歯周病が心配だけど歯科医院は怖くて行きたくないなあ・・と思っているあなた。
でも歯周病は気が付かない間に進行します。
歯磨きすると血が出る。歯肉が赤く腫れている。こんな症状からはじまる歯周病。
今勇気を出してきちんと治療を開始すれば症状も良くなって、自分の歯でいつまでもおいしい物を食べていけるでしょう。
歯科医院で実際行われている検査を詳しく説明しますので、安心して検査を開始しましょう。
目次
1.歯周病検査ってなぜ必要なの?
歯磨きをしたとき血が出たり、見た目に腫れていたりすると「歯周病かな?」と心配ですね。セルフチェックである程度の進行具合がわかっても、実際にどの歯が歯周病なのか、どのくらい進行しているのか正しい判断はできません。
治療をするには歯医者さんでお口の中をきちんと検査してもらい、状態を把握することが大切です。検査の結果を記録し次回の検査時に比較してもらうことで、進行の有無を知ることが出来ます。また施術者にとっても正確に治療するためにはなくてはならない検査ばかりなのです。
2.歯科医院で行う検査
実際に行っている検査は、歯科医院によって多少異なります。一般的な検査から自費で行う精密なものまでいろいろあります。保険の検査を中心に、それぞれ詳しく説明しますので参考にしてください。
2-1 歯肉の検査
ここから実際にお口の中で行う検査の紹介をしていきます。歯周病の状態や悪化させる原因を正確に把握する必要があるために行う検査です。歯肉や歯を触ったりする検査なので痛みを伴うことがありますが、痛みが強い場合は麻酔の注射をすることも可能です。我慢せずお声かけください。
ポケット検査
「歯周病の検査が痛い」というのは、この検査をさしていると思われます。歯の周りの歯周ポケットにプローブという目盛のついた器具を差し込み、深さを測定しますが、この時チクチクとした痛みを感じます。
画像:株式会社YDM公式HP
腫れや出血があったり、深い部分は強い痛みを感じる場合もあります。できればやりたくない。と、思う方も多いと思いますが、歯周病の進行の度合いを把握したり、プローブから直接伝わってくる歯石の感触を知ることで、正確な歯石除去を行うことができ、とても大切な検査なのです。
また、保険で歯石除去を行うにはこの検査は不可欠です。
<診断基準>
ポケット 1~2mm 正常
3mm 歯肉炎、または軽度歯周炎
4~6mm 中等度歯周炎
7mm以上 重度歯周炎
BOP (ポケット検査時の出血率)
ポケット検査の際歯肉からの出血の有無によって、ポケット底部の炎症を確認します。全体の歯の本数の中で出血があった本数から、出血率を計算して具体的に示すことで歯周病の自覚を持っていただきます。出血率は20%以下が望ましい数値です。
動揺度
厳密にいうと、歯はもともと少し動きますが、歯周病が進行すると動きが大きくなってきます。健康な状態をM0とし、歯周病の進行によってM1~M3まで、歯の動く程度で進行度を表します。
M1 左右(唇舌方向)にわずかに動く
M2 左右・前後(唇舌、近遠心)へ動く
M3 左右・前後・垂直に動く、今にも抜けそうに大きく動く
2-2 X線写真撮影
歯周病は「歯の周りの病気」です。歯の周りには何があるでしょう。歯を支えている顎の骨(歯槽骨)と骨を覆っている歯肉です。歯周病で歯がグラグラするのは骨が無いからですが見た目にはわかりません。骨の状態を見るためにはⅩ線によるレントゲン撮影は欠かせません。
パノラマ
左右の顎関節から上下の顎の骨、眼窩や副鼻腔など顎全体が撮影できる大きなレントゲンをパノラマと言います。歯槽骨の吸収(骨が溶けて下がってしまっている状態)の程度を診断するだけでなく、虫歯や根尖病巣(虫歯が進んで根の先に膿がたまる病気)の有無、埋伏歯(埋まったまま出ていない歯)の状態など、歯に関するあらゆる診断に必要です。費用は保険3割の方で1200円前後です。
デンタル
3~4歯を撮影する小型のフィルムで撮影することで、精密な診断ができます。パノラマ写真で不鮮明な場合改めてデンタル撮影をしたり、歯科医院によっては10枚法、14枚法など、お口全体を細かく分けて撮影することでパノラマではわからない、細部の精密な写真を撮影する場合もあります。骨の吸収の程度や虫歯の進行など鮮明に診ることができます。1枚当たりの費用は大きさにより120円~180円です。
X線写真の安全性について
歯科治療のⅩ線撮影は安全です。
歯科用レントゲンの放射線量は胸部や胃のレントゲンで浴びる放射線量より少ないものです。
詳しくは「レントゲンでわかる虫歯とわからない虫歯の違いとは」をご覧ください。
2-3 口腔内写真
レントゲンとは違いお口の中の様子をカメラで撮影することで、歯石の付着の状態やプラーク(歯垢)など磨き残しや、歯肉の腫れ、出血などその時の状態を患者様に見ていただきます。普段見ることのできない奥歯の裏側や歯並びの悪い部位の磨き残しなど実際に目にすることで正しい歯磨きを心がけるきっかけになります。
画像:アールエフ公式HP
2-4 プラーク付着測定
プラークの付着の状態を染め出して確認します。磨き残しを目で見ることで歯磨きの改善に役立てます。
古い歯垢が青色、新しい歯垢が赤色に染め出されている
染め出し液は購入可能です。自宅で染め出しを行い磨き残しを減らすよう丁寧に磨くことで歯周病、虫歯の予防につながります。
画像:amazon
2-5 位相差顕微鏡
口腔内には500~700種類の細菌が生息しています。歯周ポケット内のプラークを採取して顕微鏡で見ることで細菌の種類や量を観察します。歯周病を起こす最近はもともとお口の中に存在する細菌(口腔常在菌)なので、完全になくすことは出来ませんが、減らすことで歯周病が改善したり、再発の予防につながります。ポケット検査と一緒に行うのが一般的です。
位相差顕微鏡で見たお口の中の細菌
2-6 唾液検査
唾液はお口の中の健康を左右する大切な役割を持つと同時に、検査することで虫歯や歯周病のリスクを知ることができます。検査用のガムを噛んで採取した唾液を検査します。費用は自費になるため歯科医院によって異なります。
① 出血検査・・・ヘモグロビン
歯周病が進むと歯肉から出血があります。唾液中のヘモグロビンを測定することで出血状態の検査をします。(+)と判定された人の約70%は歯周病です。
② 炎症検査・・・LDH (乳酸脱水素酵素)
歯周病が進行すると損傷した歯肉組織が唾液中に混ざり、その値が上昇します。出血の検査が(-)でもLDHが(+)の場合、その半数以上が歯周病であると診断されます。
3.検査キットを取り寄せて自分で検査をする
歯周病の検査の内容や種類については良く分かった。検査が大切なのも良く分かった。でもどうしても歯科医院に行くことが出来ない・・・という方には、検査キットを取り寄せて自分で検査することができます。しかし自宅で検査をした場合は歯周病の有無を知るに留まりますので、治療はやはり歯科医院で行うことになります。
画像:amazon
4.まとめ
歯周病は「サイレントキラー」の別名を持ち、気が付かない間に進行する恐ろしい病気です。35歳を過ぎたら自分もそうかも・・と思い検査をすることがとても大切です。確かに痛みを伴うこともあります。歯周病の治療は終わりがありませんが、できるだけ早く適切な治療やケアを始め、続けることで自分の歯で健康な毎日を送ることが出来ます。痛いときは我慢せず『痛い!』と言っていいのです。検査の重要性を知っていただき、ぜひ治療にお役立てください。