食べ物を摂取したら肌が赤くなったからアレルギー検査をしてみた
病院に行ったついでにアレルギー検査をしてみた
芸能人がアレルギー検査をしていたから自分もしてみた
そしたら「陽性」だった!なんで?
こういったかたは結構いらっしゃるのではないでしょうか?
検査で陽性になった人は、該当する食べ物を制限したほうが良いのかな…と思われるかもしれません
しかし、本当に食べ物を制限する必要があるかどうかは検査だけでは分かりません
今回は、アレルギーと、アレルギー検査について説明していきたいと思います
目次
1. そもそもどうやってアレルギーはおこる?
アレルギーがおこるとき、身体の中では何がおこっているのか
まず、そこを説明していきます
1-1.アレルギーの原因が体の中に入ってくる
(参考 奥羽大学)
アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)が体に入ってくると、体がアレルゲンを攻撃するための抗体を作ります。この抗体を特異IgE抗体と言います
このIgEは肥満細胞という大きな細胞の表面にくっつきます
血液検査ではIgEを調べる
アレルギー検査では、この特異IgEがあるかどうかを調べます。例えば、たまごの特異IgEがあるのか、牛乳の特異IgEがあるのか…
なんの特異IgEがどれくらいあるか視覚化していきます
(参考 BML)
ここで重要なのは、病院で調べる抗体はIgEだということです。
市販のアレルギー検査キットでIgGを調べるタイプのものがあります
名前は似ていますがIgEとIgGは別物です
IgGはアレルギーの症状(肥満細胞のはたらき)をおさえてくれるので(これを免疫寛容と言います)IgGが多いからといって不必要に恐れることはありません。もし、市販のキットを使った人は、ご自分が何を調べたのか見てみてくださいね。IgGがたくさん出ていても大丈夫です
1-2.肥満細胞がアレルギーをおこす物質を出す
IgEにアレルギーの原因物質がくっつくと、肥満細胞がアレルギー症状を起こすヒスタミンやロイコトリエンなどを出します。
1-3.アレルギーの症状が出てくる
ヒスタミンなどが出ると血管が拡張します。その結果、皮膚が赤くなったり、蕁麻疹ができたりまします。ひどいと、呼吸が苦しくなったり血圧が下がったりとった、危険な兆候もでることがあります
2. アレルゲンが分解されるとアレルギーは出ない
アレルギーの発症の原因となるIgEは、基本的には、対象のアレルゲンにしか反応しません。
たとえば「こむぎ」に反応するIgEは「こむぎ」に反応します。
しかし、「こむぎ」の形が変わって「こ」と「む」と「ぎ」になってしまうとIgEは反応できないのです。
体の中に「こ」がやってきてもIgEは
「俺は“こむぎ”を攻撃するんだから“こ”は放置だ!」
となるのです
(参考 オーソモレキュラー栄養医学研究所)
上の図のように、アレルゲンのタンパク質をバラバラに分解してしまうことが大切です
2-1.検査で陽性でも絶対に食べられないわけではない
上で説明したように、血液検査で特異的IgEが陽性でも、食べ物のタンパク質の構造が変わればIgEは反応しないので、該当した食べ物が一切食べられないというわけではありません。つまり、「小麦」がアレルギー検査で陽性になっても「分解した小麦」には反応しないので、小麦を一切食べられないというわけではない、ということになります
また逆に、検査が陰性だったからといって絶対にアレルギーが出ない、というわけでもありません
ここらへんが難しいところなのですが、アレルギーは複雑なメカニズムでおこり体調など他の因子でも誘発されたりするので、アレルギーの検査結果がストレートに症状に反映するわけではないのです
なので、自己判断はせずに医師と連携のもとで検査結果を理解し、アレルギーに対応する必要があります
3. アレルゲンのタンパク質を分解する方法
では、アレルゲンのタンパク質をどうやって変えるのか、説明していきます
3-1.加熱する
タンパク質は熱を加えると形が変わります。なので、生物(なまもの)は避けて充分に加熱をしましょう
卵のばあいの加熱方法について
加熱といっても色々やりかたがあります
卵を例にすると
- 生卵
- 温泉卵
- 炒り卵
- 錦糸卵
- 茹で時間12分以内ゆで卵
- 茹で時間12分以上ゆで卵
の順番で、アレルゲンの量が減っていきます。加熱時間が長いほどアレルゲンが減っていきます
野菜なら、シャキシャキ感がなくなりべちゃべちゃになるまで
肉なら、ジューシーさが無くなりぱさぱさになるまで
素材をじーっくりと加熱してください
3-2.内臓に消化してもらう
私たちは体の中に色々な消化機能があります。
消化液はタンパク質をバラバラにしてくれます。だから効率よく働いてもらえるよう、体調管理をして万全に内臓にはたらいてもらいましょう
体調が悪いと下痢っぽくなりますよね…そういうときはアレルギーを起こしやすくなるので注意してください
あと、よく噛んで食べ物の形を小さくすると、消化がしやすくなるし内臓に負担がかかりません。丸飲みは避けてよく噛んでご飯を食べてくださいね
4. 少量ずつ食べさせてアレルギー発症リスクをさげる
2-1.で説明したとおり、特異IgE抗体があると絶対にアレルギー症状がでるとは限りません
しかし、現実ではアレルギーが出てしまう方はいらっしゃいますよ
そういった方は、該当する食物を一切食べないことでアレルギー発症を避けようとするかもしれません。20年ほど前ではアレルギー対策に該当食物の除去がすすめられたこともありますが、現在は逆で、少量ずつでもアレルゲンを食べたほうが良いとされています。
これは、経口免疫寛容といって、口からアレルゲンを取り入れることで体がアレルゲンを受け入れるようになるといった作用を利用しています
離乳食のすすめかたはご存知でしょうか?赤ちゃんに離乳食をあげるときは、初めて食べる食材は1さじからスタートします。そしてアレルギーなどの症状がなかったら2日目に2匙、3日目に3匙といったように徐々に量を増やしていきます。
少量ずつ食べる方法というのは、基本的には離乳食の進め方と同じです
(参考 アレルギー支援ネットワーク)
このように、ごく少量から食べることによって、検査で陽性でも食べられるようになることがあります
しかし、ほんの少量でアナフィラキシーをおこす人はこの限りではありません。自己判断で自宅で原因物質を口にするのは避けましょう
少量ずつ食べるというやり方は専門的には「食物負荷試験」と言います。重度のアレルギーの人は専門機関で医師のもとで食物負荷試験を行いましょう
食物負荷試験 実施機関の検索はこちら
5. アレルギー症状が出たら医師に診てもらうのが大切
前述したとおり、アレルギーは色々な要素が絡みあっておこるので、専門的な知識が必要とされます
今はネットで情報が得られるのでそちらに頼ってしまいますが、できれば病院で診てもらったほうが良いですね
まずは、かかりつけ医に診てもらったほうがよいでしょう。また、アレルギーを専門で見てくれる先生もいるので、そちらに行ってもかまいません
かかるときは
- 何時に食べたのか
- どれくらいの量を食べたのか
- 症状の経過
- 症状の写真(スマホとかで撮影したものでOK)
などの情報があると診断しやすくなります
7.まとめ
いかがでしたか?
アレルギー検査を受けて陽性が思ったより出てしまった人がいるかもしれません
しかし、陽性だからといってその食物が一生食べられないと思うのは早計です
正しい知識を医師から聞いて、正しい対応をしていってくださいね