吐き気がつらくて歯医者に行けない方必見!治療が楽になる12の方法

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口の中に歯ブラシを入れただけで「オエッ」と吐きそうになってしまう方。結構いらっしゃいます。
その吐き気のことを専門的には嘔吐反射(おうとはんしゃ)と言いますが、嘔吐反射が強い方にとって歯の治療はかなり辛いものですね。

虫歯があって治療しないといけないのに、吐きそうになるのが嫌で虫歯をそのままにしていると、どうなるのか。
どんどん虫歯が進行して最悪の場合歯を抜かなくてはならないことにもなりかねません。

そうなる前に治療に通えるよう、嘔吐反射を上手にコントロールする方法をお話していきます。ぜひ参考になさってください。

1.治療前にしていただくこと

歯科の治療だけでなく、普段の生活の場でも嘔吐反射はおこります。
朝の歯磨き、味の無いものを口に入れたときなど。

でも嘔吐反射は異物が体内に入るのを防ぐための反射的な生体反応で、健康な人にも起こるものです。
とは言え歯の治療を行うときを考えると、憂鬱になりますね。

1-1 吐き気が強いことを必ず伝える

最初の問診表を記入するときや、先生やスタッフに症状を伝えるときに嘔吐反射が強いことを必ず話しておきましょう。
治療において嘔吐反射の有無は大切な情報です。伝えることでスタッフの心構えも違ってくるものです。

少しでも楽に治療が受けられる様に注意をしながら進めてくれるはずですよ。

1-2 食後を避け楽な服装で

食後のお腹一杯の時や極度に空腹のときは、「オエッ」となりやすいものです。
また前日にアルコールやしつこい食事で胃もたれしていると良くありません。コーヒーなどの刺激物も避けた方が良いでしょう。寝不足や体調不良も関係してきますので普段から注意が必要です。

また、当日は閉めつけるような服装は避けてゆったりしたものを選んだ方が安心ですね。

                 

1-3 生活習慣を見直す

タバコはのどや食道が荒れるので、嘔吐反射を起こす大きな原因です。タバコは「百害あって一利なし」なのです。
肥満も原因の一つです。のどや頬に脂肪がたまり咽頭部が狭くなると嘔吐反射がおきます。

生活習慣の乱れは様々なところに、様々な害をもたらします。ぜひ日頃から見直しましょう。 

2.治療が始まったら

歯医者で起こる嘔吐反射の原因は「器具を入れたり、喉の奥の方に水が溜まると気持ち悪い」「吸引(バキューム)で舌を抑えられるのがダメ」「レントゲンのフィルムを入れられない」「型取りがとにかく辛い」などたくさんあります。

でも歯の治療のためにはそのどれもが必要で、必ず行うことばかり。少しでも楽に治療ができるようするべきことがあります。

2-1 力を抜いてリラックスを心掛ける

治療中は「舌」に力が入ってしまうと嘔吐反射が起きやすくなります。歯を削る器具(タービン)は舌や頬の粘膜を傷つけないように吸引器具(バキューム)で舌を押さえる必要がありますが、力が入っているとそれ以上の力を加えないといけません。

できるだけダラーンと力を抜きましょう。小さなタービンを用意している歯科医院もありますので聞いてみるのも良いでしょう。

 

2-2 口の中に意識を集中させない

口の中に水が溜まっている、舌の横に綿が入れられている、舌がすごい力で今押さえられている、なんていう風に治療中の状況をいろいろ想像すると、それだけで気持ちが悪くなってしまいます。
難しいことだとは思いますが、あえて全く違うことを考えて意識を向けないこともコツのひとつです。

「終わったらなにしようかな~」とか、「今度の休みにはあの映画を見に行こうかな~」なんてなんでもいいので他のことを考えてみます。

2-3 体調を整える

風邪をひいて喉が腫れていると嘔吐しやすくなります。咳が出やすい時も同じです。
風邪が治ってからのほうが安心できるかもしれません。

3.最大の難関!歯の型取りを乗り越える方法

虫歯が進行して歯を削る部分が大きくなると、金属の詰め物や、かぶせ物を入れる事になりますが、ここで必要なのが「歯の型取り(印象:いんしょう)」です。
ドロッとしたやわらかな材料を口の中に入れて固まるまで耐えないといけない。この作業が嘔吐反射の強い方には最大の悩みですね。

★補足

歯に入れる金属の種類が大きくなると、型取りも大きなものが必要になります。
例えばインレーやFCKといわれる金属は歯の本数が少なければ小さなトレーで取ります。歯の本数が多くなり、連結(2本以上つなげた状態)やブリッジなどや義歯の型取りになると反対側、または全体の噛み合わせを見る必要があるので大きなトレーで取らないといけません。
また、歯がどの位置で噛んでいるかを見ないと金属を作ることはできないため、噛み合わせている場所の上下の型取りを必ず行います。

《型取りに使うトレー》
印象トレー

3-1 鼻でゆっくり呼吸を続ける

トレーがお口の中に入ったとたんにパニックになってしまう場合があります。
落ち着いて鼻でゆっくり深呼吸をすると楽になります。

3-2 決め手は身体とお口の角度

トレーを入れたら椅子(ユニット)を起こして身体をできるだけ垂直にし、顎を引いて自分のおへそを見るようにすると楽になります。トレーの奥から漏れた型取りの材料(印象材)がのどに流れるのを防ぎます。
あらかじめ、スタッフの方に「固まるのを待つ間は椅子を起こしておいてほしい」と伝えておきましょう。

印象材が固まるのは大体2分30秒。顎を引きゆっくり鼻で深呼吸しながら、何とか耐えてくださいね。
唾液が出るのは当たり前のことなのでティッシュペーパーなどで押さえていれば大丈夫です。

*歯科医院スタッフはその時こう考えている*

実は私たちも印象を取るのは緊張します。まして嘔吐反射の強い方はなおさらです。
トレーの上に入れる印象材の量をできるだけ減らしたり、硬さを若干硬めにしたり工夫をします。口の中に入れたら素早くユニットを戻して「ゆっくり息をしてくださいね」と言いながら自分も落ち着かせていたりします。
「一回できれいに取れていますように」と呪文のように心の中でつぶやいているのです。

もし吐きそうになってしまったら我慢しないで吐いてしまって大丈夫です。
ただし、印象材は時間の経過とともに固まる性質のため、できるだけ時間が経ってからのほうが固まりで吐きだしやすくなっています。
やわらかいうちに吐きだす動作をお口の中ですると、まだ固まっていない印象材が舌の上についてしまい、ますます気分が悪くなってしまうこともあります。

そのため、患者さんのご気分が悪くなってしまったときにまだ印象材がほどほどに固まるまでの時間が経っていない場合は、すぐにお口からトレーを取り出すことができないこともあります。
ご気分の悪化を防ぐという理由がありますので、何卒ご理解ください。

3-3 できるだけ型取りの上手な人にお願いする

型取りの上手下手は、やはり経験の多さで変わってきます。
何を目的とした型取りなのかによって、注意する点が変わってきますので、素早く正確に型を取るのはとても難しく高い技術が必要です。

*なぜ何回も取り直すことがあるのか*

型を取ることは、歯のそのままの状態を口の外に正確に再現させることが重要なので、小さな気泡が入ったままや歪んだ状態で模型を作製してしまうと、それをもとに作製した金属は、歯に入れたときに適合の悪い物が出来上がってしまうことになります。

不適合な金属は更に虫歯の原因になったり、噛み合わせに関わると、顎に違和感や痛みなどの症状が出たりします。そのためにきれいな型取りができるまで何度もやり直す必要があるのです。

「もう!勘弁してよ」とお思いでしょうが、私どもも「何度もごめんなさい」と思いつつご協力をお願いしているわけです。このこともどうかご理解いただけたら大変助かります。

《気泡が入ってしまった型》
気泡   気泡 
↑ 青い印象材がついている歯の側面(右上)を見ると気泡があります

気泡
↑ 削った歯の模型です。歯の外周にいくつか余計なかたまり(左上のところなど)がついていますね

《気泡の入っていないキレイな型》
印象   印象

印象 
↑ 先ほどのものとは違い、歯の外周に余分なものがついていません

3-4 ツボを押してみる

「天突(てんとつ)」というツボが嘔吐反射に効くツボとして知られています。
首の少し下、左右の鎖骨の間のくぼみがその場所です(イラストでは赤い点の位置)。くぼみに指を当て、やさしくそっと3秒ほどゆっくり押します。3秒離してもう一度3秒押す。
試してみましょう。

天突のイラスト

*パルス・低周波電通器*

嘔吐反射のツボである「天突」に電極を付けて微弱な電流を流すことによって、型取りの吐き気を抑えることが出来ます。
100%とは言えませんがほとんどの方は吐き気を催すことなく型取りを行えています。実際に、私どもの歯科医院では多くの患者様に「型取りがすごく楽になった!」と喜んでいただいています。

パルス
画像:(株)ポインターメディカル公式HP 

パルス 使用
 

4.それでも無理なら

いろいろ試してみても嘔吐反射がとても強くて治療が困難な方には「笑気吸入鎮静法」や「静脈内鎮静法」などがおすすめです。
ただしこれらの処置は設備のある歯科医院に限られるので確認が必要です。

4-1 笑気吸入鎮静法

低濃度の笑気ガスと高濃度の酸素を混ぜたガスを鼻から吸った状態で治療します。主に歯科治療の恐怖を取り除いてリラックスした状態が目的なので、嘔吐反射の比較的弱い方に適しています。
保険が適応され、安全で使用後もすぐ帰宅が可能です。

4-2 静脈内鎮静法 

腕の静脈に点滴で薬を流し、ウトウトした状態で治療を受けます。
全身麻酔ではないので意識はあり、お酒に酔ったイメージです。リラックスした状態で嘔吐反射の強い方が安心して使用できます。

保険が適用されますが、心拍数や血圧などの全身管理が必要だったりするので自費で行っている歯科医院もあり、確認を行いましょう。

5.まとめ

嘔吐反射の強い方にとって歯の治療はどの処置も大変で、苦痛の連続だと思います。
私が勤務する歯科医院にも嘔吐反射の強いスタッフがいて、いろいろアドバイスをいただきました。本当に大変ですね。

少しでも楽に治療ができるようにするには、些細なことでもスタッフに相談して、一緒に乗り越えていくことが大切だと思います。今回の記事がお役に立てれば幸いです。

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