患者さんに知ってほしい コロナ緊急事態宣言中の歯科医院で行っている7つの対策

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また緊急事態宣言が発令されました。
今回、緊急事態宣言期間中に時間帯等の協力要請が出ているのは飲食業界のみとなっているため、当歯科医院では、現在通常通りの時間帯で診療を行っています。
新型コロナウイルスの感染経路として飛沫感染が重要視されていることで、直接口腔内を治療する歯科医院は、医療の中でも感染リスクが高いと考えられ、昨年の緊急事態宣言前後は患者さんから治療の予約変更や定期メインテナンスの延期を希望する連絡がありました。

医院でも日本歯科医師会の指示のもと、診療時間の縮小やアポイントの制限等を行いました。
しかし、そもそも歯科医院ではスタンダードプリコーションという院内感染対策があり、患者間や医療従事者からの交差感染等の対策を行いながら診療をしています。新型コロナウイルス流行後には、それにプラスして更に重点的に飛沫感染に対する対策を行ってきているため、いまだ歯科医院からクラスターが発生したという報告はありません(2021.1月現在)。

現在では新型コロナウイルスに感染した際に、口腔内が清潔に管理されていないことが重篤化につながると考えられていて、歯科医院での定期的なメインテナンスは不要不急の処置ではなく、コロナ予防の観点からとても重要、とされてきています。

歯の詰めもの・被せものがとれた、とか、歯肉が腫れや虫歯で歯に穴があいて痛い、とか・・・お口の中で困りごとがあるけれども、この時期歯科医院を受診するってどうなの?、と考えあぐねているあなた。その状態を放置することで治療回数が増えたり、最悪大切な歯を失うことになったりしないために、今回はコロナ緊急事態宣言中に歯科医院で取り組んでいる対策について解説します。

1.感染拡大防止のために歯科医院で行っている7つの対策

歯科医院ではスタンダードプリコーションという感染予防対策をもって診療を行っています。診療器具や医療従事者を介しての交差感染を防ぐための対策です。
それに加えて、新型コロナウイルス感染拡大防止のために医院で行われている対策についてお話していきます。

スタンダードプリコーションについて、詳しくはこちらをご覧ください。
使用後の歯科器材があなたに使われるまでの消毒・滅菌作業過程

 

1-1 待合室での3密対策

来院された患者様にはウイルスの持ち込み・持ち帰りを防ぐため、手指消毒と自動検温器による検温を行っていただき、待合室でのマスク着用必須をご協力いただいています。

「3密(密閉・密集・密接)」対策としては以下の通りです。

密閉:待合室を含め、診療室も入口やテナント通用口を開放し、常に換気を行っています。

密集・密接:待合室の椅子を減らし、椅子と椅子の間隔をあけて患者さん同士の距離を保つ配置にしています。また、待合室での待機時間を減らすために、診療後のチェアサイドで次回のアポイントをご案内したり、キャッシュレス会計を行ったりしています。

今後は受付スタッフを介さず会計できる自動会計システムも導入予定です。

検温に関しては勿論スタッフも出勤前に必ず行っています。どこかのメディアで、「3密」ではなく、自分の体調不良を秘密にしないということを加えた「4密」が大事だという話がでていたのを耳にしたことがあります。具合が悪いことを申告できない環境を作らないことも大切だと考えます。私の勤務する歯科医院ではスタッフ間で「私に何かできることはありますか?」という相手を気遣うスタンスで勤務することを常々大切にしています。周りの人の変化に気づき、声掛けをしてあげられるやさしい環境づくり・・・職場じゃなくても大切にしたいですね。


1-2 防護衣・フェイスシールド着用

医療従事者として、まず自分自身が感染しないことが一番重要です。コロナウイルスは、口・鼻・目の粘膜から侵入します。診療時の説明もマスクを着用したまま行います。皮膚の露出を避けて防護着を着用し、ゴーグル又はフェイスシールドで目の保護を行います。

1-3 ポピドンヨードでの洗口と口腔外バキューム使用

歯科治療では切削器具や歯面清掃器具等で患者さんの口腔内細菌がエアロゾル(空気中に浮遊する微小な液体または固体の粒子)として診療室内に浮遊する環境にあります。処置を開始する前、患者さんに洗口剤でうがいをしてもらうことで、口腔内の細菌数を減らすことができます。ご持病でヨード不可だったりアレルギーがある場合を除き、治療前にポピドンヨードなどでのうがいにご協力いただいています。エアロゾルを完全に除去することは困難ですが、口腔外バキュームを使用してエアロゾルを吸引するとともに、停滞を防ぐための換気を常に行っています。

1-4 口腔内の定期メインテナンス

昨年の緊急事態宣言時は、日本歯科医師会の指示のもと、診療時間の縮小やアポイント枠の制限等を行い、定期検診で行っている口腔内のメインテナンスも不急な処置として延期のご案内をしていました。しかしその後、新型コロナウイルスに感染した際に口腔内が清潔に管理されていないことが重篤化につながるという臨床データが報告され、現在では歯科での定期メインテナンスは不要不急の処置ではなく、コロナ予防の観点からとても重要とされてきています。口腔内の環境を整えることは、新型コロナウイルスに限らず、糖尿病や心疾患等の持病がある方にはとても大切な処置になります。口腔内の粘膜にはたくさんの毛細血管があり、血管内に口腔内細菌が入れば、そこから血管を流れて全身に細菌がまわることになります。口腔内を清潔・健康に保つことが、全身の健康維持、持病を悪化させないことへとつながるのです。

鶴身大学歯学部探索歯学講座 花田信弘教授の緊急提言

新型コロナウイルスの実効再生産数を低下させるためには、サンプリングは鼻咽腔ではなく唾液検査が第一選択です。

実効再生産数を低下させるために飛沫感染の原因である唾液腺に由来する唾液のウイルスを殺菌力のある洗口剤で常に失活させることが大切です。(洗口剤使用を推奨します)

受容体のACE2は唾液腺だけでなく口腔粘膜と舌にもありますので舌磨きでウイルスにより死滅した細胞と生きたウイルスを除去することも大切です。また、歯周病菌などグラム陰性菌のエンドトキシン(LPS)による新型コロナウイルス感染者のサイトカインストームを防止するために、これまで以上に歯磨きとフロッシングを推奨し、歯肉炎のない状態を維持することが大切です。

ウイルス性肺炎に続発する細菌性肺炎を防止するために、歯周病の治療は必須です。P.gingivalisの増殖抑制のためのアジスロマイシンの処方は緊急時ですからためらう必要はありません。

歯科医院では従来とはレベルの違う高度な予防歯科(薬剤の局所塗布)でエンドトキシン血症を防止することが大切です。

一般社団法人埼玉県歯科医師会 新型コロナウイルス感染症 新しい診療様式での対応指針より抜粋

 

 

1-5 スタッフは休憩時もソーシャルディスタンスを守る

休憩時は食事をとる場所を分散すること、スタッフ各自間隔を取り合うことを徹底しています。職場の昼食に限らず、人と食事をする場合、ほとんどの方が料理と一緒に会話も楽しむと思いますが、コロナが落ち着くまではしばし会話の楽しみは我慢せねばなりませんね。

1-6 スタッフへ外食自粛指示

できる限り複数の人との接触はさけることが必要です。国のコロナ対策分科会は外食時の会話による感染拡大の可能性を指摘しています。自分自身が感染しないために、医院にウイルスを持ち込まないために、緊急事態宣言中は外食はしばらく我慢してもらうよう医院内で周知・徹底しています。

1-7 医院にコロナ抗原検査キットを配置

新型コロナウイルス感染を判定するPCR検査は専門家による検査で、簡易キットがなく検査に時間がかかります。

もし医院スタッフや患者さんに濃厚接触の可能性が生じた場合、PCR検査のスクリーニング検査として抗原検査を用いることは有益だと考えています。
当院では迅速な感染拡大防止の対策を行うため、新型コロナウイルスの抗原検査キットを医院に配置しています。

幸いにもまだ未使用で、今後も使用することなく過ごせることを切に願うばかりです。

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2.PCR・抗原・抗体検査とは

新型コロナウイルスに関する検査として、PCR検査、抗原検査、抗体検査がありますが、それぞれどのようなものかご存じですか?

2-1 PCR検査

主に体内に現時点でウイルスが存在するか否かを判定するための検査です。鼻腔や鼻腔咽頭の粘膜から採取した細胞や唾液を検体として行います。検査機関へ依頼するため、結果が分かるまでおおよそ1日くらい要し、費用も高額です。

2-2 抗原検査

PCR検査同様に、現在の感染有無を検査するものです。鼻腔咽頭の粘液を採取します。PCR検査と比較すると検出率は劣りますが、通販等でも検査キットが購入でき、15~20分程で検査結果が分かります。短時間で結果が分かること、特別な器材を要さないことから、迅速に結果が知りたい場合に用いられます。陽性反応が出た場合は医療機関にてPCR検査を受けてください。

2-3 抗体検査

過去にウイルスに感染していた、体内に抗体ができているかを調べる検査で血液を採取して行います。PCR検査、抗原検査と違い、今現在感染しているか否かは分かりません。IgM抗体とIgG抗体を調べるものがあり、IgMは感染初期・早期に体内で増加して短期間で消失し、IgGは感染中期・後期から体内で増加して長期間持続します。

画像:Ciメディカル 抗体検査購入サイトより

3.まとめ

歯科医院では、普段からスタンダードプリコーションという院内感染対策を行って診療しています。それに加えて新型コロナウイルスに対応すべく、院内環境を整えて患者さんを受け入れています。
口の中に不具合があるけれども、緊急事態宣言中だから歯科受診を迷っている方は、自分に新型コロナウイルス感染症の疑いがない限り、直ぐに歯科医院に連絡をして予約を取りましょう。放置することによって、症状が悪化したり、最悪歯を抜かなければならない状態になってしまう場合もあります。また、ウイルスに感染した場合にも重篤化にならないためには口腔内を清潔に保つことが大切です。体調が悪くない限り、定期的なメインテナンスは緊急事態宣言中でも延期せずに受診することをおススメいたします。

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