インプラント治療前に知っておきたい歯科用CTの知識とは?

インプラント CT
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みなさんはインプラント治療にCT撮影が必要なことをご存知でしょうか?
CTって体の検査で使う輪切りのレントゲンなんじゃないかな?どうしてインプラント治療に必要なんだろう?と疑問に感じたことはないでしょうか?

ここではインプラント治療にCT検査が必須な理由、そしてどのようにCT検査を用いるのか、など解説していきます。
少しでも不安を解消して、インプラント治療を受けてください。

1.インプラント治療に絶対にCT検査が必要な7つの理由とは

CTは、お口全体のあらゆる角度から骨の厚み・硬さ、神経や血管の走行位置などを、3次元(立体)画像で診断することができます。CT検査を行うことで、安全に、そしてより精度の高いインプラント治療が可能となります。CT撮影は最近では一部保険診療適応となり、歯科治療全般においてさまざまな診断に応用ができます。とくにインプラント治療においては、より確かな精密な診断を行う必要があるためCT撮影を行うことがインプラント学会の治療指針にも記載されています。

1-1.通常の歯科用レントゲンではわからない3次元の情報を用いて術前の顎骨の携帯、骨量、骨質がわかる

CTはお口全体の状態を、立体画像であらゆる角度から診査することができます。神経や血管の走行位置や骨の厚みなど、「パノラマ」や「デンタル」の平面のレントゲンでは分からない部分も、「歯科用CT」であれば精密に把握することができます。

インプラントのCT画像

1-2.重篤な事故を誘発する神経、血管などを避けて安全なインプラント治療のシミュレーションができる

インプラント治療のトラブルに、麻痺および血管損傷、上顎洞炎などがあげられます。術前に、解剖的な危険領域を避けてシミュレーションすることで、安全にインプラント治療を計画することができます。

インプラントの死亡事故の要因となった下顎骨の穿孔も、術前のシミュレーションで避けることが可能です。シミュレーションで、手術時間が短くなり、痛みや腫れ、出血などを少なくすることが期待できます。

インプラントCT下歯槽神経

1-3.ソフト加工像(VR:volume rendering)を使って患者さんへわかりやすく説明できる

撮影したデータをパソコンへ移し、治療のシミュレーションができるソフトで診査・診断を行う歯科医師もなかにはいます。埋め入れるインプラントの長さや角度をあらかじめ決めることができるため、精度の高いインプラント治療が可能です。加えて患者様にとっても、CT画像を使い視覚的にも分かりやすい説明を受けられることで、 ご自身の治療に対しての理解度が高まり安心して治療を受けることができます。

インプラントCTボリュームレンダリング

1-4.得られたデータで計画通りのインプラント治療を可能にするインプラントサージカルガイドプレートを作製できる

CTからのデータを参考に、手術中インプラントの埋入位置や深さを決めるガイドプレートを手術前に作製しておくことが可能です。

サージカルステント

1-5.インプラント治療の障害となる疾患の診断

顎の骨の中の炎症性疾患や、感染症、顎骨異常など、インプラント治療の障害となるCT画像診断で検出される場合があります。

CT埋伏歯

1-6. 上部構造の設計を術前に行えることから、精度の高いかぶせ物が作製できる

最近では、CTデータと、お口の中のデータを重ね合わせることで、インプラントのかぶせ物(上部構造)を、術前にある程度作製しておくことが可能です。

インプラントCT上部構造

1-7.インプラント治療後の経過観察

インプラント治療後に経過観察としてレントゲン検査が必要となる場合があります。その場合被ばくとCT検査の有効性との関係から、日本口腔インプラント学会では口内法エックス線検査(あとで説明します)が術後レントゲン検査の第一選択になっています。

2.CTの特徴

インプラントを埋め入れる手術の前にしっかりと診査することは、手術時間を短縮でき、手術後の痛みや腫れを軽減することにつながります。インプラント治療前に歯科用CT画像で確認しておくことは、患者様の体への負担を最小限にするためにも重要です。

2-1.歯科用CTの特徴

歯科用CTは、あらゆる角度からお口全体の状態を確認することができます。体の周囲から方向や位置を変えてX線をあてて撮影し、そのデータをコンピュータ処理することによって3次元の立体画像や断面図を作成することができます。最近では軟組織の診査も可能になってきています。歯科用CTは発売当初は2000万円以上ととても効果で舌が、最近では800万円以下のCTも発売されてきています。その恩恵により、今後も歯科用CTを導入する歯科医院は増えてくるでしょう。

2-2.医科用CTとの比較

医科用CTでも断面図を確認することはできますが、解像度は歯科用CTに比べて高い反面、コンピュータ処理による立体画像作成や手術のシミュレーションができません。

3.インプラント治療を行うときのCT撮影の注意点

3-1CT検査による被ばくへの配慮

放射線と聞くと、「こわいなあ」と感じる人も多いでしょう。インプラント治療で必要、といわれてもCT検査による放射線量は気になるところです。

インプラント治療におけるCTの被ばく量ってどれくらい?

歯科用CTは撮影領域に左右されますが、おおよそ1回の撮影で0.1mSvです。これは東京―ニューヨークの片道の飛行機移動の被ばく量と同等です。医療による被ばくは、患者の利益が被ばくの不利益を上回る場合に正当化されます。インプラント治療におけるCT検査は、手術中の重篤な事故を避けることが可能となるため、得られる情報がインプラント治療にとって有益であると考えられています。

インプラントCT放射線量

CT検査の被ばくに対する防護とは?

治療に有益といっても、人体が受ける放射線量は合理的にできるかぎり低く保たなければなりません。不必要なCT検査は避けなければなりません。また、次の要件が、防護に求められている条件になります

  • CT装置の品質管理
  • 高感度フィルムの使用
  • 撮影領域の限定、線量の最適化
  • 防護エプロンの使用
  • 撮影技術の向上

3-2.金属による虚像(アーチファクト)の処理が必要

CTはレントゲンと同じ原理ですが、金属が写り込むことによって、多少のノイズが入ることもあります。また、撮影中の体の動きなどでも虚像が生じます。
インプラントやお口の中に金属のかぶせ物が入っている場合には周辺にアーチファクトと呼ばれる白い影があらわれます。
アーチファクトは精確なシミュレーションの障害になるので、除去しておく必要があります。

インプラントCTアーチファクト

“インプラント治療で用いるCT以外のレントゲン検査とは?”

歯科用レントゲンで得られるのは二次元の平面画像なので、 形や大きさ、距離や位置関係などを正確に把握することが困難です。

・ パノラマX線装置

「パノラマ」は、1枚のフィルム(約15cm×30cm)に、あごの骨・歯・歯列・鼻腔・顎関節部など、全体の大まかな像を確認することができます。注意点として画像に歪みが伴うため、実際の位置や形を精確に診断することが難しい、撮影時や読影時にゆがみを考慮する必要がある、などがあげられます。

パントモ

■ 口内法X線検査(デンタル)

「デンタル」は、1枚の小さなフィルムに23歯と歯周組織を撮影し、その状況を詳しく確認することができます。目的の部位を鮮明に写すことができるため、「パノラマ」よりもさらに詳しく確認する必要がある場合に用います。 注意点として、撮影範囲が狭く、部分的な画像であるため歯やその周囲組織以外の把握が難しい、平面の画像であるため骨の厚みを正確に把握することは難しい、などがあげられます。

C2のデンタル

インプラントデンタル

4.CTを用いたインプラント治療の流れ

初期診断 パノラマX線検査でスクリーニング

パントモ


診断用模型の作製

インプラント診断模型


CT撮像 ステントを口腔内に装着してCT撮影

サージカルステント


CT画像診断

インプラントのCT画像


シミュレーションソフトによる治療計画立案

患者さんへの説明

インプラントCT下歯槽神経


サージカルガイドプレートの作製

インプラント埋入外科処置

インプラント手術


最終補綴

インプラント上部装着

5.インプラント治療は人間ドックのCTMRI検査に影響はありますか?

人間ドックでCTMRI検査時に、ネックレスやピアスなどの貴金属を外すように指示されたことはありませんか?歯科治療で用いられるインプラントも金属を使用していることもあり、インプラント治療後に人間ドック時のCT検査に影響がないのか気になるところです。結論から言うと、インプラントは人間ドックでCT検査にほとんど影響ありません。ただ、レントゲン検査技師に検査前にインプラント治療を受けていることを伝えておいたほうがいいでしょう。

ただし、インプラントに磁性の義歯を使用している場合は、MRI検査にかぎっては受けることができないケースがあります。場合によってはMRI検査前にインプラント担当医と相談して、磁石を外しておいてもらう必要があります。

6.まとめ

インプラント治療にはCT検査が必要になること、そしてCT検査を用いたインプラント治療の流れが理解できましたでしょうか?安心してインプラント治療をうけるためにもCT検査は必要です。

10年前なら、CTなしでインプラント治療をしている医院もありましたが、現在では日本口腔インプラント学会の治療指針においても、インプラント治療にCT検査は必要、と記載されています。

皆さんも担当医とよく相談して、納得してからインプラント治療を受けましょう。

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