歯のひびへの対処法はズバリこれ!ポイントは痛みがあるかないか

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人の体の中で一番硬いのは、実は「歯」だということをご存知ですか? 
表面のエナメル質が最も硬く、エナメル質の下にある象牙質はその次に硬い組織で、2層の硬い組織で歯の内部にある歯髄(神経と血管が通っている腔所)を守っています。

エナメル質は引っ掻くような傷に対しては大変強いのですが、もろい一面もあり、ぶつけた拍子に欠けてしまうこともあります。

欠けたり割れたりした場合は自分でもわかると思いますが、いつの間にか自分でも気が付かない間に歯の表面に亀裂が入ることがあります。

明るいところで鏡を見ていて、上の前歯に縦に茶色い筋が見えた。歯の治療中に指摘されて初めて気が付いた。など、痛みがないと自分で気が付くのは難しいことも多いのがこうした歯の「ひび」です。

今回は「歯のひび」についてお話したいと思います。

1.特に治療はせず経過観察でよいケース

下の写真のように歯の表面に薄いひびが入っている程度で痛みもない場合、表面のエナメル質層にできたひびだと考えられます。

前歯 ひび

このようなケースでは、基本的に歯削ったりしないで経過観察をしていきます。

痛みがないと治療をした方が良いのか、経過観察のままで本当に大丈夫なのか心配になりますね。
重要なことは「ひびが自然に治ることはない」ということです。

そのままにしておくと、ひびの隙間にお茶・ワインなどの食品の色素やたばこの着色が入り込んでしまい、ひびの線が目立ってしまうというデメリットがあります。
特に、前歯の入ったひびは見た目にも気になるところです。

一方、治療を行う場合は、ひびの部分を少し削ったうえで歯の色にあわせた白いプラスチック材料をつめて治療をおこないます。
こちらは、審美的にはキレイになりますが、そのために虫歯になっていない健康な歯を削ることになるので、そういうことをしたくないという方には悩ましいところです。

また、治療をした場合のリスクとして、歯磨きを怠ると白くつめた部分から虫歯になる(「二次カリエス」といいます)心配もあります。
歯科医師と良く相談したうえで方針を決めていきましょう。

2.ひびを悪化させないための対処法

治療をおこなうにしても経過観察にするにしても、今のひびの状態を悪化させないことが重要です。

硬い歯にひびが入る原因はぶつけたりする外傷や、飴や氷などの硬い物を噛んだり、歯ぎしり、食いしばりなどが考えられます。

2-1 硬い食べ物に注意をする

自分の好きな好物を思いっきり食べるのは幸せなことです。

飴や氷をガリガリ噛んで食べるのが好きな人、鳥の軟骨や硬いおせんべいが大好きな人、少々あわてんぼうでお箸やフォークをガリっと噛んでしまう人…。
こうした動作は歯に大きな負担をかけています。

人の噛む力はその人の体重とほぼ同じくらい、食事の時はそのうちの20~30%の力をかけて噛んでいます。
食いしばりのしているときは、体重の約2倍の力がかかっています。

ひびがある歯でガリガリと強く噛んだり食いしばりをするのは、亀裂が進んでしまう危険があり、常に注意が必要です。

ひびの入った歯では固いものを噛まないようにしましょう。

 

2-2 普段から食いしばりをしないよう意識する

上下の歯をグッと力を入れて噛み合わせた状態を食いしばりと言いますが、心因性、ストレス性の原因によるものが多いと言われています。

他には力仕事をしたり、スポーツ選手のように、仕事上食いしばることが多いと歯には体重の2倍の力がかかるので注意が必要です。

起きているときの改善方法で効果的なのは「貼り紙法」。
目に見えるところに貼り紙をして、それが目に入ったら食いしばりを確認することで改善されます。 

2-3 マウスピースを作る

就寝中に歯ぎしりをするなら、マウスピースが有効です。
歯科医院で歯の型を取り作製します。

市販のものもありますが、歯の大きさや歯並び、歯の傾きなどその人の歯に合わせたマウスピースは簡単には出来ませんので歯科医院で作ることをお勧めします。

マウスピースのメリットは、歯のひび割れを防止することで歯のすり減り・顎への負担を軽減します。
マウスピースに慣れることでリラックス効果も得られ、睡眠の改善にもつながります。

★補足★

マウスピースは基本的には上の歯に装着します。
吐き気が強くて入れていることが難しい方は、下の歯にのみ装着するように作製することもできます。

マウスピースを入れることで歯を守りましょう。

3.ひびがある歯も良く磨きましょう

ひびが有る無しに関わりなく、通常の歯磨きはしっかり行いましょう。
電動歯ブラシの使用はとくに問題ありません。

注意点は硬い歯ブラシでゴシゴシ力を入れて磨かないこと・電動歯ブラシならブラシを歯に押し付けないこと。

この注意点はひびのない健康な歯にも共通して言えることです。

★歯ブラシの使い方★

①    優しい力で鉛筆を持つように歯ブラシを持つ
歯磨き方法2

②    45度にブラシを傾けて歯肉の境目は45°、歯面は90°
歯の磨き方 バス法の画像

  歯磨き方法 

③    大きなゴシゴシ磨きは歯と歯肉を痛めます。小刻みに1,2本ずつ磨く
歯磨き法 
画像:いずれもライオン公式HP

★電動歯ブラシの使い方★

①    ブラシの当て方・角度…基本的には手で磨く時と変わりません。

②    ブラシ圧(力加減)…磨きたい歯にやさしく触れる程度の力で、数秒間歯に当てて横にスライドしていきます。押し付けてしまうとせっかくの動きを妨げてしまいますので注意しましょう。

4.痛みがある場合の進行度による対処法

冷たい物がしみたり、噛んだ時に痛みなどの自覚症状がある場合は、エナメル質層よりも奥の象牙質までひびが入っている可能性があります。

ひびの入り方や大きさ、深さによって治療法が異なります。

4-1 歯を削ってかぶせ物をする

ひびが進行してしまうと歯が欠けてしまうことがあります。
欠けた部分が小さいならその部分を削って白いプラスチックの材料で修復をしたり(コンポジットレジン)、型を取って部分的な金属(インレー)の詰め物を入れます。

●部分的な金属(インレー)

4-2 神経を取って根っこの治療をする

ひびがさらに深く神経にまで達しているときは、痛みも強いので神経を取ることになります。

麻酔をして神経を除去した後、神経の入っていた管(根管)がきれいになるまで数回治療を行い、最終的には感染防止の薬剤を詰めて、かぶせ物をします。

●根っこの治療の方法
根治

●土台をいれたあと最終的な被せ物をいれる
根治 治療後

4-3 ひびの入った歯を抜歯をする

ひびが大きく根っこの中まで進んでしまうと歯牙破折の状態になり、歯を残すことが難しく、抜歯をすることになります。

抜歯後は歯肉の回復を待って、部分入れ歯、ブリッジ、インプラントのいずれかで欠損部分を補います。

他の歯の状態によっては希望がかなわなかったり、保険の物か自費の物で金額も大きく変わります。
歯科医師と十分相談して選択することが大切です。

下の写真は丸く囲った部分が根っこの割れているところです。

●ブリッジ
前歯のブリッジ         

●部分義歯 
部分義歯 クラスプ      

●インプラント 
インプラント         

★知っているちょっと自慢できるお話★

硬さを表す「モース硬度」という単位をご存知ですか? 
物の硬さを10段階ではかる単位をいいます。

世の中で一番硬い物質であるダイヤモンドは硬度10。
では人の体の中で一番硬いものは何でしょう。

答えは歯の表面のエナメル質。硬度6~7です。象牙質が5~6。
かなり硬いことがわかります。

骨は5でガラスと同じくらいの硬さ、爪は2.5で象牙と同じくらいの硬さです。
ちなみに鉄が4、金が3です。

エナメル質を削るにはより硬いダイヤモンドの粒子を含む切削器具で削ります。
すごいですね。

5.まとめ

歯のひびに気が付いたら痛みがあるかどうかがポイントです。
痛くなければ虫歯にならないようにしっかり磨いて、いたわりながら大切に使ってください。

痛みがあるなら出来るだけ早く診察をうけましょう。

永久歯は1度しか出てきません。
たいせつな歯を失うことなく使っていくには日ごろから観察することも大切です。

参考にしていただけたら幸いです。

 

 

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