もまたプラークによる細菌感染です。歯と歯茎の境目に入り込んだプラークが歯石となり、歯肉の炎症を引き起こします。
歯石は歯周病菌の住み家になり、そのまま放置すれば歯周病が進行していきます。歯周病は進行すると歯を支えている骨を溶かし、最悪の場合は歯を失うことになります。

3. プラーク、歯石を取り除くために実行すべき3つの方法

虫歯や歯周病を防ぐためには、その原因となるプラークや歯石を取り除くことが大切です
プラークはネバネバとしたやわらかいものなのでブラッシングで取り除くことが可能です。しかしプラークが石灰化して歯石に変わると歯ブラシでは取ることができません

3-1.プラークがつきやすい場所を意識して磨きましょう

歯の汚れが溜まりやすいとされるのは

  1. 咬合面(歯が咬み合わさる溝の部分)
  2. 歯間部(歯と歯の間)
  3. 歯頚部(歯と歯肉の境目) 

プラークのたまる場所

上記は三大不潔域といわれ、磨き残しが多い部位なので、歯磨きの際には鏡で確認しながら、意識して歯ブラシをあてるようにしてください。

歯ブラシは大きくスライドさせて磨くのではなく、一本ずつ磨くような感覚で細かく振動させると、歯ブラシが汚れを吸着してくれます。

ブラッシング方法

LION クリニカHPより

3-2 デンタルフロスや歯間ブラシを使いましょう

歯ブラシのみだと清掃率は6割程度ですが、デンタルフロスや歯間ブラシなどの補助清掃用品を追加することによって、清掃率は8割くらいまで上がります。ぜひ歯ブラシにプラスして使用してください。

デンタルフロスはワックス加工されているものだと滑りが良く、フロス初心者でも使いやすいです
歯間ブラシは歯の隙間に応じてサイズが違いますので、一度歯科医院でどの程度の太さが適しているのか確認してもらってからの使用をお勧めいたします。フロス

デンタルフロスの使用方法はこちらに詳しく記載があります

歯間ブラシ

3-3.定期的に歯科医院でのメンテナンスを受けましょう

どんなに毎日ホームケアを行っても、完全に汚れを取り去ることは難しく、歯石がついてしまいます
歯石になる過程でお話した通り、石のように硬くなってしまう歯石は、歯ブラシでは除去できません。

歯石は歯科医院で除去してもらいましょう

石のように硬くなった歯石は歯科医院で専門家による処置によって取り除くことができます。
超音波スケーラーという機械の毎秒25,000~42,000回の振動を利用して歯石を砕いて取る、または手用スケーラーという器具を使用して除去していきます。
歯石を除去した後に研磨をして仕上げますが、この研磨処置により、歯の表面がツルツルになり、汚れや着色が付きにくくなります。

“補足”

通信販売等で自宅で歯石を取るための手用スケーラーがありますが、ご自身で歯石を取るのは歯肉や歯を傷つける恐れがあるため、お勧めしません例え傷をつけずに歯石を取ることができたとしても、ただ歯石を取っただけで歯の表面がなめらかではないため汚れや着色がすぐに付きやすい状態になります。歯石除去は歯科医院で専門家の処置を受けましょう。

定期検診は3カ月~6カ月毎に

お口の中を健康に保つためには、ホームケアと歯科医院で行うプロフェッショナルケアの両方が必要不可欠です。3カ月~6カ月毎に検診も兼ねて歯科医院でのメンテナンスを受けることをお勧めいたします
検診を受けることにより、正しく歯磨きが行えているか、また、より良い状態を保つためのホームケア用品など、あなたに適した情報をアドバイスしてもらえます

メンテナンスの費用は保険適用で3,000円~4500円程

歯石除去は歯周病治療の一環として保険で行うことができます。ただし、歯石除去のみを単独(※)で行うことは保険診療ではできません。歯石除去を行う前に、虫歯や歯肉の検査、必要に応じてレントゲン撮影等を行います

※歯石除去のみを希望される場合は保険適応外で自費(私費)診療となり、費用は医院毎の設定で5,000円~30,000円と異なります。

4. まとめ

プラークは食べカスをエサに増殖する細菌の塊で、この段階では歯ブラシで除去できます。歯ブラシで取り除けなかったプラークは、数日経つと硬い歯石に変わります。プラークや歯石は放置すると虫歯や歯周病の原因になります。それを防ぐためには、正しい歯磨き、デンタルフロスなどの補助清掃用品の使用、歯科医院での定期的なメンテナンスが大切です。メンテナンスの費用は保険適応で4000円前後です。

あなたのお口の中の健康を一緒に管理してくれる、かかりつけ歯科医院を見つけて、定期的に検診に行きましょう。

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