歯科予防先進国のスウェーデン式歯磨き法「2+2+2+2テクニック」をご存じですか?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

スウェーデンが歯科予防の先進国といわれていることをご存じでしたか?
スウェーデンはインプラントの発祥国でもあります。

スウェーデンにおける歯科予防の意識は非常に高く、80歳時点での平均的な残存歯数(虫歯などで抜け落ちたりしていない、口の中に残っている歯の数のこと。インプラントは含まない)は21.1本となっています。

一方で、日本の80歳時点での平均残存歯数は13本と、スウェーデンに比べると8本もの差があります。
(※厚生労働省平成29年度歯科医疾患実体調査より)

実は、以前のスウェーデンは日本よりも虫歯や歯周病が原因で歯を失う人は多かったといわれています。

その現状を嘆いたスウェーデン政府は、国家的なプロジェクトとして「予防歯科」というものに1970年代から力を入れることになり、その考え方が現在も国民のあいだに浸透し、少しずつ人々の歯の健康が改善されていくこととなりました。

この記事では、スウェーデンでは小さい頃から歯磨き法として指導される「2+2+2+2テクニック」などをメインに、スウェーデンに学ぶ虫歯・歯周病予防の方法についてご紹介していきます。

すぐに取りいれられるものが多いので、ぜひ今日の歯磨きからこれらのテクニックを実践してみてくださいね!

1.スウェーデンの歯磨き法「2+2+2+2テクニック」

この歯磨き法は、スウェーデンのイェテボリ大学で考案された方法です。

「2」が4つのこのキーワードは、以下の内容をあらわしたものです。

“2+2+2+2テクニック”

time per day」…1日2回は歯磨きをする

cm toothpaste」…フッ素入りの歯磨き剤(フッ素濃度1,450ppm)を2cm使う

min brushing」…歯磨きは2分以上

hours without eat/drink」…歯磨き後2時間は飲食をしない

歯を健康に保つための歯磨き法について、覚えやすいキーワードになっていますね。

ひとつずつ詳しく見ていきましょう。

time per day…1日2回歯磨きをする

少なくとも1日に2回は歯磨きをしましょう。

日中は職場にいたり、外出していることがほとんどだと思うので昼食後に歯磨きをするのはなかなか難しいかもしれません。

歯磨きセットを持ち歩くことができない場合や、歯磨きをする場所を見つけられないときは、食後にお水やお茶を飲むことでできるだけお口の中に食べカスが残らないようにしましょう。

長い時間お口の中に食べカスが残っていると、お口の中の虫歯菌のエサになってしまい、その活動が活発化されてしまいます。

もしうがいできるタイミングがあるならば、数回ブクブクうがいをしておくだけでも虫歯予防にはなりえます。

そして、1日2回の歯磨きのうちの1回は就寝前に、できれば時間をしっかり取って丁寧に磨くようにしましょう。

就寝中は唾液の分泌量が減少するのですが、実は唾液というのは虫歯予防に大きな効果をもたらしてくれるものなのです。

※詳しくは『知っていますか?唾液が虫歯予防にパワーを発揮する理由』をご覧ください。

その唾液の量が少なくなってしまう就寝中は、虫歯菌にとって活動がしやすいお口の環境になってしまいます。

そのため、就寝前の歯磨きでしっかりと歯の中の汚れや食べカスを洗い流しておくことが大切なのです。

スウェーデンでは、歯磨きの際に使うのは普通の歯ブラシだけではなく、フロス(糸ようじ)や歯間ブラシを使うのが主流です。

普通の歯ブラシで磨いたあとにフロスを通してみるとよくわかるのですが、歯と歯のあいだの食べカスは普通の歯ブラシだけでは落としきることができていません。

普通の歯ブラシで磨いただけでは実は汚れの60%ほどしか取れておらず、そこにフロスや歯間ブラシをプラスして使うことで90%の除去率を出すことができるのです。


画像:ライオン歯科衛生研究所

 

これがプラーク(歯垢)となって、そのままにしていると虫歯や歯周病の原因となってしまうことがあります。


画像:ライオン歯科衛生研究所

cm toothpaste…フッ素入りの歯磨き剤を2cm使う

次に、歯磨きの際に使用する歯磨き剤にはフッ素入り(1,450ppm)を用いるのもスウェーデン式歯磨きの特徴です。

しかし、日本で発売されている歯磨き剤にはほぼフッ素が配合されているのであまり心配いらないかもしれません。

1,450ppmというのはフッ素の濃度をあらわしたものです。

このフッ素の濃度は使用する人の年齢によって、適した数値があります。
大人が使う歯磨き粉を小さなお子さんも一緒に使うことは避けましょう。

以下の数値が、年齢別のフッ素濃度の参考値です。

歯が生えた~2歳:500ppm
うがいができるようになった3~5歳:500~1,000ppm
6歳位以上:1,000ppm
15歳以降~:1,000~1,500ppm

日本で認可されている歯磨き剤のフッ素配合量は1,500ppmまでとなっています。

 

スウェーデン式では、歯磨き剤の使用量を2cmほどと指導しています。

歯ブラシから溢れるほど歯磨き粉を乗せて普段歯を磨いている方はいらっしゃらないでしょうか?
確かに使う歯磨き粉の量が多いと、お口の中の泡立ちもよく、うがいをしたあとの爽快感があって「磨いた!」という心地になりやすいのですが、実はそこが落とし穴でもあります。

泡立ちのいい歯磨き粉をたくさん使って磨いていると、すぐに口の中が泡だらけになるのですぐうがいをしやすくなり、結果として早めに歯磨きを切り上げてしまうことに繋がったりもします。

鏡などを見つつ歯ブラシの毛先がしっかり歯の当てたい面に届いているか確認することも、泡だらけのお口の中では難しくなります。

爽快感や達成感はあるのですが、その分歯磨きがテキトーになりやすい可能性も秘めています。

しっかり歯磨きをするためには、研磨剤や発泡剤(泡立ちをよくする成分)の配合が少なかったり、無配合の歯磨き剤が適しているといわれています。

高濃度のフッ素が配合されている歯磨き粉で、研磨剤無配合で泡立ちの少ない製品としては「チェックアップ ルートケア」がおすすめです。

画像:ライオン歯科材株式会社HP
amazon購入ページ

1,450ppmと高濃度のフッ素が配合された歯磨き粉です。
(※6歳未満のお子さんへの使用は避け、手の届かないところへ保管してください)

歯の根っこ部分の虫歯予防に特化しており、知覚過敏の症状予防にも効果を発揮するとされています。

この他の歯磨き剤にももちろん優れたものはたくさんあるため、今度からぜひドラッグストアなどで新しく歯磨き剤を選ぶ際には「フッ素はどれくらい配合されているんだろう?」とppmの表記を気にしてみてください。

min brushing…歯磨きは2分以上

歯磨きはしっかり時間を取って、1本1本丁寧に磨くようにしましょう。

つい手早く終わらせてしまいがちな人、自分がどれくらいの時間で歯磨きを終えているかわからない人は洗面台に3分の砂時計を置いて、歯磨きのときに使ってみてもいいかもしれません。

スマホを片手で操作しつつ眺めたり、テレビを観たり、何か家事などの用事を済ませながらだと確かに時間は経つのですが、歯磨きに対する意識が散漫になっているのでつい同じところばかり磨いていることに気づかないことや(右利きの人は右側の歯ばかりを磨いてしまったり)、歯ブラシの毛先がしっかりと歯の面に当たっているかがわからなくなってしまいます。

また、歩きまわりながら歯磨きをしていると何かの拍子につまづいたときに歯ブラシで喉突き事故を起こしてしまうケースがあります。

歯を磨くときはできれば手鏡などでお口の中を見ながら「ここが磨きづらいな」「歯ブラシをこういう風に動かすとしっかり毛先が当たるな」などを意識しながら磨くようにしましょう。

hours without eat/drink…歯磨き後2時間飲食をしない

せっかく食べカスを洗い流したあとに飲食をしてしまうと、またお口の中は虫歯菌にとって格好のエサだらけの場になってしまいます。

お水やお茶(砂糖が入っていないもの)であればあまり悪影響はありませんが、フッ素入り歯磨き剤で磨いたことによって歯の表面に残っていたフッ素をすぐに流してしまっているという意味ではもったいないことかもしれません。

スウェーデン式の歯磨き法の特徴としては、歯磨き後のうがいを少量の水で済ませることも挙げられます。

たとえば、先ほどご紹介した「チェックアップ ルートケア」の商品も、メーカーの推奨するうがい方法は以下のものになります。


約15mlの水というと、ペットボトルのフタに入れたよりも少し多いくらいの量。
それを約5秒間ブクブクとしてペッと吐きだしたら、それでうがいは終わりです。

「え!?そんな少ない量の水でうがいするの?」とビックリされる方も多いかもしれません。

スウェーデンでは約10mlの水を約30秒ほどゆすいで吐きだす方法が推奨されています。

「そんなので歯磨き粉を洗い流せるの?味が残っちゃうんじゃない?」と心配になってしまうかもしれませんが、これが歯磨き剤に含まれるフッ素が歯の表面に滞留することで、虫歯予防になってくれる方法なのです。

普段お口の中が泡だらけになることが歯磨きの「常識」だと思っているとビックリしてしまうかもしれませんが、発泡剤の少ない歯磨き粉を適量使えば意外と苦痛なく行えるものだと思います。

歯磨き後に「なんだか口寂しい…」と感じたら、虫歯予防に効果のあるガムを噛んでみるのもいいかもしれません。

日常的に虫歯予防のガムを噛むという習慣も、スウェーデンで提唱されているものになります。

虫歯予防目的のガム選びにもポイントがありますので、詳しくは『ガムを噛んで虫歯予防!キシリトールガムで大切な歯を守る』をご覧くださいね。

2.歯医者さんの定期検診もモチロン大切

自宅での毎日のケアも虫歯予防にはとても重要ですが、定期的に歯医者さんに通って検診を受けることも大切です。

痛いところや虫歯の疑いのある歯がなくとも、定期的なスケーリングに通うことで歯がキレイになるのはもちろん、虫歯の早期発見・早期治療にもつながります。

人によって歯並びは違うため、自分の歯並びや歯の質、ライフスタイルに適した歯磨き方法を教えてもらうこともできます。

ぜひ「最近歯医者に行ってないなあ」という方は、自宅から通えるお近くの歯医者さんを調べて受診してみてくださいね。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

「歯の悩み相談」してみませんか?

歯の治療というのは担当する歯科医によって治療方針が変わります。

歯ッピースマイルを運営する東歯科、ほんまる歯科の2医院では「削らない虫歯治療」「できるだけ歯を残す治療」を心がけています。

通常の虫歯治療以外にも様々な歯の悩み相談と治療を
受け付けておりますので、ぜひ一度当院までいらしてください。

ご予約はこちらから

SNSで最新情報をチェック

コメントはこちらからどうぞ

コメントを残す