歯医者の予約をしたいのになかなか都合が合わない…予約が２週間先だと言われた…そもそも予約って必要なの？
歯科医院には予約制とそうでない医院がありますが、多くの歯科医院は予約診療を行っています。完全予約制の歯科医院も少なからずあります。予約診療は、歯科医院の都合だけだと思われがちですが、実は患者さんにとってもメリットがあります。ここでは予約診療における歯科医院、患者さん双方のメリットとその必要性について、また予約を取った際に患者さんに注意していただきたいことをお話していきます。
目次
１． 歯科治療の流れ
歯科の治療は主に次のような流れで行われます。
- 問診…主訴・症状の確認
- 検査…口腔内の写真やレントゲン撮影
- 診断…検査結果および必要処置の説明
- 治療計画…処置部位が複数ある場合は患者の希望も考慮して優先順位を決定
- 処置…治療内容によって当日行うもの、次の予約から始めるものあり。緊急性にもよる
- 予約…処置に応じた予約をとる
風邪で内科を受診する場合、受付をして順番を待つ医院が多いと思います。診療室では主訴（受付時問診票に記載した受診理由）を確認され、症状に対して診断があり、もし注射やその他の処置があったとして時間のかかるものは別室に移ったり、検査などは後日改めて予約を取ったりすると思います。診察は歯科治療と比べると一人当たりの時間はだいぶ短く、一日にたくさんの患者さんを診察することができます。それに対して歯科治療は、治療の流れのほとんどが歯科医師、または歯科医師の指示のもとスタッフによりご案内した診療ユニットで行われます。それによって一人の歯科医師が一日に診療できる患者は限られます。効率よく診療を行うためには診療内容に応じて予約の組み立てが必要となります。
２．予約はあなたのために準備をしてお待ちしている時間です
歯科治療は、処置内容によって治療に必要な時間が異なります。例えば、歯を抜く処置で考えるとグラグラ揺れている乳歯や歯周病に罹っている歯を抜くのと、少ししか頭を出していない埋伏（歯肉に埋まっている）の親知らずを抜くのとでは、しっかり骨に埋まっている親知らずを抜く方が当然時間がかかります。虫歯治療でも初期の小さな虫歯を削ってその場で詰め物ができるものもあれば、進行した虫歯であれば麻酔が必要だったり、神経をとったりしなければなりません。予約診療を行っている歯科医院は、あらかじめ処置ごとに必要な時間目安を決め、それにプラスして担当歯科医師の指示のもと患者さん毎に必要な処置時間を確保しています。また処置に応じて準備しなければならない器材や患者さんの状態に合わせて材料の発注が必要になる処置もあります。インプラント治療や使用期限のある薬剤を使用する処置がこれにあたります。
２－１ 治療内容・症状に応じて必要な診療時間を確保
先にもお話ししたように診断後、治療計画に基づいて歯科医師より次回の治療内容、処置必要時間の申し送りがあります。予約をとることにより予約日に患者さんの処置に必要な治療時間が確保されます。治療時間を確保することで効率よく計画的な診療を行うことができます。
初めての受診でも予約できます
「初めてなんですけど・・・」と来院され、「ご予約はおとりですか？」と伺うと、「初めてなのでとってません」とおっしゃる患者さんがいます。初診の場合は待つのが当たり前、と思っての来院かと思われますが、初診でも電話や窓口で予約を受け付けています。事前に主訴（受診理由）を伺っておくことで、診療に必要な時間も確保できます。予約がない場合、待ち時間がかかる上に当日応急的な処置のみになることもあるので、初めての場合も予約をとることをお勧めします。
主訴（受診理由）によっては専門外来をご案内します
症状によっては一般歯科診療ではなく、より専門的な診察が必要な場合があります。
歯並びが気になり矯正治療を希望している、他院で断られた親知らずの抜歯や口腔内のデキモノなどがそれにあたります。ただ、一概に専門医による診察が必要か否かはお電話の内容だけでは判断しかねることもあります。その場合にはまず一般歯科診療を受診していただき、問診・必要検査を行った上、担当医の判断で必要に応じて改めて専門外来の予約をご案内させていただきます。
２－２ 受付をしてから診察までの待ち時間が少ない
予約診療での患者さんの最大のメリットは時間の無駄がないことです。予約があれば受付後に必要以上に待つことはありません。しかしながらすべての治療が予定通りに進むわけではありません。当日虫歯の治療をする予定だった患者さんが別の歯の被せものが取れてしまった場合、新たにその部位の検査・診断が必要になります。その日その患者さんに30分の時間を確保していたとして、処置内容が変更になりそれ以上の時間が必要となった場合、予定の30分が経ったので今日はここまで、と治療を中断するわけにもいきません。当日行わなければならない処置は予定時間が過ぎても行わなければなりません。よって多少の予約時間のずれは生じてしまいます。何がなんでも受付してすぐに呼ばれないとイヤ‼、という方は午前・午後の診療開始一番の予約ならまず待たされることはないので予約の際にはその時間帯を希望されることをお勧めします。
２－３ 予約日時に合わせて器材等を準備
インプラント手術等は、当日、予約時間に合わせて診療ユニットに必要器材をセッティングします。手術に使用するインプラント体（骨に埋め込む材料）は患者さんに適したものを手術日に合わせて発注します。使用期限のある薬剤等も在庫として保管はせず、必要な処置予約が入った時点で発注をします。手術をするにあたり、患者さんには体調を整えて来院していただき、歯科医院は材料や器材を準備し、手術に必要な時間を確保して患者さんをお待ちします。
型どりした詰め物や被せものは予約日に合わせて技工所へ発注
詰め物や被せもの、義歯のバネの修理等で型どりした技工物は、技工所に依頼または院内技工士が作製します。予約の際、「○○日以降で予約が可能です」と説明されると思います。技工物には歯科医師の指示を記載する技工指示書があり、指示と合わせて納期（予約日）を記入します。技工所または院内技工士はその納期に合わせて技工物を作製します。仮に24日（火）以降で予約が可能で、近い日程に都合がつかず翌週に予約をしたとします。その後急遽予定が変わり24日に都合がついたからと言って急に受診しても歯科医院では技工物の準備ができていない場合があります。予約日時を早めたい場合には事前に連絡を入れてみてください。納期前であっても、歯科医院が技工所に連絡したり、院内技工士と調整したりして、予約を早められることもあります。
３． 予約診療で注意してほしい２つのこと
予約診療では診療をスムーズに行うために様々な事前準備をし、診療に必要な時間を確保して患者さんをお待ちしています。それに伴い、予約をとった際に注意していただきたいことを説明いたします。
３－１ 無断キャンセルは✖‼必ず事前連絡を
体調不良や突発的な出来事で来院できないこともあるかと思います。しかし本人がどうしても連絡ができない状況はまれかと思います。無断キャンセルは、来院するかわからない患者さんのために診療時間を空けてお待ちしていることになります。予約日時に来院できない場合にはできれば前日までのご連絡にご協力ください。
最悪当日の連絡でも無駄にユニットを空けてお待ちすることは回避できますので必ずご連絡をお願いします。
３－２ 余裕をもって来院してください
初めての受診でなければカルテ作成等がないため、予約時間までに来院していただければ問題はありませんが、受付は余裕を持ってお願いします。万が一予約時間に間に合わない場合には、どれくらい遅れる等の連絡をお願いします。
４． 急患は予約なしでも受診できます
急な痛みや差し歯の脱離等、急を要する場合は予約なしでも受診できます。ただし基本はご予約をいただいている患者さんが優先ですので、「すぐに診察してほしい!!」等のご無理はご容赦願います。できれば当日でも来院される前に連絡をいただければ、キャンセル等がある場合にお待たせしない時間帯のご案内ができます。キャンセルがない場合でも、前後の処置内容で待ち時間の比較的少ない時間帯がご案内できることもあります。外傷等を伴う急患は、症状や状況によってご予約の患者さんより優先して行うべき処置もあります。その際にはご予約の患者さんに説明の上、ご理解ご協力をお願いしております。
５． まとめ
歯科の予約は医院が効率よく診療を行うだけではなく、患者さんの診療を計画的に進めるために必要です。
予約をとることで医院も患者さんも無駄な時間を要さずに診療が行えます。初めての受診でも予約をとることによって主訴（受診理由）に応じた時間を確保することができます。
急患は予約なしでも拝見いたします。
予約時間は患者さんのために診療ユニットを準備してお待ちしている時間です。やむを得ず受診できない場合には必ず事前に連絡をしてください。
