CMなどでよく聞く歯周病、「歯肉から血が出たら歯周病なの?口が臭ったら歯周病なの?」などよくわからない方も多いでしょう。歯周病は現在日本人が歯を失う原因の1位の病気です。この記事では100歳まで自分の歯を守るための歯周病の原因と予防法を徹底解説します。
目次
1.歯周病の3つの原因とは?
歯周病は、歯の周囲の汚れ(プラーク)のなかに含まれる歯周病菌の毒素で歯ぐき(歯肉)に炎症が起き、歯を支える骨(歯槽骨)が溶けていく病気です。
1-1.歯周病菌の悪玉菌がいる、細菌数が多い
口の中にはおよそ800種類の常在細菌が生息しています。より多くの細菌数、細菌種類があるほうが歯周病になりやすいといわれています。またP.g.菌(ポリフィロモナスジンジバリス)などのレッドコンプレックスという悪性度の高い歯周病菌を有していると、歯周病が10~44倍も進行しやすくなります。
歯の周りにいる細菌の画像
1-2.不健康な生活習慣がある
ストレスや不健康な生活習慣によっても歯周病になりやすくなります。代表的なものには喫煙や飲酒、ストレス、肥満睡眠不足があげられます。タバコで直接歯周病菌は移りませんが、タバコは吸えば吸うほど歯周病にかかりやすくなります。タバコのニコチンは歯周病菌の発育を促し、病原性を高めます。また免疫作用を抑制してしまうといった害もあります。また受動喫煙でも歯周病のリスクが高まることが明らかになっています。
1-3.歯周病菌になりやすい体質である
歯周病とは自分の歯の周りにくっついた歯周病菌と体の抵抗力のバランスが崩れることによって歯周組織が破壊される病気です。歯周病菌がお口の中に存在したとしても、外敵に対抗する抵抗力や体力があれば歯周病にはなりにくいです。逆に糖尿病だったり、年齢が高くなると歯周病になるリスクは高まります。また、歯周病になりやすい体質には遺伝が関係しているといわれています。
歯周病の発症や進行には①歯周病菌の数や種類、②生活習慣③患者さん自身の体質の3つの要因がかかわっています。これら3つの原因が重なり合うと歯周病発症の危険性が高くなって重症化しやすくなります。
2.こうなったら歯周病 歯周病のセルフチェック方法
歯周病は、歯の周囲の汚れ(プラーク)のなかに含まれる細菌の毒素の影響で、歯ぐき(歯肉)に炎症が起きて、腫れたり出血しやすくなり、また歯を支える骨(歯槽骨)が溶けていき、歯がグラグラしたり抜けたりする病気です。初期の段階ではなかなか自分自身で気がつくような症状は出てきません。次のような症状があったら、歯周病の可能性があります。歯科医院を受診してください
- 朝起きたときに、口の中がネバネバする。
- 歯みがきのときに出血する。
- 硬いものが噛みにくい。
- 口臭が気になる。
- 歯肉の色が他の部分より赤い
- 歯肉がときどき腫れる。
- 歯肉が下がって、歯と歯の間にすきまができてきた。
- 歯がグラグラする。
- タバコを吸う
- 肥満の方
- 糖尿病にかかっている方
- 歯みがきが上手にできない方
- かかりつけの歯科医院がない
- 長い間歯科医院を受診していない
3.歯周病の予防方法 とは?
歯周病予防の基本は歯垢(プラーク)がつかないようにすることで、毎日の歯みがきや定期的な歯石除去が有効です。これをプラークコントロールといいます。しかし歯周病になった場合は歯科医師や歯科衛生士がもっと専門的に歯をクリーニングするなどの歯周病治療が必要です。重度の歯周病の場合では歯肉の手術をすることもあります。
3-1.自分で行うセルフケア&プラークコントロール
歯周病の予防の第一歩は自分で行うプラークコントロールです。歯の周りについたプラークは歯周病だけでなく、むし歯の原因にもなります。プラークは約2日でセルフケアでは除去できない硬い歯石になってしまいます。ですから、プラークのうちに自分で除去することが、歯周病予防の重要ポイントです。
3-2.歯科医院で行う歯石除去・プロフェッショナルスケーリング
プラークを放置すると歯石になります。細菌がかたまってできたプラークが、唾液中のカルシウムによって硬い石のようになったものが歯石です。歯石は自分で取ることができないので定期的に歯科医院を受診して歯石を取ってもらうことが必要です。
4.歯周病の治療方法とは?
すでに歯周病になってしまっている場合は次のような治療を行います。
4-1.標準的な治療の流れ
一般的に安定期の歯周病に対しては以下の治療を行います。
4-1-1.歯みがき指導(プラークコントロール)
歯みがきは歯周治療の基本です。歯みがきをしない人はいないと思いますが、正しく磨ける人は意外に少ないものです。いい歯ブラシの選び方・持ち方・毛先の当て方・動かし方・力の入れ方など模型を使って指導します。また歯の汚れを赤く染め出して、磨き残しをチェックすることもあります
4-1-2.生活習慣指導、全身疾患の管理
糖尿病などの全身疾患は歯周病を悪化させます。また高血圧の薬などの副作用で歯ぐきが腫れることもありますので、内科と連携して治療を行うこともあります。また、たばこを吸うと歯周病が進行し、治療の効果も上がりにくいことが知られていますので、禁煙指導を行うこともあります
4-1-3.歯石除去、スケーリング
超音波などを用いて歯石を粉砕し水で洗い流す方法があり、大量の歯石を短時間で効率よく除去することができます。また先のとがった器具を用いて1本1本歯石を取っていく方法もあります。少し時間はかかりますが歯ぐきの中の小さな歯石も確認しながら取ることができます。
4-1-4.メインテナンス
歯周治療が終わったあとはメインテナンスに移行します。歯周病は容易に再発する病気なので定期的な管理が重要です。かかりつけ歯科医院での定期的な受診は歯を失うリスクを軽減します。
4-2.特殊な歯周病の治療の流れ
急性期、歯周病の状態によっては以下の治療を行います。
4-2-1.歯周外科
スケーリングでとりきれなかった歯周ポケットの奥の歯石を、歯肉を切り開くことでしっかりととり去ります。歯を支えている骨が吸収してしまっている場合には、骨の再生を促す歯周組織再生療法を行います。歯が長く見えるようになってしまった場合には、他の部分から歯肉を移植する歯周形成手術を行う場合があります。
4-2-2.症状が強い急性期の歯周病治療
痛みや腫れがひどい場合は、抗生物質や鎮痛薬を処方して症状をやわらげます。また歯肉の内部に膿みを持っている場合には切開して膿みが出やすくしたりします。
4-2-3.不適合なかぶせ物やつめ物のやり直し
かぶせ物やつめ物の適合や形が悪いと、食べかすやプラークがすき間にたまり、歯周病が発症しやすくなります。炎症がなくらなかったり再発しやすくなったりしますので、そのような場合はやり直しが必要です。
4-2-4.咬み合わせの調整と歯の固定
歯周病で歯がぐらぐら揺れてきてしまった場合、かんだ時に1本の歯に負担がかかりすぎないようにかみ合わせの調整を行います。あまりかむ力がかかっていない前歯の場合には、隣の歯と接着剤やワイヤーなどを用いて固定します。
4-2-5.抜歯
歯周病が進行した歯をいつまでも置いておくと隣の歯や周辺の骨までいたんでくることがあります。すでにかむ機能を有していない歯を残していても、食事の妨げになったりして役には立ちません。最終的には抜歯にあるケースもありますから、担当の先生の説明に同意ができたら抜歯をしてしまう方が良い場合もあるでしょう。
5.まとめ
歯を失わせる病気ワースト1の病気、歯周病の原因がお分かりいただけましたでしょうか?きちんと歯周病を治療し、メンテナンスしていくことで抜歯せずに一生自分の歯で食事することができます。毎日正しいブラッシングをして、定期的に歯医者さんで検診とメンテナンスしてもらいましょう。セルフチェックに当てはまる場合は早めに歯医者さんに相談しましょう。