少しだけ見えている横向きの親知らずを抜く! 半埋伏智歯の抜歯が特に難しい理由

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「歯を抜きましょう」と歯科医師から言われて不安にならない人は少ないはず。
更にその歯が親知らずで、斜めになっている状態だったら心配はより大きなものになるはずです。

斜めになっていて歯の頭が少ししか見えていないのをどうやって抜くのだろう?
普通の抜歯より痛いのかな?
ちゃんと抜けるのかな?

など、考えるといろいろな疑問が出てくるのも当然です。

歯を抜く場合、最初にレントゲンで歯や骨の状態を確認し、問診によって服用している薬や既往歴の有無や健康状態の確認など、様々なことを考慮して歯科医師は抜歯を判断します。

本来抜歯は「外科的な手術」であり簡単な処置ではありません。
特に親知らずの抜歯は骨の密度が高く硬い下の顎の歯の方が難しいとされています。

さらに親知らずの根の先端付近には神経を伴う血管があり傷をつけてしまうと後遺症が残ることもあるので、CT撮影で歯の周りの状態を多角的に確認することが必要です。

どの歯科医師も抜歯を通常行っていますが、このようなことからも、親知らずの抜歯は経験の豊富な口腔外科での歯科医師によって慎重に進められることも多いのです。

抜歯後の痛みや腫れも歯科医の経験の差が少なからずあるようですので、HPで歯科医院の評判やCT撮影を行っているかなどを調べてみるのがおススメです。

 では、難易度の高い下の顎の横向きの親知らずの抜歯についてお話していきましょう。

1.親知らずの向きで名称と抜歯するかどうかが決まる

一言で「親知らず」と言っても、その向きや場所で名称にも違いがあり、抜いたほうが良い場合とそのまま抜かなくても問題が少ない場合があります。

抜いたほうが良い親知らずとは、親知らずが既に虫歯になっている場合や、食べ物が挟まりそのままでは手前の歯が虫歯になってしまう可能性がある場合、親知らずに歯肉がかぶっていて上の歯で噛んでしまい痛い…などの症状がある場合です。

抜く必要が無いのは、歯が真っすぐ生えていてしっかり噛めていたり、親知らずが完全に骨の中に埋まっていて一生出てこないだろうと考えられる場合、などが挙げられます。

咬合している8番

上下の親知らずが真っすぐ生えていてしっかり噛むことが出来ているので、何の問題もありません。 

1-1 完全埋伏智歯

完全に埋伏(骨の中に埋まっている)智歯(親知らず)のことです。

まれに歯の周りの骨が溶けてしまい、嚢胞(のうほう)が出来る事がありますが、腫れたり痛みがない場合はそのままにする場合が多く、定期的に経過観察を行う必要があります。

完全埋伏智歯

 親知らず全体が骨の中に埋まっているので、腫れたりしなければこのままで様子を見るケースです。

1-2 半埋伏智歯

半埋伏とは親知らずが斜めに生えていて歯の頭が少し見える状態です。

斜めになっているので手前の大臼歯にぶつかって歯との隙間も大きく、食片が挟まりやすく虫歯になる可能性が高いので抜歯になることが多いです。

また、歯肉が覆っている部分を噛んでしまうと腫れるのでさらに噛んでしまい、炎症を繰り返すので抜歯の対象になります。

半埋伏咬頭 半埋伏

 写真では親知らずの一部だけが見えています。レントゲンは別の患者さまのですが、実際はこのように斜めになっていて、これ以上出てくることが無い状態です。
歯磨きも十分に出来なくて虫歯になる可能性があります。

2.一般的な抜歯と半埋伏智歯の抜歯の手順の違い

最初にも述べましたが、親知らずの根の先端がある場所の近くには下歯槽神経という大切な神経と下歯槽動脈という血管があり、傷つけてしまうとしびれなど麻痺の後遺症が残ってしまったり、大出血を起こす危険があり、事前にレントゲンで精査することが重要です。

この場合は3Dの立体的な撮影ができるCTの画像で、歯と神経の位置関係などを確認します。

CT 下歯槽神経イラスト

抜歯の負担や痛みなどを軽減させるために出来る、抜歯前後の詳しいおすすめ情報は以下の記事で。
あらかじめ知っておけば安心!抜歯に関する注意事項一覧』

《水平埋伏歯の抜歯の手順》
① 麻酔をしっかり効かせる
② 覆っている歯肉を切開し骨を露出させる
③ 骨を削って穴を開け、歯冠を露出させる
④ 出ている部分の歯を削り分割して取り除く
⑤ 歯根を削って分割し取り除く
⑥ 抜歯窩(抜いた後の穴)の不要な組織を除去する
⑦ きれいに洗浄し歯肉を縫合しガーゼを噛んで止血を確認する 

※ 歯の根には先端が曲がっていたり、肥大していたりなど抜歯に時間がかかる場合があります。

抜歯の手順についての詳しい情報は以下の記事で。
『知ってしまえば怖くない!写真で解説「抜歯の手順」』

3.抜歯後の注意

抜歯は時間が長引いたり、強い力がかかり続けたりすることで抜歯後の痛みや腫れに影響することがあり、親知らずの抜歯では特にそのような傾向があります。

それらを軽減する為に歯科医院で処方された抗生剤や鎮痛剤を正しく服用しましょう。

特に傷口を縫合した場合は抜糸するまでは歯肉が引きつれて不自由を感じるかもしれませんが、必ず傷は良くなりますのでご安心ください。

抜歯後の痛みや腫れについての詳しい情報は以下の記事を参考にどうぞ。
『いつまで続く?親知らずを抜歯した後の痛み』

4.費用について

保険の負担割合で違いはありますが、3割負担の場合、事前のレントゲンやCT撮影で約5000円、下顎の水平埋伏歯の抜歯に関して約5000円、そのほか再診料や投薬やどの費用がかかります。

詳しく知りたい場合はあらかじめ歯科医師や受付で確認することをおすすめします。

5.まとめ

抜歯は誰にとっても怖いものです。
しかし抜歯前の生活習慣の見直しや体調を整えることを心掛け、抜歯後は注意事項をきちんと守り、鎮痛剤で痛みのコントロールをすることで抜歯の傷は必ず良くなっていきます。

ですから抜歯を必要以上に怖がることはありません。少しでも不安があれば納得できるまで歯科医師に相談して確認しましょう。

抜歯が無事に終わることを願って、少しでもお役にたてましたら幸いです。

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