歯みがきしたあとにふとお口の中を鏡で見たみたら…「あれ?」
ベロの側面に白く波打ったような痕がくっきり残ってる…これって舌の病気?
痛くはないし、深刻な症状とかじゃなさそうだけどこのまま放っておいて大丈夫なのかな?
その舌にできているデコボコの痕、「舌圧痕」といわれるものなんです。
実は日常生活の中の何気ないクセだったり、生活習慣によって舌の側面に歯型がついてデコボコの痕が残ってしまうことがあるんです。
ここでは舌圧痕の原因について簡単にわかりやすくご紹介していきます。
舌圧痕のおもな原因3つと対処法
舌圧痕ができてしまうしくみは、舌が歯列(歯の並び)に強く押しつけられることにあります。
舌圧痕自体には早急に治療を必要とするような病的な危険性はありません。
しかし、舌圧痕をつくってしまうに至った原因をそのまま放置していると場合によってお口の中だけではなく、体の健康も損なってしまう可能性もあります。
まずは、舌圧痕ができてしまう原因として思い当たるものがあれば、できるだけそのクセや生活習慣を変えらえるようにしていきましょう。
1.ストレスやクセで口の中に力を入れている時間が長い
緊張していたりストレスを感じたときに無意識のうちに舌を歯に押し当ててしまう習慣がある、日中に激しい運動をしたり重いものを持つ動作が頻繁にあって力むときに歯を強く食いしばるクセがある…という方は舌圧痕がつきやすい状態になっています。
寝ているときに歯ぎしりをするクセのある方は、舌の側面だけではなく、ほっぺの内側(粘膜のところ)にも同様に白いギザギザの線がついているかもしれません。
歯ぎしりというと、睡眠時に「ギリギリ」と歯をこすりあわせて音を鳴らすものがすぐ思い浮かぶかもしれません。実は、歯ぎしりの種類はこれだけではないのです。
音がしないもの、日中に無意識におこなわれているものもあります。
以下に歯ぎしりの症状の3タイプをご紹介します。
《歯ぎしりの種類》
・歯を横にこすりあわせる「グラインディング」
…上下の歯を左右にこすりあわせるタイプの歯ぎしり。睡眠時におこなわれることが多く、「ギリギリ」「キリキリ」という音がする。
・歯を強くくいしばる「クレンチング」
…上下の歯があたった状態で強くくいしばるタイプの歯ぎしり。睡眠時だけではなく、日中無意識におこなわれていることがある。音がしないため、周囲も本人も気づかないことがある。舌圧痕がつきやすい。
・歯を縦に噛みあわせる「タッピング」
…上下の歯を縦に噛んでぶつかりあわせるタイプの歯ぎしり。「カチカチ」「カンカン」という音がする。睡眠時におこなわれることが多くある。
歯ぎしりのタイプはどれか1つだけの人もいれば、2つ以上のタイプがあわさっている人もいます。
例えば、日中の覚醒時は歯をくいしばるクセがあり、睡眠時は歯をギリギリこすりあわせているという人もいます。
自分が自覚しているタイプだけでなく、無意識におこなっているタイプも実はあるかもしれません。
家族と一緒に寝ている人は他人に指摘されることで自覚しやすいのですが、一人暮らしの人などはなかなか気づきにくいこともあります。
対処法
・パソコン画面のそばや机の前など、目につきやすい場所や作業に集中しがちで食いしばりグセが出やすい場所に「噛みしめない!」などと書いた貼り紙やふせんを貼っておく。目に入ったら、噛みしめていた上下の歯を軽く離すように心がける。
・歯医者さんを受診し、就寝時に装着するためのマウスピースを作ってもらう。「ナイトガード」とも呼ばれるこのマウスピースは歯ぎしりや食いしばりによって歯が削れるのを防いだり、歯にかかる圧力を分散させてくれる効果がある。
➡歯ぎしりの種類別の症状について詳しく知りたい方は、『歯だけじゃない!体にも悪影響を与える「歯ぎしり」の正体とは』をご覧ください。
➡ナイトガードって何?と興味を持たれた方は『[Dr監修]知って得する歯ぎしり予防ナイトガードの使い方』をご覧ください。
2.舌のむくみ
「顔や足だけでなく、舌もむくむの?」のビックリされる方も多いかもしれません。
塩分の多い食事を頻繁に摂る、運動不足、冷たい飲み物を飲むのが好き、冷え性、心臓などに内蔵疾患がある、降圧剤などの薬を服用している…といった方は舌がむくみやすくなっています。
また、疲労やお酒の飲みすぎ、消化器機能が低下しているときなども舌がむくみやすくなります。
東洋医学では舌を診てそのときの健康状態がわかるといわれています。
舌圧痕が残っているのを見たときは、まずはここ数週間の日常生活・食生活を振り返ってみるのもよいかもしれません。
対処法
・減塩調味料を使う、調味料はかけすぎない、ラーメンの残り汁などは残す、辛いものは控えめにする…などの食生活の見直し
・冷たい飲み物やお酒はほどほどにし、体を温めるような飲み物を飲む
・むくみに効くカリウムを豊富に含んだバナナやほうれん草を積極的に摂る
・適度な運動やゆっくり浴槽につかる、お風呂上りに体のマッサージをするなど体を内側から温め、血行を良くする習慣を取り入れてみる
3.低位舌
低位舌(ていいぜつ)とは、喋ったり食べ物を噛んでいるとき以外の安静な状態のときに、舌の置く位置が通常のところより下にあることをいいます。
本来は下部のイラストの〇のところ、上の前歯の裏側あたりに舌が常時触れているのが正しいポジションです。
低位舌の場合は下の歯並びのところまで、舌が下がってしまっているため歯列の痕がつきやすいのです。
これは舌の筋肉が落ちてしまっているために起こってしまう状態です。
低位舌になりやすいのは、花粉症の人・鼻がつまりやすい人・口呼吸の人・アデノイド(咽頭扁桃)の人などです。
対処法
ガムを使ったトレーニング法を習慣化することで、少しずつ舌の筋力が鍛えられて正しい舌の位置を保持できるようになります。
1日3分ほどを目安にトレーニングを始めてみましょう。
①ガムを左右の歯で均等に噛む…噛みにくい(噛むときに使うことが少ない)歯を意識的に使うようにします。
⚠左右どちらかの歯が痛みがある・金属等の詰め物が取れている・歯を抜いたばかりだ、などの事情がある場合はガムトレーニングは避けましょう。まずはお近くの歯医者さんで痛みや詰め物が取れた歯の治療をする必要があります。
②舌の上でガムを丸くする…舌の筋力を鍛えるために、舌の上でガムを転がしたりこねたりして球の形にします。
③舌の中央にガムを置いて、上アゴの中央にガムを3秒間押しつけて薄く広げる…イラストの〇のところをめがけて舌の筋力を使ってガムを押し当てます。舌を鍛えるために1回で押し当て、薄く広げきります。
④舌でガムを押し上げたまま、唾を飲みこむ…舌の位置が正しくなっていれば唾を飲みこんだときに上アゴについているガムがのどに向かって三角形の形に伸びるはすです。
舌の筋力チェックのためにもぜひ一度試しにやってみてくださいね。
まとめ
普段はあまり意識しない舌という部位ですが、実は日々の生活習慣や食生活、ストレスやお酒の飲みすぎが影響することがあります。
食事をしたり喋ったりするときにとても大切な役割を果たしてくれる舌。
舌の健康からお口や体の健康も気遣ってみませんか。