新型コロナウイルスの猛威により、歯科診療の初診、再診の両方で電話診療・オンライン診療が可能となったのは結構前のことになります。コロナの第一波の最中ではオンライン診療導入をしている余裕がなかった経営者のかた、いらっしゃるのではないでしょうか?
そんなかたに、ざっくりとオンラインの導入から算定できる点数、そして支払いまでの流れを説明していきます
目次
1.届け出をする
まず、電話診療・オンライン診療をするためには、厚生労働省の保険医療機関の所在地の地方厚生(支)局長に提出します
(ご自分の管轄地域はこちら(別窓)で検索できます)
担当する管轄が分かったら、サイト内検索で「施設基準」を検索すると、所定の用紙をダウンロードするページが出てきます
提出前に必ずコピーをとって保存しておいてください
2.患者さんに告知をする
病院にホームぺージがあるばあいは、オンライン診療を実施してることを告知したり、診療のしかたについての説明ページがあると分かりやすくて親切ですね
ホームページがないときは、病院の外にチラシなどをはったり、チラシを持って行ってもよいように工夫するのも手でしょう
※このとき、「電話・オンライン診療が困難な症状だと、対面診療が必要になる場合があること」を記載しおいたほうが、トラブル防止になります
3.準備するもの
電話で診療するばあいは
- 電話(必須)
- ファックスもしくはメール
が必要となります
オンラインで診療するばあいは
- 電話
- ファックス
- メール
- スマートフォン・タブレット・PC(必須)
が必要となります
4.診療の手順
4-1.電話診療の手順
予約をとる
患者から電話で電話診療の申し込みがあったら、予約をとります。そして、予約の時間になったら患者さんに電話をすることを伝えます。
このときに「症状によっては電話による診療では診断や処方ができず、受診勧奨(対面受診をすすめること)になること」を伝えます。
前もって患者さんから保険証の情報をファックス、メール(保険証の画像添付)などで送ってもらうと良いでしょう。もし患者さんがそのどちらにも対応できないときは、電話で以下の被保険者証の券面記載事項を確認します
- 氏名
- 生年月日
- 連絡先(電話番号、住所、勤務先等)
- 保険者名前
- 保険者番号
- 記号 番号
診察をする
時間になったら電話で診察をします
受診勧奨のみのばあい(処方をしなかったとき)は、診療報酬を算定することはできません
投薬する
院内処方なら患者さんあてに薬を郵送します
院外処方なら、備考欄に「0410対応」と書いた処方箋を患者さんが希望する薬局にFAXします。処方箋原本は薬局に郵送してください
このとき、診療録等により患者の基礎疾患を把握できていない場合は、処方箋の備考欄にその旨を明記してください
患者さんが薬局に直接取りにいく場合は、薬ができたら病院もしくは薬局が患者さんに電話をして取りに来てもらいます
患者さんが薬の郵送を希望したばあいは、薬ができたら薬局から患者さんに「服薬指導」の電話がいきます。指導が終わったら薬局から患者さんに薬が郵送されます。その時は送料は薬局によって扱いが違うそうです
郵送のばあいですと薬が手元に届くのに数日から1週間かかるので、そのことを患者さんに伝えておきましょう
すぐに薬がほしいのなら、患者さんに薬局に直接取りに行ってもらったほうが良いということになります
清算をする
領収証と明細書をファックス、電子メール、郵送などで無償で患者に交付します。
支払いは銀行振り込み、クレジットカード決済、電子マネー決済などでおこないます。
※初診の患者さんを診療したばあいは、所定の調査票に必要事項を記入し、月に一度都道府県庁へ報告します。
4-2.オンライン診療の手順
予約をとる
ウェブ予約のシステムがある病院はそちらから予約を受けます。ない病院は電話で対応しましょう
患者さんに「症状によってはオンラインによる診療では診断や処方とならず、対面診療や、受診勧奨となること」を伝えます。
診察をする
時間になったらオンラインにアクセスして診察をします
なりすまし対策として、初診の人は写真つきの身分証明書で本人確認をしたほうが良いでしょう
電話診療と同じく、受診勧奨のみのばあい(処方をしなかったとき)は診療報酬を算定することはできません
投薬をする
電話診療のときと同じになります
清算をする
領収証と明細書をファックス、電子メール、郵送などで無償で患者に交付します。
支払いは銀行振り込み、クレジットカード決済、電子マネー決済などでおこないます。
画面を介して電子マネーのQRコードを読み込んでもらうこともできます
また、患者さんがアプリなどのオンライン診療システムを利用しているとき、患者さんが登録した決済方法で料金が支払われることになります
※初診の患者さんを診療したばあいは、所定の調査票に必要事項を記入し、月に一度都道府県庁へ報告します
4.算定できる診療点数
歯科では、薬の処方をしないばあいは保険で算定できません
ですので、自医院・他医院での受診をすすめただけの患者さんや、薬の処方をしなかった患者さん、そして健康相談の患者さんは診療報酬の対象外となります
電話・オンライン診療で保険算定したときは、レセプトの摘要欄に「コロナ特例」と書きましょう
4-1.初診の患者さんに算定できるもの
初診の患者さんは、歯科訪問診療3の185点を電話を用いた初診料として算定できます。これに加え、
院外処方なら
- 処方料42点
- 処方箋料68点
院内処方なら
- 処方料42点
- 調剤料11点(内服・頓服)か8点(外用)
- 薬剤情報提供料10点
- 薬剤料
を算定できます
4-2.再診の患者さんに算定できるもの
再診料金は53点もしくは44点になります
処方の点数は上で説明したものと同じになります
“管理費がもらえる!?”
コロナ以前から来ていた患者さんで、歯管もしくは歯科特定疾患療養管理料を算定していたばあいは、電話・オンライン診療をしたときに
- 歯周病患者画像活用指導料の10点(1枚分)
- 歯科治療時医療管理料の45点
以上の合計55点を月1回に限り管理費として算定できます
5.オンライン診療するときのツール
オンライン診療をするためには、手軽に患者さんとつながって、手軽にクレジットカードで決済できるという面を重視するのなら、アプリ(有料)を使用したほうが話が早いですね
しかし、無料ツールでも、手間はかかりますが診療をすることが可能です。ホームページなどでやり方を具体的に明記しておくと、患者さんも理解しやすく診療がスムーズに進むでしょう
5-1.LINE
世の中に広く普及しているLINE。これだとオンライン診療は無料で行うことができます
友達申請は、電話番号検索やID検索で行いましょう
5-2.Face Time
iPhoneならもともと入っているツールですので、これも無料ツールになりますね
電話番号やメールアドレスが分かれば患者さんと接続可能となります
5-3.CLINICS(クリニクス)
こちらはスマホのアプリになります。そのため、患者さんにこのアプリをダウンロードをしてもらう必要があります
- 基本料金として10,000円/月
- 初期費用・導入支援費用(※1)
- 患者さんの自己負担額の3.45%
(※1)病院ごとに違うので、会社に問い合わせる必要があります
導入費用かかるなぁ…と思われたかたもいらっしゃるかもしれませんが、クリニクスは「IT補助金2020対象ツール・特別型(C類型-2)」に認定されています
これにより、導入にかかる費用の3/4が補助金として受け取ることが可能となります
締切は5月29日になります!申請する人はお早めに!
※常時使用する従業員数が300人以下である医療法人、または20人以下の医療機関が該当します
お金がかかってもシェア率が高いツールが良い!という人はクリニクスが良いでしょう
5-4.CURON(クロン)
こちらもスマホのアプリになります。かかる費用はクリニクスよりもお安めになります
- 導入・初期費用0円
- 患者さんの自己負担額の4%
とりあえずお手軽に始めたい、そんな人におすすめです
6.まとめ
いかがでしたか?
ざっくりとしていますが、電話・オンライン診療については以上になります
寒くなったら新型コロナの第2、3波がくるかもしれないので、流行が少し落ち着いた今のうちに、患者さんのためにオンライン診療の土台作りをしてみるのも良いかもしれませんね
日々の診療に加え、コロナ対策の設備投資など、歯科医院のスタッフは大変かと思います。
みんなで頑張ってこの苦難に立ち向かい、そして、患者さんのために歯科医療従事者一同、日々がんばりましょう