知ってしまえば怖くない!写真で解説「抜歯の手順」

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皆さんは「抜歯」をしたことはありますか?また、抜歯がどのように行われるかご存知ですか?抜歯のイメージは「痛い」「怖い」など様々だと思いますが、悪いイメージの基にあるのは、ペンチで無理やり引っこ抜かれる、などの漫画や映画の1シーンの記憶からではないでしょうか。実際に使用される器具や手順を知れば、怖い事は何もありません。安心して抜歯が出来るよう解説していきます。

1.一般的な抜歯の流れ

虫歯で根っこだけになってしまった。歯周病で歯がグラグラになり歯が使えない状態になってしまった。ぶつけたり、誤って硬い物を噛んでしまって歯が割れてしまった。抜歯の原因はいろいろありますが、状態に応じて使用する器具に多少違いはあるものの、抜歯の手順はほぼ同じです。事前にレントゲンや必要があればCTなどで抜歯する歯や周りの骨、神経の確認を行います。

1-1 スプレー、ゲル状の塗り麻酔の表面麻酔をする

抜歯には麻酔が不可欠ですが、麻酔の注射が痛いと思われる方は少なくありません。針を刺す部分にあらかじめ表面麻酔を行うことでその痛みが軽減できます。

抜歯表面麻酔

1-2 浸潤麻酔を行う

いわゆる麻酔の注射を行います。最近は刺す時の痛みが少ないような針の改良もされています。表面麻酔が効いて入ればほぼ痛みは感じません。麻酔液が入る時の押される感じと腫れた感覚があります。麻酔が十分効いてくるまで3分ほど時間をおきます。麻酔 刺す

1-3 歯を脱臼する

麻酔が効いていることを確認してから、いよいよ歯を抜きます。歯は歯肉に靭帯でつながっているので歯を脱臼させる探針などで歯の周りをぐるっと靭帯を切断して、へーベル(エレベーターとも言う)を歯と骨(歯槽骨)の間に刺し込み、ぐりぐりと力を加えて歯を脱臼させます。この時はミシミシという音が骨を伝わって耳に響きますが、心配ありません。 へーベル かける

1-4 鉗子を使い抜歯をする

 形はペンチに似ていますが、鉗子(かんし)という器具を使います。上下、部位によって形が違います。脱臼した歯をしっかりはさんで、抜いていきます。

かんし つかむ

1-5 抜歯窩(ばっしか)を掻把(そうは)する

抜歯した歯の先にうみの袋がある場合があります。鋭匙(えいひ)で抜歯した穴の中(抜歯窩)を掻き出すように、きれいにします。

抜歯 掻把

1-6 割れた歯や、根が残っていないか確認する

長い間根っこだけになった状態で放置していた歯は、歯肉に埋まってしまっていることがあり見えないことがあります。また、途中で歯が割れてしまうこともあります。取り残しが無いかレントゲンを撮って確認する場合があります。歯の根っこ

抜歯直後は出血があります。止血用のゼラチンスポンジを入れることで出血が少なく済みます。抜歯窩に血のかさぶたが出来ることがとても重要なので、スポンジが気になっても取ってはいけません。さらにガーゼを噛むことで、圧迫止血をします。1015分ほどしっかり噛んでいただきます。ガーゼを外したときにまだ出血するようなら、折りたたんだきれいなガーゼや、ティッシュペーパーを噛みなおします。

抜歯後 ガーゼ

 詳しくは「抜歯後に血が止まらない人が最初にやるべき3つの処置」

1-8 痛みどめを処方してもらう     

抜歯中は麻酔が効いているので痛みはありませんが、麻酔が切れると痛みがでる場合があります。抜歯が複雑だったり、時間がかかったりすると痛みや腫れが強いことが多いです。麻酔が切れる前に痛みどめを飲むことで痛みを軽減できます。

2.親知らずの抜歯の種類と手順

親知らずの抜歯は大変なイメージですが基本は普通の抜歯と変わりません。しかし、歯の位置や生え方によって、抜歯が一般的なものより複雑になります。一般的に上より下の親知らずの抜歯がトラブルが多いと言われています。個々にみていきましょう。

2-1 まっすぐに出ている親知らず

まっすぐに生えているなら通常の抜歯と同じ手順で行います。親知らずの生える場所が一番奥なので、器具を入れるときに多少苦しいかもしれません。

普通の親知らず

2-2 横向きで少し見えている

横向きで少し見えている顎の大きさに対して、親知らずの出てくるスペースが無いと、手前の歯に寄りかかるように斜めになってしまいます。虫歯や炎症を起こす原因になるので抜歯をすることがあります。歯肉を切開して歯の頭の部分を削り取り、あるいは分割してからへーベル、鉗子を使い抜歯をします。切開した場合は歯肉を縫合することもあります。その場合は1週間後くらいに抜糸をします。  

斜めの親知らず

2-3 完全に埋まっている

虫歯にはなりませんが、手前の歯を押していて歯並びに影響する可能性がある場合は抜歯をすることがあります。歯槽骨の中にあるので歯肉を切開して骨を露出させます。骨の一部をノミで砕いたり、機械で削って歯を抜くスペースを開けます。その後歯を分割して取り除きます。親知らずの抜歯では一番難度が高く腫れを起こすことが多いです。最後に傷口を縫合します。完全埋伏智歯

詳しくは「親知らず。抜歯すべきか残すべきか。あなたの歯はどっち?」

3.矯正のための抜歯

歯の矯正を始めると、歯を移動させきれいに並べるスペースを確保するために、抜歯をすすめられることがあります。小臼歯(前から4番目)を抜歯することが多いのですが、健康な歯を抜くことに戸惑う方も少なくありません。担当医と納得するまで話し合うようにしましょう。手順は通常の抜歯と同じです。

4.抜歯の痛みを軽減するためのポイント

抜歯に関わる「痛み」は心がけ次第で軽減することが可能です。抜歯することが決まったその日から実践しましょう。

4-1 抜歯が決まったら

歯肉が腫れていると麻酔の効き方が弱い場合があります。軟らかい歯ブラシで丁寧に歯磨きをすることで、歯肉の炎症が治まってきます。また、体調が悪いのも良くないので、バランスの良い食事を取りましょう。

4-2 抜歯前日&当日

抵抗力が落ちていると、傷口が細菌に負けてしまい感染を起こしやすくなります。睡眠をしっかりとり寝不足、疲れに気を付けます。当日は痛みどめを飲むことを考え、軽い食事をしておきましょう。前日、当日共にアルコール、たばこは控えましょう。

4-3 抜歯後

痛み、腫れのピークは24日です。痛みどめを上手に服用することで痛みをコントロールしましょう。この頃に怖いのはドライソケットといわれる歯槽骨炎です。原因の多くは抜歯後の強いうがいを繰り返すことで、せっかく出来たかさぶたが取れてしまい、むき出しになった骨に細菌が繁殖して起こる炎症です。激痛を起こしますので十分な注意が必要です。

詳しくは「いつまで続く?親知らずを抜歯した後の痛み」

5.まとめ

抜歯の「怖さ」は、見たことが無い器具や、へーベルで押される力の強さや、ミシミシいう音。そんなところから来るのかもしれません。「痛み」は軽減することが可能です。参考にしていただき抜歯に臨んでいただけたら幸いです。

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