プラークが歯周ポケットを形成する仕組み教えます

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歯科医院の定期検診やクリーニングの際に、磨き残しの指摘やブラッシングの指導を受けたりした経験がある方はたくさんいると思います。検診で受診するたびに、毎日のセルフケア(ブラッシング)の大切さを説明されますよね。むし歯や歯周病予防のために、日々のブラッシングが不可欠なのは分かっていても、磨けていない場合実際にどうなっていくの・・・?
むし歯はしみたり痛みが出たり、歯に穴があいたりと患者さん自身に分かりやすい自覚症状がみられますが、歯周病は症状もなく知らぬ間に進行してしまいます。
以前説明は受けたけどうろ覚えの方に、プラーク(歯垢)付着によって起こる口腔内の変化を、歯周病を中心にお話ししていきたいと思います。

引用:クインテッセンス出版株式会社 歯科医院で患者さんにしっかり説明できる本

1.プラークは細菌の塊

プラーク1㎎の中には約10億個もの細菌が存在すると言われています。
歯科医院での検診やクリーニング時に、プラーク以外にバイオフィルムという言葉も聞いたことがあると思います。バイオフィルムの身近な例としては、キッチンの排水口や河原の石の裏側のぬるぬるとしたぬめりです。あのぬるぬるがお口の中で形成されていると思うとゾッとしますよね(;´Д`)
プラークとバイオフィルムが少し違うのは、バイオフィルムは細菌どうしが情報伝達をしあいながら生息している、という点です。が、どちらも細菌の塊であるという部分で似た者同士といえます。

画像:ライオン歯科衛生研究所HPより

画像:日本臨床歯周病学会HPより

2.プラークを放置するとが歯周ポケットが深くなる

プラークが付着したまま放置すると歯肉がどのようになっていくか。
歯科医院に検診に来院する患者さんで多くみられるのが、歯面はよく歯ブラシをあてて磨けているけれども、歯頚部(歯と歯肉の境目)にプラークが残っている方です。
特に下顎の臼歯(奥歯)の舌側歯頚部にプラーク付着が多くみられます。
この部分をよく磨いてくださいねーと言われたのは覚えていても、そのプラークを放置しておくとどうなるのかは覚えていますか?

2-1 歯周ポケットは歯肉の細胞が離れてできる亀裂

プラークを放置しておくとどんどん歯周ポケットが深くなります。歯周ポケットが深くなることで、より汚れがたまりやすい環境になり、さらに歯周ポケットが進行していくという悪循環を生みだします。
歯周ポケットと呼ばれる歯と歯肉の隙間は、どうやってできるのでしょう。
まず、歯と接している部分の歯肉細胞がプラークからでる毒素によって破壊され、歯と歯肉の間に隙間ができます。その隙間は歯肉の細胞同士が離れてできた亀裂です。その亀裂断面から体内への細菌侵入を防ぐべく、歯肉の細胞がどんどん歯の根元の方へ下がっていきます。また、その細胞がプラークに破壊されさらに歯肉細胞が下へと下がっていく・・・これを繰り返すことによって歯周ポケットが深くなっていきます。
プラークを放置すると歯周ポケットが深くなる仕組みを理解すれば、この部分を磨いてプラークを取り除かねば!!・・・という気持ちになってきませんか?
下記の図で歯周ポケットの形成される仕組みを確認しましょう。

画像:歯科医院で患者さんにしっかり説明できる本より

①まず健康な歯肉はこんな状態です。そこにプラークが付着し放置すると・・・

②プラークから出る毒素によって細胞が壊され、細胞同士が離れて亀裂ができます。

③プラークと接する部分の細胞が、プラークの刺激によって結合組織が壊されて亀裂ができ、さらに歯周ポケットを深くしていきます。

3.歯肉が赤くなる仕組み

歯肉が赤く腫れた、歯ブラシで出血した・・・
そのような症状で歯科医院に行ったことはありませんか?
先生や歯科衛生士にその部分をクリーニングしてもらったり、ブラッシング指導を受けたりして、しばらくすると赤みが軽減してもとのピンク色の歯肉に改善されたことはないでしょうか?
この歯肉が赤く腫れる原因もプラークです。

画像:歯科医院で患者さんにしっかり説明できる本より

歯頚部(歯と歯肉の境目)にプラークが付着すると、プラークの毒素によって歯肉組織内の炎症性物質が働き、血管を広げます。その緩んだ血管には通常の10倍以上の血液が流れ込みます。歯肉が赤く見えるのはこの広がった血管に大量の血液が流れ込むことで起こります。もうひとつ歯肉が赤く見える原因としては、歯肉付着上皮のすぐ下にある網目構造の細い血管に、プラークによって炎症が起こることで大量の血液が流れ込み、血管内が大量の赤血球で満たされ、それによって歯肉が赤く見えるのです。

3-1 歯肉の赤みを改善させるにはプラーク除去とブラッシング

歯肉の赤みを改善させるためには、まず歯石やプラークを取り去ること。そしてクリーニングした状態を保つために自宅でのセルフケア(ブラッシング)を行うことです。
プラークを除去し、正しいブラッシングを続けることで、歯肉血管叢の血液量が通常量に戻り、歯肉の赤みも改善されていきます。

4.おすすめのブラッシング方法は『バス法』

歯肉に赤みがある、歯周ポケットがある方におススメのブラッシング方法は『バス法』です。
歯頚部や歯周ポケットのプラーク除去に効果的で、かつ歯肉マッサージ効果も得られます。

バス法 

4-1 歯ブラシはやわらかめを選択

硬めなどの腰のあるブラシの方が磨いた感が得られる、と患者さんからよく聞きます。
プラークはやわらかい歯ブラシで毛先をきちんとあてることで除去することができます。歯肉のマッサージもかねてブラッシングをしてほしいので、ぜひやわらかめの歯ブラシを選んでください。
歯周ポケットが深めな方はテーパード毛を選択してください。

画像:ライオン歯科材株式会社HPより

テーパード毛でおススメの歯ブラシをご紹介します。

システマ歯ブラシ 300円(税別)
画像:ライオン歯科材株式会社HPより
狭い歯間部や歯周ポケットに、細くしなやかなスーパーテーパード毛が届きプラークを除去します。

5.年に2回は定期検診に

自宅での毎日のセルフケアだけでは完全にお口の中の汚れを取り去ることは困難です。
セルフケア+(プラス)専門家によるプロフェショナルケアの二人三脚が必須です。
何か不具合が無くても、年2回は歯科検診に行って、メインテナンスを受けましょう。

6.まとめ

プラーク付着を放置すると歯肉が炎症を起こす、歯周ポケットが深くなるというのはお分かりいただけましたか?
日々のセルフケア(ブラッシング)と定期検診で、お口の中の健康を維持していきましょう。

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