毎年毎年夏になるとニュースをにぎわせる【熱中症】。倒れて病院に運ばれたり亡くなってしまう方もいたり、、怖いですよね
そんな熱中症対策によく言われるのが小まめな水分補給、そして水分補給にはスポーツドリンクが効果的！
ですがそこでスポーツドリンクばかり飲んでいると虫歯が増えてしまうかもと歯医者さんは心配なのです。
今回はスポーツドリンクでの虫歯の危険性や、熱中症対策について歯医者さんの視点からお届けしたいと思います。
目次
１．スポーツドリンクが虫歯を誘発する２つの理由
まずはなぜスポーツドリンクをみんなが飲むと歯医者さんが心配になってしまうのでしょうか。
それはスポーツドリンクが虫歯になりやすい飲み物だからです。まずはなぜスポーツドリンクが虫歯を作りやすいのか、説明していきましょう。
１－１．スポーツドリンクは糖質の量が多い
糖質は虫歯の栄養になってしまうのは有名な話ですが、その糖質がスポーツドリンクは非常に多いのです。
スポーツドリンクの大御所であるポカリスエットがあります、大塚製薬のホームページの成分表を見てください。
100mlあたりの栄養成分
- エネルギー:25kcal
- タンパク質・脂質:0g
- 炭水化物:6.2g
- ナトリウム:49mg
- カリウム:20mg
- カルシウム:2mg
- マグネシウム:0.6mg
※大塚製薬ホームページより
ここに表示されている炭水化物の量が糖質の量に相当します。ここでは約6ｇですが、実際は５００ｍｌペットボトルで３０ｇ入っていることになりますね。これは角砂糖１０個分相当にあたります。
この糖質の中には砂糖や果糖ぶどう糖液糖、甘味料（スクロース）などが入っています。
結構な量の栄養をスポーツドリンクから虫歯に与えてしまっていることがよくわかりますね。
１－２．スポーツドリンクは歯を溶かす
歯は表面のエナメル質が虫歯の酸によって溶かされます。つまり歯は酸に弱いのです。酸蝕症という酸っぱいのもので歯が溶ける病気もあるほどです。
歯のエナメル質が溶ける・溶けないの境目となるＰＨ値を「臨界ＰＨ」といって、永久歯の臨界ＰＨ値は５．５～５．７（虫歯を想定した場合）です。つまりこのＰＨ以下の飲み物は飲むと歯を溶かしてしまう可能性がでてきます。ＰＨが６以上の歯が溶けない安全な飲み物はお茶類や水、牛乳などです。
スポーツドリンクやヨーグルト、炭酸飲料のＰＨ値は４前後なのでエナメル質の溶けやすいお口の中をつくってしまいますね。
２．本当に危険！熱中症と脱水症
１でスポーツドリンクの虫歯への危険性について書きましたが、だからといって虫歯になるのが嫌でスポーツドリンクを飲むのをやめて熱中症になってしまってはどうしようもありません。
歯の事よりも熱中症にならないほうが大事なのは確かです。ここでは熱中症についてお話します。
身体の中には体液というものがあって、体温を調節したり、栄養素や酸素を運んだり、老廃物を運び出す大切な役割をもっています。体液は水分と塩分からできていて、汗をかくとそれが身体の外に排出されるのです。ふつう体液の量は入ってくる量と出ていく量が一定に保たれているのですが、急激に汗をかいて過剰に水分と塩分が失われると身体の体液が減って、「脱水症」になってしますのです。そうすると体液が不足し汗がかけなくなります。
すると体温が上昇し、めまい、失神、頭痛、吐き気が起こり、最悪死にいたります。
そうならないためにどうすれば良いのか次の章で説明します。
３．熱中症対策には経口補水液が１番
脱水症は水分と塩分が失われている状態なので、その状態から脱出するためには水分と塩分を同時に補給する必要があります。これを補水と言います。そして水分の吸収を速めるために必要なのが糖質（ブドウ糖）です。
この塩分（ナトリウムイオン）と糖質（ブドウ糖）のバランスによって体内への吸収効率は大きくかわります。そして口から飲む、つまり経口での吸収が一番良いのが経口補水液なんです。
スポーツドリンクも吸収効率が悪いわけではありませんが、味を追求した結果、経口補水液より塩分が少なくて糖質が多くなってしまっています。
経口補水液は味は悪いかもですが、吸収率はとても高いのです。ただ、経口補水液もＰＨは４前後で、歯を溶かすリスクがあります。常飲は避けましょう。ちなみに麦茶も糖分、塩分は控えめですがＰＨが高く歯を溶かすリスクが少なくおすすめです。
４．まとめ
いかがだったでしょうか？スポーツドリンクで熱中症対策をしていたかた、ぜひ今度から経口補水液を飲むようにしましょう。そして一日三回の歯ブラシも忘れずに、、
