中国で発生した新型ウイルスが世の中の重大ニュースとして毎日取り上げられています。日本、諸外国の対応は様々ですが、すでに日本には新型ウイルスにかかっている人がおり、二次感染、三次感染が起こっています
テレビやSNSを見ると怖くなりますが、怖くなる前に今私たちができることは、新型コロナウイルスについて正しい理解と正しい予防法を身に着けることが重要となります
今回は、新型コロナウイルスの予防法について説明していきたいと思います
1.新型コロナウイルスとは
コロナウイルスは今まではヒトにかかる風邪のウイルス4種類と、動物から感染する重症肺炎ウイルス2種類が確認されていました。新型コロナウイルスはこれらに当てはまらない新しいウイルスということになります
潜伏期間は1~12.5日と長く、症状がまったく出ていないのにも関わらず人から人へと感染していきます。致死率は2%と低いので隔離政策を強制的に行うことができず、今もなお潜在的な感染者が増えているといわれています。専門家の中には4月くらいに日本でピークを迎えるのではないかと言っている人もいます
高齢者や心疾患、糖尿病の基礎疾患がある人は重症化しやすくなります。軽症な人は鼻づまりや咳といった軽い症状ですみますが、重症化してしまう人は肺に水がたまるといった重篤な症状がでます
1-2.突然変異しやすいという報告は今のところない
風邪のコロナウイルスは世界中で毎年蔓延しているそんなに怖くないウイルスなのですが、病原性の強い重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)や中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)が出現し問題となりました。
今回の新型コロナウイルスは、遺伝学的にSARS-CoVに近縁であることが報告されているので、突然変異を起こして強毒化するのではないかという心配をする人がいらっしゃるかもしれません。今のところ、新型コロナウイルスが従来のコロナウイルスに比べて突然変異を起こしやすいという情報は今のところありません。
しかし、ウイルスの病原性や伝播性が変化する可能性は否定できないので、継続した観察が必要となります
2.感染経路は2つ
感染経路は現在調査中です。
今のところ考えられるのは、患者と濃厚に接触することによる飛沫感染、ウイルスに汚染された環境にふれることによる接触感染が考えられています。
2-1.飛沫感染
飛沫感染とはウイルスが体内にある人が咳やくしゃみをして、そのつばの中に潜んでいるウイルスを別の人が吸い込むことで感染します
感染場所は、人が多く集まるところになり、学校や満員電車などになります
2-2.接触感染
ウイルスに感染した人がくしゃみや咳などをしたときに口を手でおさえたりして、ウイルスの付着した手で物を触るとウイルスが物に付着します。他の人がウイルスが付着したところに接触して汚染された手で口や鼻や目をこすることで感染します
感染場所は、ドアノブ、電車のつり革、スイッチなどになります
3.8つの予防法
テレビやSNSでマスク不足が取り上げられているので予防=マスクのイメージが強いかもしれませんが、予防法はそれだけではありません。
3-1.石鹸での頻回の手洗い
外出先から帰ってきたら、ウイルスがついているかもしれない手で室内や顔を触れる前に石鹸を使用してよく手を洗ってください。コロナウイルスはエンベロープという脂を主成分とする膜に包まれているので、石鹸は脂の膜を壊しウイルスを殺してくれます
薬用石鹸の必要はありません。手を拭くときは使い捨ての紙や新品のタオルが良いです。
ここで注意が必要なのですが、いくら石鹸で手を洗ってもタオルが共用だったらまったく意味はありません。タオル共用は感染拡大を招く可能性があるので、もし家でタオルを共用していたらやめましょう。
アルコールを使用した手洗い
エンベロープはアルコールによっても破壊されます。そのためアルコール消毒も感染予防に有効とされています。
外出先でアルコール消毒液を設置しているお店や病院がありますよね。それを使用するときは乾くまで10秒以上こすり手になじませてください
また、アルコールティッシュなどで手を拭くのも有効です
3-2.外出先での頻回の水分補給
ウイルスは粘膜に付着して15~20分で体内に侵入します。そのため、長時間の外出のあとのうがいにあまり効果はありません。
なので、外出中に水分補給をして粘膜を洗い流してウイルスの粘膜からの侵入を予防しましょう。5分ごとに水分補給をして飴を舐めているのが良いです
3-3.部屋の湿度を低くする
水分の頻回接種に関連しますが、乾燥は粘膜の防御機能の低下を招きます。室内では加湿器などを使用して50~60%の湿度を保つようにするよ良いでしょう
新型コロナウイルスはインフルエンザウイルスとは違い、湿度に強く、湿度が高いと感染力が持続します。部屋の湿度は30%くらいに低くしましょう
3-4.免疫力を高めるために栄養と休養をとる
今、新型コロナウイルスに有効な別のワクチンが発見された、ウイルスの分離ができた、など、色々情報が錯そうしていますが、まだ抗ウイルス薬が開発されたという段階ではありません。そうなると、もしウイルスが侵入したとき、最後の頼みは自分の免疫力ということになります
- ビタミンC(白ネギ・春菊・緑茶・煎茶・抹茶)
- 亜鉛(牡蠣)
- 胃腸の働きをよくするもの(あたたかい料理・ヨーグルト、キムチなどの発酵食品)
などの接種を心がけ、三食きちんと食べ、睡眠をよくとって免疫力をあげましょう
3-5.トイレの蓋を閉めてから流す
コロナウイルスは便にも出てきます。トイレで便をしたときは手に付着していないように見えても、ティッシュを通過して便が手についています。便をしたあとは念入りに手洗いをしましょう
また、トイレの水を流すときに水が飛びますので、蓋を閉じてから流したほうが良いでしょう
3-6.ドアノブやスイッチを指先で触らない
新型コロナウイルスは接触感染なので、不特定多数が触る場所をあまり触れないようにしましょう
- エレベーターのスイッチはペンで押す。または第二関節で押すといった工夫をする
- ドアノブは不特定多数が持ちやすいであろう真ん中ではなく、隅を持つ
3-7.手で口、鼻、目を触らない
人は思ったより自分の顔を触る癖があります。それを理解して意識的に触らないように気をつけましょう
もし顔を鼻をかみたくなったり、目を擦りたくなったり、コンタクトレンズを付ける場合は、手洗いを十分にしてから粘膜に触るようにしましょう
3-8.マスクを正しく使い、使用済みのものは触らない
マスクによる予防効果があるのかどうかは分からないというのが現時点の状況です。現在一般人に出回っているマスクはサージカルマスクというものなのですが、すき間ができる、繊維の目がウイルスより大きいということから、マスクをしていてもウイルスが侵入してくるともいわれています。
しかし、大きな飛沫からは守ってくれる、汚い手で顔を触れる機会の減少といった利点もあるので、何もしないよりはマシという感じです
あと、マスクはそもそも予防のためにあるのではなく、自分が持っているウイルスを周囲に広めないために設計されています。病気にかかっている人がマスクをした際は有効なのですが、健康な人が予防のためにマスクを使用するときは有効性を過大評価するのは禁物ということになります
とは言っても、やはりマスクなしで外出するのは怖いですね。
※現在はマスクをする効果はあるとされています(4月15日訂正)
使用するときは
- ノーズピースをフィットさせる
- 鼻を口をちゃんと覆ってマスクを顎にかける
- マスクの外側を決して触らず、はずした後も外側を鞄や家具に付着させない
といったことに注意をしましょう
マスクを捨てる時は耳にかけてあった
トラップ部分のみつまみ、丸めたりすることなくごみ箱に捨てましょう
4.新型コロナウイルスなのかもしれないと思ったら(埼玉県の人)
湖北省への渡航歴や患者との濃厚な接触をしたと考えられる埼玉県の方で、発熱や呼吸器症状がある方は、医療機関を受診すべきかどうかなどの対応を保健所で相談することができます
4-1.以下3つの条件を満たす人は相談窓口へ
- 37.5℃以上の発熱又は呼吸器症状(軽症の場合を含む。)を呈するものであって、新型コロナウイルス感染症であることが確定したものと濃厚接触歴がある方
- 37.5℃以上の発熱かつ呼吸器症状を有し、発症前14日以内に湖北省に渡航又は居住していた方
- 37.5℃以上の発熱かつ呼吸器症状を有し、発症前14日以内に湖北省に渡航又は居住していたものと濃厚接触歴がある方
4-2.時間帯によって連絡先は変わります
1.平日昼間(8時30分~17時15分)
2.土曜・日曜休日昼間(8時30分~17時15分)
- 保健医療政策課 感染症・新型インフルエンザ対策担当
- 048-830-3557
3.夜間(17時15分~8時30分)
- 埼玉県救急電話相談
- #7119
※#7119は、新型コロナウイルス感染症に限定した窓口ではありません
4-3.各都道府県の相談窓口
リンクはこちら
4-4.厚生労働省の相談窓口
- 電話番号: 03-3595-2285
- 受付時間: 9時00分~21時00分
5.まとめ
毎日TVやSNSで色々な情報が飛び交っているのですが、デマ情報や煽るような表現をする人もいます。TVやSNSを見るなというわけではないのですが、情報源はどこなのか、誰が発言しているのか、素人の意見ではないかなどを見極めましょう。
国や県、病院のHPの情報も定期的にチェックしましょう
- 新型コロナウイルス感染症に備えて ~一人ひとりができる対策を知っておこう~
- 新型コロナウイルス関連肺炎に関する情報 日本薬剤師会
- 2020年2月4日 朝日新聞