「歯石を取る」のは大変でしたか?
事前の歯周ポケットの検査が思った以上に痛かったし、歯石を取っている最中は血が出て痛いし、超音波のキーンという音が頭にガンガン響いて辛かった・・。
大変でしたね。お疲れ様でした。
初めて歯石を取った方はどんな感想をお持ちになったでしょうか? 気持ちよかった? もう二度とやりたくない?
大変な思いをしてせっかく歯石を取った後、お口の中はどんな変化があるのでしょうか。
目次
1.歯石除去後に起こるかもしれないトラブルと対策法
歯石を取ることは医療行為なので、国家資格をもつ歯科医歯と歯科衛生士に限られますが、歯石を取る時は歯や周囲の組織に傷をつけないように細心の注意を払いながら行っています。それでも後になってトラブルが出てくることがあります。その代表的なものを見ていきましょう。
1-1 歯がしみる
歯石除去後のトラブルで多いのは歯がしみる症状を起こすことです。歯と歯肉の境目の歯石を取ることで歯の根の表面が露出すると、刺激が歯の中にある神経に伝わりやすくなるために、痛みを感じます。知覚過敏の状態です。個人差がありますが、自然に落ち着いていきます。
《しみる症状が強いときはどうする?》
まず最初に知覚過敏用の歯磨き粉を試してみましょう。しばらく続けても効果が無いときは、歯科医院でしみ止めの薬品を歯に塗ってもらいます。
知覚過敏用の歯磨き粉『シュミテクト』
画像:公式HP amazon購入ページ
歯医者さんで塗るしみ止めの薬品
1-2 歯がぐらつく
歯石が付着する場所は、誰でもほぼ同じです。上の歯の奥歯の頬側と、下の歯の前歯の裏側です。特に下の前歯は歯石が大量に付いていることも少なくありません。歯周病が進んでいる場合、この歯石があることで歯がしっかりしていることも多く、歯石を取ると支えが無くなり歯がぐらついてしまうこともあります。
歯石除去前
歯石除去後
《止められないの?》
歯ブラシを歯と歯肉の間に当て、丁寧に磨くことを続けましょう。歯肉が引き締まって歯の動揺が止まることがあります。歯周病が進んでいて骨(歯槽骨)の退縮が著しく歯のぐらつきが大きい場合は隣の歯と歯科用のボンドで固定をすることもあります。ただし、隣の歯がしっかりしている場合に限られます。
1-3 食べ物が詰まる
歯石を取ることで歯と歯の間の隙間が大きくなることがあります。また、残念なことに加齢によっても歯の隙間は少しずつ出来てきます。挟まることよりも挟まったままにしておくことの方がよくありません。食べ物が詰まったら必ず取り除きましょう。
《上手に取り除くには》
歯の間に挟まっているなら、デンタルフロスや糸ようじ。歯と歯の間に詰まってしまうなら、歯間ブラシ。と、言うように便利なアイテムを積極的に使用しましょう。使い始めは上手に扱えなかったり、出血したりしますが、それは誰にでもいえる事。あきらめず使い続けることが大切です。
1-4 違和感がある
歯みがきで取り残したプラークが歯石になるのには48時間。唾液の中の成分と混ざり合って少しずつ硬くなっていきます。そうやってプラークが重なり合い、いつの間にか歯石が溜まっていきます。舌先はとても敏感でお口の中の異物にすぐに反応しますが、時間をかけて溜まった歯石は慣れていて意識はしません。そんな歯石を一気に取ると少しの取り残しにも違和感があったりします。
《ザラザラが気になったら》
歯石が多くついていたり、歯肉が炎症を起こした状態で歯石を取ると出血があって、歯石が見えにくかったりすると取り残してしまうことがあります。まずは良く磨いてみましょう。それでも気になったら歯科医院で診てもらいましょう。歯石があるとプラークが引っかかってまた歯石の付着につながります。
2.歯石を取らずにそのままにするとどうなる
せっかく歯石を取ったのにしばらくすると、また歯石は付いてしまうことがほとんどです。歯石を取るのが痛いから。とか、歯科医院に行くにが面倒だから。など、歯石を取らずにそのままにしておくとどうなるのでしょうか。
2-1 歯肉炎になる
プラークが歯と歯肉の間(歯頸部)に溜まると歯肉が赤くなり、出血しやすくなります。
2-2 歯周病が進む
初期の歯肉炎と、軽度、中度、重度の歯周炎を総称して歯周病と言いますが、その原因になるのが磨き残したプラークです。そのプラークが硬くなったものが歯石ですので、その汚れが付いたままになっていることがいけないのです。歯を失う原因になる歯周病は35歳以上の成人の約80%が罹っているといわれています。きちんと定期検診を受けることがどれだけ大切なことかおわかりいただけましたか?
くわしくは、『歯周病で歯が抜けてしまう?!~歯周病末期の状態とは?~』をご覧ください。
3.歯石の再付着を防ぐために使うべきアイテム3種類
プラークを残さず完璧にケアをすることは、とても難しいことです。磨きにくさは歯並びが大きく左右します。歯が重なっていたり、傾斜していたり。歯磨きがうまく出来ない部位は人それぞれ違います。歯並びを変えるのは難しい事ですが、便利なアイテムを使いこなせば磨き残しを減らすことが出来ます。
3-1 歯ブラシを正しく選ぶ
自分にはどんな歯ブラシが良いのか。その1本を見つけ出すのは大変です。基本となるカギはブラシの硬さです。歯と歯肉の間を磨くのに痛くない、軟らかいブラシを選びましょう。
くわしくは、『現役歯科衛生士が選ぶパートナーに使ってほしいおすすめ歯ブラシ11選!』をご覧ください。
歯ブラシ『タフト24』
画像:公式HP
3-2 歯間ブラシを使用する
歯と歯の間は歯ブラシが届きません。歯の間には驚くほど汚れが残っています。プラークはもちろん、食べかすが押し込まれるように入っていたり、ゴマが丸々入っていたり。歯間ブラシで清掃すればほとんどの汚れを取り除くことができます。爪楊枝はお勧めできませんので使用はやめましょう。
『DENT.EX 歯間ブラシ』(ライオン)
画像:公式HP
《歯間ブラシの使用方法》
歯の間に歯間ブラシゆっくり入れて、前後に数回動かす。
画像:サンスター公式HP「デンタルフロス/歯間ブラシの使い方」
3-3 デンタルフロス、糸ようじを使用する
歯と歯の間の隙間が狭くて歯間ブラシが入らない所や、歯に食べ物が挟まってしまうならフロスを使いましょう。フロスを指に巻きつけて使うことに慣れれば、どの場所にも自由自在に使うことが出来ます。ぜひ練習していただきたいアイテムです。
デンタルフロス『REACH』
画像:amazon購入ページ
糸ようじ『ウルトラフロス』
画像:公式HP amazon購入ページ
それぞれの選び方、くわしい使用方法は『初期の歯周病でやってほしい5つのケア』をご覧ください。
4.まとめ
きちんと磨いているつもりでも、いつの間にか付いてしまう歯石。硬くなった歯石は歯磨きでは取れないので歯科医院で定期的に取る必要があります。大事なのは歯石を取ることではなく、歯石を付けないようにすること。歯石をきれいに除去した時がスタートです。