歯が折れた人が最初にするべき3つの事

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転んでぶつけたり、物を食べていた拍子に、歯がおれてしまうことがあります
今回は、そうなってしまったときにまずどうするのか、そして歯医者で何をするのか紹介していきたいと思います

1.歯が折れたらする3つの事

歯は折れてしまったら放っといても元に戻ることはできないので、歯科医院で治療をするしかありません
これから歯科医院に行くまでにしたほうが良いことを紹介します

1-1.折れた歯があったら無くさないようにする

歯が折れたら、折れた歯のかけらがあるか確認してください。あったら、無くさないように何かに入れてください。
タッパー、ビニール袋、ラップ、紙袋(小さめの封筒)などが良いでしょう。ティッシュ包むのもかまわないのですが、ティッシュのカスと歯の組織片が絡みついてガビガビになってしまっていることがあるので、歯科医院に行くまで時間がかかる人はティッシュを避けたほうがよいばあいがあります。

歯の破折片
歯の破折片(はせつへん)の例。上図のばあいは2つのかけら両方を歯科医院に持ってきてくれると助かります

注意!歯が抜けた人!

歯牙脱落

歯が折れたと思ったら歯が1本まるまる抜けてしまっているときがあります。
そうなったときは、下記のいずれかの方法で歯を保存し、早急に歯科医院に来てください

  1. 歯牙保存液にいれる(理想)
  2. 生理食塩水にいれる(理想)
  3. 牛乳にいれる(現実的なのはこれ)
  4. 口の中に歯を含んで唾液で乾燥を防ぐ(小児のばあい避けてください)

歯牙保存液
↑歯牙保存液(教育機関の保健室や、薬局にある)

歯周病で歯が抜けたときは残念ながら、歯を戻すことができないことが多いです
しかし、小児若年者外傷が原因で歯が抜けたばあいは、30分以内に歯を戻して固定すれば、抜歯をさけられる可能性があがります

「■才の子供が、転んで歯が抜けました、すぐに診てもらえますか?」
などと状況を説明し、近くの歯医者さんに電話をしましょう

1-2.折れた場所を確認する

折れたところを鏡で見てください。

歯だけ折れている人

歯のみが折れて、歯がグラグラしていない人は、ただちに歯科医院に治療の予約を取りましょう

歯がグラグラしている人

歯牙脱臼

歯も折れているのに加え、歯がグラグラしたり歯が抜けかかっている人は、むやみに歯を触らないようにしましょう。
特に歯が抜けかかっている人は、決して自分で歯を元に戻そうとしないでください
こういった人も、歯科医院に「歯が折れた」ことと「歯がぐらついていること」を連絡して、治療を早く受けてください

歯ではなく差し歯がとれた人

よく見たら、歯ではなく差し歯が折れて(とれて)いるときがあります
こちらの記事「差し歯がとれて困ってる方へ~応急処置教えます~」を参考にしてください

1-3.唇とか怪我をしていないか確認する

歯をぶつけて歯が折れた時は、唇もケガをしているときがあります

軟組織損傷
↑上の歯で下唇を切ってしまうことがある

  • 血が止まっているときは何もしなくて良いです
  • 血が止まらないときは、きれいなティッシュで圧迫しましょう
  • 外傷で、傷口にが付いていたときは、化膿しないように水でかるく洗い流しましょう

2.治療の流れ

歯が折れて治療をするときの一連の流れを紹介します。検査までなら確実に保険内ですみます。その後の大体の治療も保険で賄えるのですが、難しい症例で特別な保険外治療(部分矯正や歯ぐきの手術など)をすることになったら、その分は自費診療になります。

2-1.外傷の場合は視診と触診

外傷の人は歯だけなく、口や顔の周りもケガしていることがあります。まず、顔面の視診と触診をします。骨が折れてないか顔をまんべんなく触診します

2-2.レントゲンを撮る

体や顔面の骨に異常がないと分かったら、お口の中の写真を撮ります。お口や顎の骨が見える大きな写真と、折れた歯の周りが取れる小さな写真を撮ります

2-3.歯の折れた位置を確認

レントゲン写真と触診などで、歯の折れた位置を確認して、治療方針を決めます

2-4.唇をひどく切ってるときは縫う

縫ったほうが良いほど唇を切っているときは、縫合をします

軟組織損傷
黒い糸で右下の唇を縫合しています

折れた場所で治療がかわる

歯がどこらへんで折れたのか分かったら、治療が始まります。軽症なら、当日で治療がおわることもあります。しかし重症だと治療が長期化します。
費用は保険対応で、初診なら5000円持っていけば足りるでしょう

治療別の費用についての記事はこちら
知らないと損する!虫歯の治療種類~治療費と治療期間~
虫歯の治療費?いくら歯医者に持ってけば足りるのか教えます 

3-1.ちょっとしか欠けてない人

歯のエナメル質というところだけ折れた、というより、欠けた人のことになります。かなり軽症です。痛みはほぼなく、とんがった場所を磨いてツヤツヤにするか、CRという白い樹脂で欠けたところを埋めて、1日で治療が終わります

歯牙破折
の先端しか折れて(欠けて)いない

3-2.神経まで行ってない場所で折れた人

歯の第二層の象牙質まで折れた状態です。象牙質がむき出しになっていると知覚過敏のような“冷たいものにしみる”症状がでます。これも軽症の部類です。
しかし、放置すると、暖かいものにもしみ初めて神経をとることになるので、早めに歯医者に行きましょう

歯牙破折
黄色いところ(象牙質)までおれてしまっている

治療は、折れた歯のかけらがあって、戻せそうならくっつけます。なかったら、前歯ならCR、奥歯ならCRかインレーで治します。

歯牙破折
左上の前歯が少しかけ、下の前歯ががっつり折れています

歯牙破折
神経まで達していなかったので、白い樹脂(CR)で治すことができました

しかし、歯の折れ方(欠け方)とかみあわせによっては、CRやインレーで治してもすぐにとれてきてしまうことがあります。そういった人は歯の表面を一層削って、クラウンを被せることを提案されます

CRやインレーといったつめものですむか、クラウンのような被せ物になるかどうかの違いは、患者さんの歯の状態やかみ合わせによって変わるので、担当医に聞いてみましょう

3-3.神経のあるところまで折れたが、歯ぐき付近の歯は残っている人

神経があるところまで折れた人は、神経をとる根管治療をして被せ物(差し歯)になります。歯ぐき周りの歯質が残っており、差し歯にしたとき支えとなる歯の強度があるので、歯を抜かなくて済むのです


関連記事
根管治療って何? 治療の流れをわかりやすく解説します
差し歯って結局なんなの?その疑問、答えます

歯牙破折
図の赤い部分(神経)まで折れてしまっている

歯牙破折
上の写真を見ると、神経の管まで見えています。これでは神経の治療は必要ですね

(状況によっては神経を残すこともありますが、数ヶ月後に痛みがでてしまったら神経をとることになります)

子供のばあいは条件がそろえば神経を残す方法をとることもある

小児のばあいは、外傷で折れたばあいで虫歯菌などで神経が汚染がされていなければ、神経を残す治療法を選択するときがあります。しかし、この方法なら“必ず”神経を永久的に残せるわけではありません。神経が死んでしまっていないか経過観察が必要で、数か月後にまた来院してもらうことになります。

3-4.歯と歯茎の堺まで折れた人

歯茎付近の歯が折れるということは、かなり厳しい状態になります。
診断が難しく、根っこの治療で済む人と抜歯するしかない人に分かれます。状況が患者さんによって違うので、どっちになるのかは申し訳ありませんが、実際に診断しないと分かりません。

歯牙破折

a、bの部分で折れたら、根っこの治療をして差し歯ですむ可能性が高いです

cだと抜歯をすすめられることもあります。差し歯にすることもできるのですが、支えになる自分の歯が少ないので、差し歯をムリヤリ作ってもすぐに取れてくることが多くなります。早い人は、1~2週間でとれることもあります。

また、医院によっては部分矯正や、歯ぐきの手術、歯をささえる骨の手術を提案されることもあります。こういった治療をすると、抜歯を避けられることがあるのです。しかし、矯正や歯ぐき・骨の手術は自費診療になるので、高額になります。

正直なところ、保険診療の範囲では、上図のcで折れた歯に予後の良い治療法がなかなかありません。

3-5.根っこで折れた人

根っこで歯が折れた人は、予後が悪いことが多くなります。
筆者としては、根っこが折れた=抜歯です。。
今まで勤めてきた医院でも例外なく抜歯をするしかないという方針でした。

しかし、専門書的には色々な治療法があるので、一応そちらも紹介しますね

歯根破折

aで折れた人

折れた歯(破折片)を除去して、残っている根っこの状況を見て、差し歯にするか抜歯にするかを決めます。3-4で説明したとおり、自分の歯の量が少ないのに差し歯を作っても、予後があまりよくありません。担当医によっては総合的に判断して、最初から抜歯をすすめることもあります
中には部分矯正をして差し歯にする提案をする医院もあるでしょう。その場合は自費診療になります

とcの位置で折れた人

歯根破折

神経が生きているのなら歯が動かないようにして3ヶ月様子を見ます。そして3ヶ月後に問題がなければ抜歯をしないで経過を見ます。

しかし、最初(初診時)から神経が死んでいたり、固定した3ヶ月後に神経が死んでいたら、根っこの治療をします。根幹治療をして予後がよければ差し歯にしたり、予後が悪かったら歯ぐきを切って骨をけずって根っこの先の折れた歯を外科的にとったり、1回抜いた歯を埋めなおす再植といったことをしたりします。

ちなみに、根っこの先の折れた歯をとる手術(歯根端切除術に準じる方法)や、再植といった大変な治療をしても、歯の予後が良いととは断言できません
だったら、最初から抜歯を選択するのも手ですね

  1. 抜歯をするのを避けて、アグレッシブに治療を受けてみるか、
  2. 最初から抜歯を選択して、なくなった歯をどうするか選ぶのは、

患者さんしだいです…


自分の歯を残せるのか残せないのか、残せるなら何をするのか、どういったリスクがあるのか、担当医によく質問をして、納得できる治療法を選んでいきましょう

関連記事「歯の根っこが割れる?歯を抜かない歯根破折の治療法とは?」

4.まとめ

歯が折れるとびっくりするのではないでしょうか…

簡単に治せる人もいますが、そうでもない人もいるので、歯が折れたらなるべく早く歯医者に行って治療を受けてくださいね

  • 臨床歯科エビデンス 顎・口腔領域の外傷 佐藤田鶴子 南山堂
  • SIMPLE TEXT 口腔外科の疾患と治療 栗田賢一 他 永末書店
  • 小児歯科学 第3版 赤坂守人 他 医歯薬出版株式会社
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