今年も花粉症の方にとってはつらい時期になりました。
鼻はムズムズ、目も痒くて仕事や遊びにもなかなか集中しづらいですよね。
ところでこの花粉症ですが、実はお口の健康にも影響を及ぼすことがあるとご存じだったでしょうか?
花粉症とお口のトラブルのダブルパンチで苦しむことがないよう、これからお伝えすることを日々の生活の中で意識してみてくださいね。
目次
1.花粉症が及ぼす3つの主なお口のトラブル
花粉症によって引き起こされやすい3つの主なお口のトラブルをご紹介します。
もしかしたら、今読んでくださっている方の中には心当たりのある症状もあるかもしれません。
1-1 鼻づまりによって口呼吸になってしまう
こちらのトラブルは花粉症の方にとってもっとも経験しやすいものかもしれません。
鼻水が常に出てしまって鼻から呼吸することができないために、どうしても口呼吸になってしまう。
これはある程度はしかたがないことなのですが、口呼吸をする習慣が根付いてしまうとお口のトラブルを引き寄せることがあります。
実は、口呼吸というのは、アレルギー症状を悪化させたり口臭を発生させたり、虫歯リスクを高めてしまう可能性を秘めているのです。
さらには、お顔が垂れたりゆがみやすくなるなどの見た目の弊害もあります。
《口呼吸によって引き起こされる可能性のあるトラブル》
①口呼吸による唾液量の減少でお口の異常を引きおこす
②風邪や「睡眠時無呼吸症候群」などの体の異常を引きおこす
③口呼吸による歯並びの悪化、口周りの筋肉が衰え・たるみなどの見た目の問題を生む
どれもほんの数日口呼吸をしただけで引き起こされるトラブルではありませんが、長期にわたって口呼吸がクセになってしまっていると、いずれはこのような悪影響を生む可能性があります。
①について、「なぜ唾液が減るとお口の異常を引き起こすの?」と疑問に思われる方もいるかもしれません。
実は、唾液というのはお口の中でさまざな働きをしてくれています。
誰の口の中にも虫歯菌というのは存在しているのですが、私たちが知らずしらずのうちに唾液はこの虫歯菌の活動を抑制してくれているのです。
虫歯菌のエサとなる食べカスを洗い流し、虫歯菌が出した酸によって溶けた歯の表面を修復してくれたりもします。
また、口臭の原因にもなるお口の中の細菌を退治してくれるのも唾液のもつパワーです。
ほかには、歯で噛みつぶした食べ物をスムーズに胃に運んでくれるのも唾液のもつ作用の一つです。
このようにお口の健康には唾液のはたらきが必要不可欠なのですが、口呼吸を日常的にしていると、この唾液の分泌が減ってしまうのです。
1-2 花粉症の薬の影響で口が乾燥しやすくなる
こちらも先ほどの口呼吸による口の乾燥と同じような理由で、トラブルを引き起こす原因になるものです。
花粉症の薬の抗ヒスタミン薬やステロイド系のものを服用していると、口の中が乾燥しやすくなります。
1-3 副鼻腔炎によって歯が痛む
副鼻腔(ふくびくう)というのは、鼻の周りから頬の裏側にかけてある空洞のことです。
ここに鼻水が溜まって細菌感染を起こすと炎症が起きてしまうことがあります。
なぜそれによって歯が痛いと感じるようになるかというと、炎症による粘膜の腫れが上の歯の奥歯あたりを圧迫することがあるからです。
そのため、虫歯などはないのに「歯が痛い!」と感じることがあります。
2.自分でできる対策法について
まずは、自分で自宅でもできる対策法についてご紹介します。
これらは必ずしも花粉症でお悩みの方だけではなく、お口の健康を維持していきたい方にとっても大切にしていただきたい習慣です。
2-1 こまめな水分補給
口の中を潤すために、こまめに水分補給をしてください。
その際にはできればお水やお茶など、糖質のないもののほうが虫歯予防には適しているでしょう。
これから夏にかけて少しずつ暖かくなっていきますが、真夏の時期によく飲むスポーツドリンクも実は糖質の量が多いので注意が必要です。
気になる方は『スポーツドリンクは虫歯になる! ~熱中症対策の意外な弊害~』の記事もご覧ください。
2-2 こまめなうがい
こちらも水分補給と同様です。
口の中を潤すことで、虫歯菌が活動しやすい乾燥した状態を避けます。
こちらの方法は、外出先などで食事したあとに歯磨きをする時間が取れないときにも「とりあえずうがいだけはする」というのが虫歯予防の小さな1歩になります。
時間が取れるときにあとでしっかり歯磨きをすることが虫歯予防には必要不可欠ですが、ひとまずお口の中の食べカスを洗い流してしまうだけでも虫歯予防や着色予防にはなります。
2-3 キシリトールガムを噛んで唾液量UP
キシリトールは白樺や樫の木にふくまれる成分をもとに作られた天然素材の甘味料です。
同量の砂糖と比べると、甘さはほぼ同じながらカロリーは3/4にまでおさえられています。
このキシリトールが虫歯予防には大きな効果をもっています。
しかし、たとえキシリトール配合であっても糖類が多く配合されているガムはオススメできません。
糖は虫歯菌のエサになるため、そのガムを噛むことでかえって虫歯になりやすくなってしまうことがあります。
また、キシリトールは50%以上配合されていなければ虫歯予防の効果を期待することはできないといわれています。
少量のキシリトールしか入っていなくてもパッケージの表に「キシリトール配合」と表記されている商品もあるため注意が必要です。
▲オススメはこちら!
画像・amazon
歯科専用キシリトールガムは、普通のキシリトールガムの2倍の硬さでつくられています。
より噛みごたえがあるため、唾液の分泌量も増えやすくなります。
その一方で、歯にくっつきにくいガムベースを使って作られているため、入れ歯や矯正器具を使用中の方にもストレスなく噛んでもらうことができます。
2-4 唾液腺マッサージで唾液量UP
アゴのところにある「唾液腺」といわれる唾液の分泌を促す器官を簡単なマッサージによって刺激することで、唾液量の分泌を増やすことができるといわれています。
唾液腺マッサージをするタイミングは、食事前が特にオススメです。
唾液の分泌量を増やすことで、食事がうまくしやすいようにするためです。
または、お風呂タイムにゆっくり浴槽に浸かっているときなどリラックスしている状態のときには唾液の分泌量も増えやすいため、マッサージでさらなる相乗効果を得ることができます。
テレビを眺めているあいだなど、なんとなく手もち無沙汰のときにやるのもいいかもしれません。
画像:キューピー公式サイト
3.歯痛に悩んだら歯医者さんへ
副鼻腔炎による歯痛か虫歯による歯痛かは自分自身では判断することができません。
歯医者さんへ行ってレントゲンなどの検査をする必要があります。
「歯が痛い」「歯が押されている感じがする」などの症状を感じたらすぐに歯医者さんへ行きましょう。
また、治療の際には現在服用中の薬(花粉症のものに限らず)を先生に伝えるようにしましょう。
治療中にくしゃみなどで身体を動かしてしまうと治療器具などが思わぬところにぶつかってしまいケガをする恐れがあるため、花粉症の方は事前にその旨を伝えておくと治療や施術にあたる先生や衛生士さんも心構えがしやすいかもしれません。
4.まとめ
花粉症の時期は天候や気温の変化になんとか体が適応しようと頑張りすぎてしまう時期でもあります。
少しでも体への負担を増やさないためにも、お口の中の健康にもぜひ気を配ってみてくださいね。