
家族の介護で、施設の現場で、様々な場所で口腔ケアが行われています。要介護者は2050年には約530万人。高齢者の増加に伴い口腔ケアの重要性は益々高まります。
自分の歯を正しく磨くことも難しいのに、まして向かい合った人のお口の中をきれいにすることは、実はとても難しいことなのです。
正しい口腔ケアを行うには歯ブラシや口腔ケアグッズを正しく選ぶことが大切です。
これからおすすめを紹介していきますので、参考にしていただけると幸いです。
1.おすすめの歯ブラシ4選
歯磨きに一番必要なのは歯ブラシですが、スーパーやドラッグストアでズラッと並んでいる歯ブラシの中からどれを選べばよいのか、迷ったことはありませんか? お口の中の状態別におすすめの歯ブラシをズバリ!紹介していきましょう。
★補足★
歯ブラシ選びのポイントは?
①毛先は小さめ…奥歯まで届くことが大切。小さいものはお口の隅々に届きます。
②毛はやわらかめ…歯や歯肉を傷つけないようにやわらかで、毛先が丸くなっている。
③材質…水洗いで汚れが簡単に落ち、渇きも早い「ナイロン」。衛生的です。
④持ち手…まっすぐな柄のほうが持ちやすく口腔ケア向きです。
1-1 残っている歯が多いなら『オーラルケア タフト24 SS』
SSとは「スーパーソフト」のことで柔らかい歯ブラシです。残っている歯が多い方や、若い方、歯肉の状態が良い方に向いています。
歯のブラッシングと歯肉のマッサージができる「バス法」で磨くのに適しています。歯と歯肉の間に毛先を向けて当て、小刻みに毛先を動かしましょう。
画像:オーラルケアHP
1-2 歯肉に腫れや出血があるなら『オーラルケア タフト24 ESS』
タフト24は症状に合わせて6種類の硬さがありますが、ESSは最も柔らかく歯肉にあたっても痛みが少ないので、歯肉の腫れや出血などの炎症の強い方におすすめです。
柔らかくてもプラーク(歯垢)をしっかり掻き出すコシの強さがあります。形状はSSと同じですがタフトシリーズは毛先が丸いので歯と歯肉への当たりが安心です。
画像:Amazon
画像:オーラルケア
1-3 お口が開きにくいなら『360do BRUSH (360度歯ブラシ)間(かん/やわらかめ)』
特徴は360度円筒型の歯ブラシで、歯間の清掃も出来る柔らかいブラシです。
どの角度からでも磨きやすく、約21000本の高密度の毛量でプラークをしっかり取り除きます。歯の裏側に入れ上下の歯を一度に磨くことも可能なので少ししか開かないお口でも磨けます。回転させずに横磨きか立て磨きで磨きましょう。
画像:STBヒグチ
1-4 唾液の分泌が多くて磨きにくいなら『カワモト マウスピュア吸引歯ブラシ』
唾液は抗菌作用や消化作用、歯肉・粘膜保護作用など様々な大切な働きをしていますが、歯磨きの時の大量な唾液は作業がしにくいものです。
吸引器に接続が必要ですが誤嚥性肺炎の防止には大変便利です。ただし、吸引力が強いのでドライマウスの方には使用しないほうが良いでしょう。
画像:カワモトHP
2.ぜひ使いたい口腔ケアグッズ
お口の中は歯並びや歯の本数、歯周病の有無など人によって様々で、歯ブラシだけできれいに磨くのは至難の業です。
お口の状態によって便利な口腔ケアグッズを上手に取り入れることで、磨く時間を短縮し歯磨きの負担を減らすことにつながります。
2-1 歯間ブラシ『ライオン DENT・EX 歯間ブラシSS』
L字型の形状は奥歯の歯と歯の間に入れやすく出来ています。SSは3番目の細さですが、経験上ほとんどの方に使用できました。
若い方や歯並びの重なった部分にはより細いものが良いでしょう。前後左右に動かして歯ブラシでは取りきれない歯の間のプラークを取ります。
使い続けることで出血もなくなります。
画像:amazon
画像:ライオンHP
2-2 タフトブラシ『オーラルケア プラウト』
プラウトは一般的なタフトブラシと比べて毛量は約2倍以上。汚れを吸い上げる緻密な植毛が特徴です。
くるくる動かすことで汚れが毛束の奥に上がっていき、しっかり汚れを取り除きます。三角の毛先がどんな場所にもピタッと当たるのでプラークを逃しません。
口腔ケアには欠かせないアイテムです。
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2-3 口腔清掃用スポンジ『モルテン ハミングッド』
汚れを絡め取りやすい星型のスポンジです。黄色のスポンジは出血の有無が一目瞭然。
うがいができない方のお口の中に残った水分を取るのともできます。歯の表面や歯と歯の間の汚れは、星形の角を使用すると良く落とすことが出来ます。
画像:楽天市場
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画像:モルテン
2-4 口腔内用ジェル『カワモト 口腔ケアジェル』
口腔内の乾燥を防ぎ、こびりついて硬くなった汚れに塗ってふやかすことで取り除くのに使用します。さわやかなウメ味です。
画像:カワモト
2-5 歯磨き粉『トライフ オーラルピース』
天然原料を100%使用し、化学合成添加物が一切含まれていないので、飲み込んでしまっても大丈夫。
「食べられる歯磨き粉」なのです。うがいができなくても安心して使用出来ますね。
画像:トライフHP
3.あると便利!必要に応じてそろえましょう
持っていなくてもいいけど、あるとより便利なアイテムを2つご紹介しましょう。
3-1 指ガード『オーラルケア デンタルブロック』
お口が開きにくい方に噛んでいただきブラシ挿入する隙間を確保することで、無理なく開口を維持できます。
親指に装着して使い、術者の指を誤咬から守ります。
画像:オーラルケアHP
3-2 洗口剤『ウエルテック コンクールF』
高い殺菌効果が長時間持続します。ピリピリしないマイルドミント味で、口臭予防の効果もあります。
1本で360~700回分と、お得です。原液を歯間ブラシに少量つけて使用することで歯肉の炎症が軽減出来ます。
※グルコン酸クロルヘキシジンでアレルギー症状を起こした方は使用できません。
画像:ウエルテックHP
4.入れ歯のお手入れ
要介護者の中では、入れ歯を使用している方が多くいらっしゃいます。
食べることはもちろん、歯を食いしばって体のバランスを取るためにも入れ歯は大切な存在です。日頃から丁寧に取り扱い、清潔に保ちましょう。
4-1 義歯用洗剤
入れ歯は素材、形状によって名称も洗浄剤も異なります。それぞれ紹介します。
① プラスチックの入れ歯なら『松風 ピカ』
酵素系の青ピカ(28錠)と、漂白効果の高い赤ピカ(4包)の2種類が配合されていて、青ピカは食べかす(タンパク質)を分解し脱臭効果があります。
赤ピカは漂白、殺菌効果に優れますが、入れ歯へのダメージが大きいので1週間に1回程度使用します。プラスチック(レジン)の入れ歯は傷つきやすいのでピカがおすすめです。
画像:松風HP
② 金属が入った入れ歯なら『ニッシン キラリ』
金属(特にコバルト、チタン製入れ歯)が錆びたり腐食しない洗浄剤です。つんとした刺激臭がありません。
画像:ニッシンHP
《使用法》
① 入れ歯についた汚れを流水でざっと落とします
② ぬるま湯(40℃くらい)を入れた容器に、1錠入れて入れ歯を洗浄液に漬けます
③ 30分以上漬けてから水洗いします
4-2 義歯用ブラシ『ライオン デント ライオデント義歯ブラシ』
硬軟2つの植毛が効率よく汚れを落とします。
柔らかめの植毛で入れ歯全体の広い面の清掃を、やや硬めの植毛でクラスプ(ばね)やくぼみなど、細かい部分の清掃に適しています。
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画像:ライオンHP
4-3 入れ歯ケース『デントケア 入れ歯ケース(洗浄剤対応)DC-91』
-20~+120℃の使用温度範囲を持ち、軽く割れる心配がありません。
水漏れしない密封パックです。洗いやすいので清潔に使用できます。
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4-4 入れ歯の洗剤『GC ポリデントⓇフレッシュクレンズ』
入れ歯に傷がつくとその中に細菌が繁殖するので、研磨剤の入った歯磨き粉で磨いてはいけません。
ポリデントフレッシュクレンズは除菌する泡で入れ歯を手軽に素早く洗浄します。ミントの香りも爽やかです。
画像:GC HP
《使用法》
① ボトルをよく振って適量(上の総義歯なら2プッシュ)かける
② 約90秒義歯ブラシ等を使いよく洗剤する
③ 流水でしっかり洗い流す
※チタンなど金属を使用した入れ歯にも安心してお使いいただけます。
それぞれの口腔ケアグッズの詳しい使用方法については、『介護の歯磨きが劇的に変わる!訪問歯科の衛生士が教える上手な磨き方』・『歯科医師監修!入れ歯洗浄剤を選ぶポイントとおすすめ洗浄剤』をご覧ください。
5.まとめ
歯を磨くことは虫歯の予防だけではなく歯周病の予防のためにも必要です。数多くある口腔ケアグッズの中から一人一人に合ったものを選ぶのは難しいことです。
訪問歯科で口腔ケアをさせていただいている経験からおすすめした、歯ブラシやその他のアイテムがお役に立ちましたら、うれしい限りです。
口腔ケアで大切な歯をお守りくださいね。