1人で過ごす以外は常にマスクをつけている生活が続いていますが、最近のみなさんのお口の中、何か変化はありませんか?
外出先では3密を避けて過ごし、人と会話をすることが減ってきている昨今、お口の中のうるおいは保てていますか?
歯ッピースマイルでは今までも『唾液』に関するお話をたくさんしてきていますが、今回は、唾液の中の機能のひとつについて着目してお話ししていきたいと思います。
目次
1.唾液のはたらき
歯科医院に治療やメインテナンスにいらした患者さんによくお話しするのは下記の3つの作用です。
① 唾液緩衝能
飲食で糖分を摂取すると、むし歯菌が酸を産生して歯面のミネラルが溶けやすい状態になります。唾液には酸性に傾いた口腔内を中和してpHを調整するはたらきがあります。
② 再石灰化
酸性に傾いた口腔内では、歯面のミネラルが溶けだしています(脱灰)。そこで唾液からカルシウムイオンとリン酸イオンを取り込み、エナメル質の結晶を新しく形成していきます。
③ 自浄作用
唾液は食後の食べかすや細菌を洗い流してくれる機能があります。唾液が届きやすい部分は細菌が洗い流されやすく、むし歯のリスクも軽減されます。
その他にも唾液にはたくさんのはたらきがありますが、今回、唾液の『抗菌・抗ウイルス作用』に着目してお話ししていきたいと思います。
2.お口の中の警備員、免疫グロブリンA(Iga)
唾液の中には色々な抗菌物質が含まれています。体外から侵入してきた細菌やウイルスから私たちを守ってくれています。普通の抗菌物質は特定の細菌やウイルスにしか働きかけないのに対し、免疫グロブリンAはどんな種類の異物にも反応します。
2-1 免疫グロブリンAは体の色々な場所に存在します
免疫グロブリンA(Iga)は鼻汁、唾液、消化管などの粘膜中に分泌され、外部からの侵入者から私たちを守ってくれています。
画像:大塚製薬HP 乳酸菌B240研究所より
外部からの細菌やウイルスの侵入する場所として、目や鼻にくらべて口腔内は間口が広くなります。
2-2 唾液が減少すると免疫グロブリンA(Iga)も減る
マスクは咳やくしゃみなどの飛沫対策で今や必須となっていますが、マスクをつけていることによって水分を摂取する回数が減少したり、会話をする機会も減り、口を動かすことが少なくなったりすることで、マスクで蒸れているけれどもお口のうるおいは減る環境にあります。
唾液の分泌が減少すれば、それに伴い唾液に含まれる抗菌物質も減少してしまいます。
唾液中の免疫グロブリンA(Iga)濃度が低くなると、上気道感染症(風邪)を引きやすくなるというデータがあります。
画像:大塚製薬HP 乳酸菌B240研究所より
風邪やインフルエンザのリスクが高まってくるこの時期、唾液の分泌を増やすことが細菌やウイルスの侵入を防ぐことにつながります。
3.簡単にできる唾液分泌を増やす方法は『噛む』こと
唾液を増やすために行うこととして、唾液腺マッサージやツボ押しなど色々ありますが、簡単にかつ直ぐに取り入れられる唾液増量方法は『噛む』ことです。
毎日の食事の際にちょっとした工夫をするだけで、唾液の分泌を増やすことができます。
3-1 味付けを薄味にする
食事の味付けが薄味だと、脳が味を確認しようとするため咀嚼回数(噛む回数)が増えます。薄い味付けにすることで、塩分・糖分も控えることができ一石二鳥です。
3-2 素材の加熱時間を工夫する
野菜だと、調理後より生の状態の方がより噛み応えがあります。逆に魚や肉は加熱することで硬くなりますが、長時間の煮込み料理だとやわらかくなります。噛む回数を増やすことに着目して、素材ごとに調理方法、加熱時間を工夫してみてください。
3-3 食材を大きくカットする
大きな食材は口に入れた後に、飲み込めるサイズになるまで噛みますので、小さな食材より自然と噛む回数を増やすことができます。野菜のカットを乱切りにしたり、お肉は厚切りにしたりなど、食材のカットを工夫してみてください。
3-4 噛み応えのある食品を摂る
硬い食材や繊維質の多い食材、弾力のある素材は噛む回数が増えます。普段の食事に硬めに調理した食材や弾力のある食材を加えてみましょう。
おつまみにさきいかとか、間食にドライフルールなどおススメです。
3-5 ガムを噛む
ガムの噛み始めの味がある時がたくさん唾液が分泌されますが、味がなくなっても噛むという行為で唾液が増えます。今は味が長持ちするガム等も出ているので長時間噛むことで、より長く唾液を出し続けることができます。ガムはマスクをした状態でも食べられるのでその点もおススメです。
せっかく唾液を分泌させるのですから、砂糖不使用のガムを選んでください。
おススメのガムはこちら。
画像:江崎グリコHPより
POs-Ca F は唾液中のカルシウムイオンの濃度を高めて口内環境を整えるだけでなく、だ液中のフッ素(フッ化物)イオン濃度を高めることが出来ます。
画像:江崎グリコHPより
4.まとめ
唾液の中に含まれる抗菌物質、免疫グロブリンA(Iga)は、体外から侵入してきた細菌やウイルスから私たちを守ってくれています。唾液分泌が減少すると抗菌物質も減ってしまいますので、風邪やインフルエンザが流行ってくるこの時期、ぜひともお口の中のうるおいを保つよう、『噛む』に着目して唾液分泌を増やしていきましょう。