風邪で内科にかかって熱は下がったけれど歯茎が腫れている・・これって様子を見ていていいのだろうか?何科にかかればいいんだろう?そんな経験したことはありませんか?風邪はかぜ症候群といって鼻腔、咽頭、高等などに炎症が及んだ病気の総称です。実は風邪の後に熱は下がったのに歯茎が腫れている場合歯科にかかった方がいい場合と耳鼻科にかかったほうがいい場合があります。ここではその見分け方と対応法について解説します。
目次
1.耳鼻科に行った方がいい場合
両側の上の奥歯の歯茎が腫れている、両側の奥歯の根の奥が痛い、などの症状があれば耳鼻科が適しています。風邪というのはかぜ症候群といわれていて、鼻腔、咽頭、喉頭部の感染症です。また風邪に似た感染症には副鼻腔炎(蓄膿症)がありますので、この場合は耳鼻科で治療を受けた方がいいでしょう。鼻腔や副鼻腔は頭蓋骨に存在する空洞で、この部位に炎症がある場合には、目の奥や鼻まで痛くなることもあります。
そもそも風邪で初発にかかるのは内科でなく耳鼻科が適している場合もあるようです。
2.歯科に行った方がいい場合
-
- なぜ風邪をひくと歯茎が腫れる場合があるのでしょうか?それには2つの原因が考えられます。1つは通常の歯周病菌や虫歯菌では腫れない歯茎が、風邪で細菌やウィルスなどに対する抵抗力が落ちたために腫れてしまう場合があります。放置していた虫歯が、風邪を契機に腫れ始めるということもあります。もう一つは上気道(鼻腔、咽頭、喉頭)に感染すると、鼻呼吸がしづらく口で呼吸するようになり、お口の中が乾いて唾液の作用が働きにくく歯茎が腫れるようになります。図のように口(口腔)と鼻(鼻腔)とのど(咽頭)は近い部分に位置し、それらはつながっています。
2-1 上の奥歯が腫れている場合
症状の解説
この場合、同時に鼻や、目が痛くなったりします。鼻腔の周囲には副鼻腔という空洞があって、副鼻腔の中の上顎洞は、上の奥歯の上に隣接して存在し、上の奥歯の細菌感染は上顎洞炎にも波及します。「虫歯が進行して頭蓋骨の空洞に膿がたまった状態」、というのは虫歯菌が原因で、上の奥歯を通じて上顎洞に炎症が及んでしまった状態です。
歯が原因の場合には、一般的に片側だけに症状が発症します。
治療法
歯科で原因である歯の根の治療を行います。歯の内部の感染を除去し、二次感染が起こらないように薬を詰めます。症状がなかなか消えない、感染が除去できない場合には抜歯が選択されます。マクロライド系の抗菌薬が処方されることが多いです。
2-2 下の奥歯の歯茎が腫れている場合
症状の解説
この場合、のどが痛く、つばを飲み込むと痛い場合があります。下の奥歯、親知らずのことが多いですが、親知らずの歯茎に炎症があると、このような症状が出ることがあります。歯茎と親知らずの境から汚れや細菌が入り込んでポケットを形成すると腫れやすくなります。
治療法
腫れている部分を洗浄し、膿を出す処置を優先します。症状が重篤だったり、経過が長い場合にはペニシリン系の抗菌薬か、ペニシリン系のアレルギーがある場合にはマクロライド系の抗菌薬が処方される場合があります。症状が落ち着いたら、原因の親知らずを抜歯します。
2-3 全体の歯茎が腫れている場合
症状の解説
歯を支えている骨が無くなり歯が動くようになります。動いてしまうので、硬いものが噛めません。出血や膿が出たりするので口臭が気になったり、骨の低下とともに歯肉も下がってくるので歯が伸びたように見えます。
治療法
風邪の症状の寛解を待って、歯周炎の治療を行います。歯の周りのプラークや歯石を除去して感染を除去し、きれいにします。
もっと詳しく知りたい方は「歯周病 チェック」も参照にしてください
2-4 それ以外の歯茎が腫れている場合
風邪とは関係原因で歯茎が腫れている場合があります。1-2週間経過観察して、腫れがひかないようなら口腔外科がある歯科医院で診察を受けた方がいいでしょう。
3.まとめ
風邪の後に歯茎が腫れている場合には、鼻に関係がある場合、のど(咽頭)に関係がある場合、歯と歯の周りの歯肉に問題がある場合があります。この記事を読んであてはまる症状や腫れている部分で、歯科か耳鼻科を選びましょう。もしわからない場合には気軽に相談できる先生がいる科に通院してみてください。日ごろからかかりつけ医と歯科医をもって、気軽に相談できる先生を見つけておくのもいいですね。
参考文献:呼吸器感染症に関するガイドライン・成人気道感染症治療の基本的考え方 日本呼吸器学会・2003