これを知ってもタバコを吸いますか? ~喫煙が原因で起こる歯周病やその他の口腔・全身疾患~

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みなさんはタバコの煙がどんなものかご存知ですか?
タバコの煙の中には4,000種類の化学物質が含まれており、その中の200種類以上が有害物質で、うち発癌性物質は50種類を超えます。

喫煙

上記はタバコの煙の中に含まれる代表的な有害物質です。こんなものが口の中に入れているとは知らずに喫煙している人が多いのではないでしょうか?

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歯を失う原因の第一位とされる歯周病。
歯周病はタバコ(喫煙)と深い関係があります。

タバコは歯周病の最大のリスク因子であり、歯周病以外にも様々な疾患を引き起こします。
タバコがどのような影響を与えているかを知ることにより、お口の中及び全身の健康を見直すきっかけにしていただければと思います。

1. 喫煙が歯周病リスクを高める4つの理由

タバコの煙はまずお口の中を通過しますので、口腔内はタバコの煙による直接的な影響と、体内に入り込んだニコチンが血液を介して与える間接的な影響を受けます。タバコが口腔粘膜や血液を介して与える影響により、喫煙者は非喫煙者と比較して、歯周病の発症と進行程度が高くなります。

1-1 歯肉に酸素や栄養が運ばれにくい

タバコのニコチンによって血管が収縮されるため、血液によって運ばれる酸素や栄養が歯肉に運ばれにくくなります。

1-2 免疫機能の低下

血液中の白血球には、体内に入った異物を取り込んで食す貪食能や抗体を作り出す機能がありますが、喫煙によりこれらの機能が低下し、免疫機能がうまく働かなくなります。

1-3 細胞修復機能の低下


歯周組織にニコチンが沈着し、組織内に沈着したニコチンは細胞修復の要ともいえる繊維芽細胞の増殖や付着を抑制し歯肉の修復を妨げます。

1-4 歯周ポケット内の酸素不足


歯周病菌は酸素を嫌いますが、喫煙により歯と歯肉の境目の溝(歯周ポケット)に酸素が不足するため、歯周病菌が増殖しやすい環境になります。

2. 喫煙者は歯周病の進行に気づきにくい


喫煙により歯肉は角化し、血管が収縮しているので血流が悪くなっています。
歯周病の初期症状として歯肉の出血や腫れがありますが、喫煙者は非喫煙者と比較すると、それらの症状が現れにくくなります。初期症状が現れなくても実際には歯周ポケット(歯と歯肉の間の溝)が深くなっており、自覚症状がないまま静かに尚且つ非喫煙者より速く歯周病が進行していきます。歯周病治療を開始したとしても喫煙しながら行った場合、非喫煙者に比べて治療の効果が出にくいとも言われます。

3.喫煙が及ぼすその他の症状・疾患


喫煙により歯周病以外に口腔内には様々な症状や疾患が現れます。全身的にも、一般的に知られている肺癌以外にも様々な疾患があげられます。

3-1 歯周病以外の口腔内の症状・疾患


タバコのヤニによる色素沈着や口臭はよく知られていますが、その他にも色々な症状がお口の中に起きます。それらは見た目などの審美障害は勿論ですが、咀嚼(噛む)、嚥下(飲み込む)、発音などの大切な口腔機能をも低下させてしまいます。

●歯肉メラニン色素沈着・・・健康な歯肉はピンク色ですが、ニコチンなどの有害物質から歯肉を守ろうとしてメラニン色素が増え、歯肉が黒ずみます。痛みなどの症状はありませんが、笑ったりすると見えるため審美的には良くありません。
※喫煙以外にも口呼吸・金属の埋入・紫外線などが原因の場合あり

歯肉色素沈着

 

http://一般社団法人 日本ヘルスケア歯科学会HPより

●角化症・・・タバコの煙(乾燥した熱い空気)を吸い込むたびに、普段は湿っている口腔内が乾燥し、粘膜が軽いやけどを繰り返します。さらに体内に入り込んだニコチンが唾液の分泌を抑制し乾燥することにより粘膜が白っぽくなります。特に上顎の粘膜に現れます。

 

●黒舌症(こくもうぜつ)・・・長期間の喫煙により舌の表面にある糸状乳頭の角質が増生され高まり、舌に黒く毛が生えたように見えます。これも見た目が良くありません。

黒毛舌

 

●味覚減退・・・体内に有害物質が入ることにより活性酸素が発生し、それが溜まることにより体はダメージを受けます。それを防ぐために体内の亜鉛が使われますが、この亜鉛が欠乏することにより味覚障害が起きます。また、タールやニコチンは舌の味を識別する味蕾という部分の働きを麻痺させるため、味が分かりにくくなります。

●口腔癌・・・喫煙による有害物質により口腔粘膜が損傷され起こります。初期は痛みや出血などはなく、ただれたり、固いしこりのようなものができます。
 舌癌②

 

3-2 喫煙による全身的疾患


飲み薬に舌下錠(舌の下で薬を溶かして服用)がありますが、これは狭心症などの急性発作で使用します。飲み込むのではなくて舌下で溶かすことにより体内への吸収が早まり、薬は1~2分で効き始めます。それからも分かるように、タバコの煙は口腔粘膜を通してすぐに全身に回ります。そして継続した喫煙は様々な全身的疾患の原因となります。

タバコ全身疾患

http://一般社団法人 日本ヘルスケア歯科学会HPより

4.あなたの喫煙が吸わない周りの人にも影響を与えます(受動喫煙)


喫煙する本人はフィルターを通した「主流煙」が体内に入ります。フィルターを通すことによりタールやニコチンも減ります。しかし、それに対してフィルターを通さない「副流煙」は「主流煙」よりも発癌物質などを多く含む煙です。
 

4-1 受動喫煙による疾患・症状


本人の意思で好んで喫煙しているなら自己責任ですが、あなたと一緒にいる大切なパートナー、お子さんにも口腔内を含め全身的に様々な症状・疾患が現れます。
本人が喫煙をせずとも、喫煙するあなたの周りの人達の口腔内でも歯周病を誘発し、歯肉メラニン沈着やその他全身的な疾患が出てくるのです。

受動喫煙

 

http://一般社団法人 日本ヘルスケア歯科学会HPより

4-1-1 急性症状として目がしみる・くしゃみ・鼻水・鼻づまり・頭痛などがあります


受動喫煙の影響が出やすいとされるのは、鼻・耳・のどといった空気が通る部分です。煙ですから目に入ればしみますし、鼻やのどに入れば粘膜を刺激して鼻水やのどの痛みなどの症状が出ます。
あなたの周りでそのような症状で不快に感じている人がいるかもしれません。
 

4-2 子供は大人よりも影響を受けやすい


子供は呼吸器や中枢神経が未発達なため、大人より深刻な影響を受けます。
受動喫煙により危険性が増す可能性がある子供の病気として、中耳炎・気管支炎・知能低下・アトピー性皮膚炎などがあります。また、親が喫煙者の場合、タバコに慣れてしまい、お子さんも将来喫煙する可能性が高まります。

 

4-3 妊娠中の受動喫煙による影響

喫煙者同様に血管が収縮することにより、胎児に栄養がいきわたらないため、発達遅延や低体重の危険性があり、受動喫煙が多量になれば死産・流産・早産などのリスクが高まります。

5.タバコを止めたいなら禁煙外来でまず相談を


禁煙ガイドラインでは、タバコを吸うことは「喫煙病」という全身疾患であり、喫煙者は積極的に治療を必用とする患者(タバコの犠牲者)という認識になっています。
タバコを自らの意思で止めることができるならそれに越したことはありませんが、ニコチンは依存性が高く、なかなか禁煙を継続することが困難で、あきらめてしまう人も多いと思われます。
禁煙外来ではニコチン依存症のチェック、個々に応じた禁煙アドバイス、禁煙補助薬の選択等を行ってくれます。現在、健康保険等で治療を受けることができ、自己負担3割の方の治療費は8~12~週間で13,000円~20,000円程度です。※処方される薬剤により
詳しくはこちらをご覧ください。
http://ファイザー製薬 禁煙外来へようこそ

6. それでも吸い続けるなら定期的な歯科検診が必須です!!


ここまで読み進めてもなお、禁煙をする気になれないのなら、必ず定期的に歯科検診を受けてください。
定期的なメインテナンスはお口や体の健康を維持するために必要です。喫煙者であればなおさら、様々なリスクを抱えているわけですから非喫煙者以上にご自身でも口腔内の観察をし、定期的に専門家の診察を受け、歯周病やその他の疾患が発症、進行しないよう注意を払いましょう。体の中の事は分かりづらいですが、お口の中はご自身でも容易に観察することができますから、何か気になることがあれば早めに歯科医院を受診するようにしてください。

7. まとめ

タバコと歯周病の関連、その他全身に及ぼす病気のリスクはご理解いただけましたでしょうか?
また、喫煙はあなたの周りにいる大切な人にもリスクを負わせることになることも忘れないでください。
禁煙できるのであれば、あなたの健康の為に一番良いですが、すべての人が禁煙できるわけでもなく、禁煙する気が起きない人もいるでしょう。どうしても禁煙できない人は、定期的に歯科検診を受け、止められないタバコと上手にお付き合いして下さい。

 

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