奥歯のさらに奥に生えている親知らず、毎日の歯磨きでしっかり磨いてはいるつもりだけど…。
もし虫歯になったりして抜歯することになったらイヤだ!
今のままの歯磨き方法で本当にちゃんと磨けているのかなぁ?
そんな疑問と不安をお持ちのアナタ。
実は、親知らずの歯磨きはただ歯ブラシを当てて、他の歯と同じように磨くだけでは汚れをしっかり取りきることができないのです。
大切なのは歯ブラシの使い方を工夫することと便利な補助グッズを併用することにあります。
ここでは、親知らずの正しい歯磨き方法と便利グッズをご紹介していきます。
目次
1.普通の歯磨きでは親知らずの汚れは取りにくい
親知らずとは、永久歯(大人の歯)の一番奥に生えてくる歯のことをいいます。(下のイラストの黄色い丸で囲った歯)
18~21歳頃に生えてくる歯ですが、人によってはアゴの中に埋まったきりだったり、そもそも親知らずが存在しないということがあります。
上下左右の4本すべて生えてくるとも限らず、1本だけ生えてきて残りはアゴの中に埋まったままという人もいます。
親知らずが何本生えているかは、歯医者さんで撮るパノラマレントゲンで確認することができます。
生え方にもいくつか種類があります。
歯磨きをしていて汚れがとくに取りにくい生え方は、斜めに生えている・半分だけ歯肉にかぶっている親知らずです。
1-1 斜めの親知らずは手前の歯との間に汚れが溜まる
斜めに生えている親知らずの場合、一つ手前の歯との間に大きな段差があり、ここに汚れが溜まりやすくなってしまいます。
普通の歯ブラシでは毛先が届きにくいため汚れをじゅうぶんに取りのぞきにくく、奥歯であることから目で見て確認しにくいためそのまま歯磨きを終えてしまいがちです。
1-2 半分だけ生えた親知らずは歯ブラシの毛先が当たりにくい
歯の面が半分だけ見えていて残りは歯肉に埋まっている親知らずを「半埋伏(はんまいふく)」といいます。
一つ手前の歯に比べて高さが一段下がって生えていることがあり、手前の歯を磨くのと同じ感覚で歯ブラシを動かしていると、毛先がまったく親知らずの歯にあたっていないことがあります。
少し見えづらいですが、下の写真では一番奥に一段低くなって生えている親知らずの一部分を見ることができます。
一つ手前の歯に比べて低い位置に生えていますね。
1-3 正常に生えている親知らずでも油断は禁物
他の歯と同じようにまっすぐ生えている歯であっても適当に磨くのはよくありません。
親知らずの歯の一番奥側の面と歯肉の間(下の写真の黄色い丸のところ)などにはやはり汚れが溜まりやすくなります。
2.親知らずはこうして磨く!歯磨きのポイント
ここでは、親知らずを磨く際のポイントと便利な補助清掃グッズについてご紹介していきます。
2-1 歯ブラシはヘッド小さめ・口には斜め45度で入れる
奥のほうまでブラシを入れやすくするためには、ヘッド部分が薄くて小さいものを選びましょう。
歯ブラシを奥のほうに入れるときは頬の力を抜いたほうが頬を引っぱりやすくなり、斜めの角度からでも歯ブラシをお口の中に入れやすくなります。
歯列に対して斜め45度の角度でブラシが親知らずに当たるように入れます。
歯ブラシはチョコチョコと小刻みに動かすようにします。
「ゴシゴシ」と音が鳴るほど力を入れる必要はありません。
力を入れすぎると、かえって歯肉や歯の表面を傷つけてしまうことがあるので注意しましょう。
2-2 仕上げ磨きはタフトブラシで
普通サイズの歯ブラシで親知らずも含めすべての歯を磨いたあとは、タフトブラシで親知らずだけを仕上げ磨きしましょう。
タフトブラシとは毛の部分は小さく、先端にいくにつれて細くなっている歯ブラシです。
タフトブラシをペングリップで持ち、親知らずの噛む面・一つ手前の歯との境目・親知らずの奥側の面に毛先が当たるようにして小刻みに動かします。
画像:イラストいずれもライオン公式HP
普通サイズの歯ブラシに比べて毛先がとても小さいため、無理せずに親知らずに毛先を届かせることができるでしょう。
2-3 手前の歯との間の取れない汚れにはY字フロス
斜めに生えている親知らずの場合、一つ手前の歯との隙間に汚れが溜まりやすくなります。
しかし、普通の歯ブラシやタフトブラシでは毛先がその隙間の中にまで届きません。
そういったときに使えるのがY字フロスです。
Y字フロスは糸状タイプのフロスとは違い、①持ち手があるため奥の歯にも差しこみやすい、②片手で使えるので手鏡を見ながら使いやすいというメリットがあります。
フロスを手前の歯との間に差しこみ前後に動かすことで、隙間の汚れをかきだすことができるのです。
3.親知らずをしっかり磨かないとどうなるの?
毎日の歯磨きで親知らずをしっかり磨けていないと、歯ぐきの腫れや痛みを引きおこし、歯周病・虫歯になるリスクが高まります。
「虫歯になったら抜いちゃえばいいや」と思っていると危険です。
こうした歯周病・虫歯のリスクは、その親知らずの歯だけではなく、その手前の歯などにも影響します。
また、親知らずの部分に汚れが残ったままになると、いずれは口臭を引きおこす可能性もあります。
そういったトラブルを起こさないためにも、毎日の歯磨きでしっかり親知らずを磨くようにしましょう。
4.親知らずは抜いたほうがいいの?
歯磨きしづらくてトラブルも多そうな親知らず、いっそ抜いてしまったほうがいいの?という疑問をお持ちの方もいるかと思います。
現在親知らずが生えている状態でもしっかり歯磨きができていて、腫れや痛みなどのトラブルを感じていない場合は生えたままでも問題はありません。
しかし、今後そういったトラブルが起きるリスクは常にあります。
また、親知らずが生えていることで他の歯の歯並びに影響がでたり、噛み合わせが変わってしまうこともあります。
まずは一度かかりつけの歯医者さんでレントゲン撮影や検査で今の親知らずの状態を知り、そこから抜くかそのままにしておくかの相談をするのがよいかと思います。
もし、腫れなどを感じている場合でもすぐに抜歯を、とはなりませんのでご安心ください。
症状のレベルにもよりますが、基本的にはひとまず患部の洗浄・抗生物質や消炎剤の処方で経過観察になることがあります。
強い痛みを感じている場合は、麻酔の効きが通常のときよりも悪くなるため、こちらもある程度は症状が落ち着くまで抜歯を様子見することがあります。
すぐに抜歯しなくちゃいけないの?と思うと不安になってしまうかと思いますが、まずは検査や薬剤処方が最初になりますので、怖がらずに歯医者さんに行ってみてくださいね。
くわしくは、『親知らず。抜歯すべきか残すべきか。あなたの歯はどっち?』をご参考になさってください。
5.まとめ
親知らずをちゃんと歯磨きしないと、その歯だけではなく手前の歯なども歯周病・虫歯の危険にさらしてしまうことになります。
毎日のケアに努めながら、このまま親知らずを生やしたままに抜歯するかの相談を早めに歯医者さんでするようにしましょう。