スタッフSのマウスピース矯正記録~拡大床編~

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当院では2018年からマウスピース矯正を導入しました。
筆者も現在マウスピース矯正をしているのですが、私の場合はアライナー(マウスピース)装着前に上顎の拡大床(※)を使用した症例でした。
マウスピース矯正に限らず、ブラケット矯正でもこの拡大床は使用されます。
今後、矯正治療を検討されていて、拡大床を使用した処置になる患者様に、拡大床ってどんなものなのか、使用感や口腔内の変化、注意点等をお話ししていきたいと思います。

(※)拡大床とは・・・
抜歯をせずに歯が並ぶスペースを確保するため、上顎または下顎の顎を広げるための装置

1.拡大床とは

はじめに簡単に記載しましたが、拡大床とは文字通り顎を拡大(広げる)するための装置です。
私が使用した装置はこんな感じです。

中央にある部分のネジを回して、顎を拡大してスペースをつくります。
私が使用したのは毎日ネジ巻きをする急速拡大装置ではなく、1週間毎にネジを回すタイプのもので、装着期間は3ヵ月予定でした・・・が、治療を開始した時期と、国家試験時期が重なり、先生と相談の上、拡大床からマウスピース矯正に移行する時期を見合わせたため、結局のところ10ヵ月程、この拡大床と生活を共にする日々が続きました。その話はまた後程・・・

1-1 拡大床装着正面観

拡大床を装着して正面から見るとこんな感じです。

左上1番(向かって右側の一番目の歯)の捻転がかなりの曲者でした( ノД`)…
人と並んで座る場合など、捻転している左側に人がいるのが非常に気になって仕方なかったです。
この写真では既に治してあるのですが、捻転しているうえに歯の先端一部が欠けていました。
中学1年のころ、バスケットボールが見事に命中し、先端が欠けました(@_@)
バスケット経験者はお分かりかと思われますが、1年生って先輩のシュートのボール拾いとかするんですよ。
その際、あらぬところからボールが飛んできたりして・・・
そんな話はさておき、矯正を始めることになって気づいたのですが、左上の捻転に気を取られていましたが、意外に下顎の歯並びもなかなかのもんですよね(笑)。扇状に開いてる・・・⤵⤵⤵
これはその後のマウスピース矯正に期待!!ということで。

1-2 拡大床装着咬合面観

装着した口腔内はこんな感じです。

絵面的には少し怖いですね(T_T)
私はもともと食いしばりがかなりあり、いつも奥歯をキリキリさせているのが癖になっていました。
傍から見ると、いつもこめかみがピクピク動いている、知人によく言われていました。
寝ているときよりむしろ日中、何かに集中しているときなどに多く、意識するだけでは止めることが困難な状態でした。
が、しかし、この拡大床を装着したときから、食いしばりがなくなります。正確に言えば、出来なくなったということです。写真を見ていただければ分かるように、咬合面(咬み合せる面)にいくつものワイヤーがあるため、キリキリ咬み合せることができなくなったからです。歯の面より先にワイヤーがあたり、入れているだけでも異物感や痛み(あっ、これは慣れます)を伴うのに、食いしばるなんてとんでもない!!と言った感じです。食いしばりがなくなったことで、頬のこわばりがなくなり、後に開口量(口の開き)が増えるという副産物もありました。

2.拡大床装着について

次に拡大床の使用方法や装着していて気になったことなどをお話ししていきます。
はじめて装着したときの衝撃はすごかったです。
先にもお話しした通り、1週間に一度ネジを回して顎を拡大していくための装置なのですが、「装着時に3~5巻きしてスタート」、と指示があり、5回ネジを回したら、痛すぎて装着できず、やっと装着できたと思ったら外せなくなり、スタッフに泣きながら外してもらったのを覚えています。←大げさに聞こえますが、本当にはじめは衝撃的過ぎて耐えられないと思いました。結局3巻きして装着スタート。昼休みに装着開始したのですが、その日は食いしん坊の私が晩御飯を食べずにそのまま就寝したくらいでした(笑)
しかし、その後、この拡大床を口腔内に入れている感覚が当たり前になってきて、装着していないときの楽さにむしろ違和感を覚えるくらいまでになりました。

2-1 拡大床装着時間

この拡大床は1日最低11時間以上装着するよう指示がありました。
主として就寝時中心につけるよう指示がありましたが、とても安眠できそうになかったため、先生に確認して、私は基本日中に装着することにしました。朝、出勤時に装着するのですが、特にネジを回した日は装着時奥歯が両側に強く押される感覚がありました。

2-2-2 装着時の注意点

装置の左右を均等に押し込まないとワイヤーがきちんと装着できておらず、楽にハマったと思っていたら実はきちんと装着できていなかったといったことが使い始めにありました。両側を臼歯にしっかり押し込み、床部分が浮いていないように注意して装着しました。

2-1-2 食事の時に外す

食事の時に装置を外します。ギュッと押さえつけられている感覚が一気になくなる解放感はありますが、物を噛むと浮いたような感じがありました。食事し始めは気になりますが、そのうち慣れてきて特に食べられないものなどはありませんでした。

2-2 口腔内の変化について

まず話がしづらくなります。滑舌も悪く、発声しにくい状態です。味のしない飴をつねになめている感じと表現したら技工士さんに笑われました。ネジを回していく毎に装置中央に開きが出てくるのですが、その部分を舌で触ってしまい、装着開始して間もなく舌に吸い跡がつきました。

唾液の呑み込みが上手くいかず、口の中に溜まっている感じもありました。
使用し始めは嫌な異物感でしたが、その異物感や滑舌の悪さが当たり前となり、装着し忘れてスラスラと滑舌よく会話ができている違和感でハッとして慌てて装着するといったこともありました。

余談ですが、本来であれば3ヵ月という装着期間の予定でしたが、3カ月が終わるころに国家試験対策の模擬試験等が始まりだし、せっかく日常化してきたこともあり、国家試験が終わるまでは現状維持をさせマウスピース矯正は先延ばしとなりました。3ヵ月しか使用する予定ではなかったものをそのまま使用し続けたため、6カ月を過ぎたある日、なんと模擬試験の最中にワイヤーが口の中で折れました( ゚Д゚)
慌てて技工士さんにマウスピースを作製してもらいましたが、従来の食いしばり癖が出てしまい、すぐにマウスピースに穴があきました。ワイヤーが折れていても装着には問題がなかったため、その後はマウスピースは再作せず、拡大床を使い続けることになりました。結果トータルで10ヵ月程の付き合いになりました。

3.拡大床のお手入れ

拡大床は入れ歯同様にブラシでの清掃と洗浄剤を使用しました。
使用した洗浄剤はこちらです。

リテーナークリーンVIVA 60錠入 880円(税別)
画像:株式会社モリムラHPより

40℃くらいのお湯150mlに1錠入れ、5分以上置きます。汚れの付着が多い場合は浸け置きすると効果的です。使用後の薬液は使いまわさずに廃棄します。

画像:株式会社モリムラHPより

4.まとめ

拡大床は矯正治療の際、抜歯をせず歯を並べるスペースを確保するために顎を広げる装置です。
使用するにあたって違和感や会話のしづらさはありますが、慣れてきます。入れ歯と同じように、外した後にブラシでの清掃や薬液洗浄が必要です。
これから拡大床を装着する予定のある方の参考になれば幸いです。
マウスピース矯正については、現在進行中につき、また改めてお話しさせていただきたいと思います。

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