日本では保険診療を受けるためには保険証が必要となります
しかし、保険証をうっかり忘れてしまったり、保険証の切り替えの時期で手元に保険証がなかったりすることがありますよね
そういう時、病院で治療を受けられるかお金はどうなるのかについて、今回は説明をしていきたいと思います
目次
1.保険証がなくても病院で診察は受けられます
保険証がないと医療を受けられることすらできないと思うかたがいらっしゃるかもしれませんが、安心してください。診察を受けること“は”できます
歯が痛い!けど、治療を受けられない!!
ということにはならないので安心してください
しかし、保険証がないのでいくつかの制約を受けることがあります。それを2.で説明していきたいと思いま
2.保険証が無いとおこる2つの制約
保険証があると日本における保険治療を受けられることができます。なぜなら、毎月“いざとなったときのための保険料”を払っているという証明でもあるからです
では、その証明ができない人はどういった制約があるのでしょうか?
2-1.治療費が高額になる
ずばり、治療費がかかります。歯科医院によって保険証がない人に請求するルールは違います
代表的な3つのパターンに分けて説明します
お預かり金を支払う
治療内容の如何にかかわらず、保険証を忘れた人の治療費は一律5,000円~10,000円としている医院があります。筆者がいたところは一律5,000円が多かったです
保険点数の10~20割を支払う
“保険証を持っているけど今ない(忘れた・移行時期の)人”に該当することが多いルールで、
治療内容に該当する保険点数を計算して、その点数の10~20割を支払ってもらう方法になります
※東歯科医院は保険点数の10割を支払っていただいております
自費診療で支払う
こちらは“保険証をもっていないし、作る気がない人”に該当することが多いルールで、
自費診療ということになり、支払金額はかかった医院で設定された金額を支払うことになります
2-2.治療内容を制限されることがある
保険証を作る気がないので自費診療で構わない、という患者さんなら必要な検査は全部することができます。
しかし、保険証が手元になくて本当は持っている人で、お金をあまり払いたくない・手持ちがないというかたは、治療費が高額にならないために最低限度の治療しかしないことがあります
3.治療費の差額は手続きをすれば戻る
保険証を持っていかなったときに払った治療費は、患者さんが手続きをすれば戻ってきます
3-1.歯科医院の窓口で返金してもらう
保険証がなかった時の領収書を歯科医院の窓口に持っていき、差額を返金してくれる医院があります。大体の医院はこの制度を導入していると思います。
しかし、そうではない医院もあるようですね。保険証を忘れた人の治療費の返金に応じる法的義務はないので、窓口で返金をしない医院があることを念頭に入れておいてください
保険証は“同月中”に窓口に持っていく
窓口で返金ができる医院のばあい、同月中までに持ってきてと指定されるのではないかと思います。
つまり、
4/1に治療をうけたら4/30までが期限
4/27に治療をうけたら4/30までが期限
ということになります。
ここで保険の話になりますが、保険診療とは
・患者さんから1~3割
・保険者(市町村・組合など)から7~9割
治療費を支払ってもらうことで成り立っています。
歯科医院は月に1回保険者に
「保険番号〇〇の患者さんが来て、こういった治療をしましたので、差額の7~9割の医療費をください」
という書類(レセプト)を提出しているのです。
このレセプトというものが結構たいへんでして、毎月の締め切りに間に合うように歯科医院は準備をしているのです。その締め切りに間に合わせるために、月末までにといった期限を設けること多くなるのです
3-2.保険者に直接、返金を申し込む
月末までにちゃんと持っていくつもりだったのに、旅行先の病院だったり、運悪く急病に見舞われて持っていけなかった!という人がいらっしゃるかもしれません
そういった人は、窓口のときより面倒くさいですが手続きをすればお金はもどってくるので安心してください
まず手元に保険証を用意してください
表面をよーく見ると、下のほうに「保険者名称」と書いてあると思います。上の図で言えば、黄色いラインが引いてあるところですね
それがあなたが加入している保険組合であり、あなたの医療費の7~9割を支払っている組合になります
自分がどこの保険者に加入しているかわかりましたか?分かったら次に進みましょう
地域の役所などで手続きをする人
住んでいる地域の役所などで手続きをする人は、
保険者が
「市町村名」もしくは
「〇〇後期高齢者医療広域連合」
と書いてある人になります。
この人たちは自分が住んでいる地域(正確に言えば住民票がある地域)の役所に問い合わせて、
「医療費を全額負担したので療養費の給付をしたい」
と申し出ましょう。あとは手続きに従ってください
↑この保険証は京都の「区役所」が保険者なので、区役所に連絡しましょう
↑こちらは「埼玉県後期高齢者広域連合」が保険者です。地元の後期高齢者広域連合の連絡先を調べて手続きをしましょう。
後期高齢者広域連合の調べ方
- 担当区域の役所に電話したり、直接聞きに行く
- インターネットで調べる
- 電話帳で調べる
- 電話の104で調べる(有料)
上記以外の人は、会社の担当か保険者に連絡
・サラリーマン
・公務員
・船員
・特定の企業
・特定の業種(美容師・医師など)の人は、
地域の区役所などでは手続きはできません。
会社で療養費の事務手続きをしてくれる人がいるのならその人に頼んだり、いないのなら自分で保険者を調べて直接やりとりしましょう
↑たとえばこちらは「全国健康保険協会」が保険者ですね。
会社が対応してくれるのならお願いすれば良いですが、してくれなさそうならインターネットなどで公式HPを調べて直接問い合わせましょう
各組合の療養費の払い戻しのリンク先
4.保険証の切り替えの時期の人
転職、引っ越し、結婚などで保険証が切り替ってる最中で、新しい保険証や保険証の替わりになる書類が、手元にない人がいらっしゃいます。
そういう人は歯科医院の受付に
「手続きはしているけど、まだ新しい保険証がない」
「保険証が切り替わっていて、まだ手続きをしていない」
などと、具体的な状況を伝えましょう
4-1.保険証がないのなら治療費は高額になる
保険証が手元にないと、歯科医院としては保険者から7~9割分の治療費を支払われないトラブルを避けるために、やはり治療費は高額になります。2-1.で説明したくらいの金額になります
「ちゃんと保険料を払ってるし持ってくると言ってるのに、信頼していないの!?」
と思われるかたもいらっしゃるかと思いますが、世の中には悪い人がいて、信頼して「治療費は次回でいい」と言ったらそのまま逃げる人もいるのです。筆者は複数の歯科医院で勤めてきましたが、治療費を踏み倒そうとする人は絶対にいました…(涙)
こういった事情から、保険証があるけど手元にない人に保険診療より高い治療費を請求するのは、ご了承いただきたいのでございます…
4-2.治療費は返金されます
治療費の差額分は返金されます。こちらも上で説明したのと同様、窓口での返金か、保険者からの返金になります。
4-3.新しい保険証をいち早く手に入れる
保険証の切り替えをしないといけない人は、すみやかに手続きをしてください
地域の役所に問い合わせればいい人は
- 社会保険に入っていない自営業の個人事業主
- 社会保険に入っていないアルバイト・パート
- 世帯主が社会保険に入っておらず、その世帯主の扶養の人
- 後期高齢者になった人
であり、役所に行って事情を話せばすぐに保険証や保険証の替わりを発行してくれます。
筆者は引っ越ししてすぐに役所に行ったら、保険証の替わりになる書類を当日にもらいました。その書類を見せれば保険診療を受けられるというものでした。
ちなみに、県をまたがなかったときは、行った当日に新しい保険証が発行されました。
インターネットでは「切り替わるのに〇日かかる」とか書いてありますが、実際に行ってみると即日発行をしてくれたので、ネットで調べたり人に聞いたりする前に、早く役所に行ったほうが良いのではないかと思います
地域の役所で切り替えができない人は、
広義でいう社会保険に加入しているかたなので、そういった人は会社の担当者に頼んだり、保険者に直接問い合わせましょう
保険証の発行は社保の人のほうが時間がかかる可能性があるかもしれません。もし、あまりに手続きが遅いのであるのなら、会社で働いているわけだし保険料も毎月支払っているので、早めに発行してもらうように少し強気に出ていいでしょう
5.まどめ
保険証が手元にない状態で治療をうけると、大体は保険診療以上の料金がかかります。しかし、払い戻しの制度はあるので安心してくださいね
しかし、窓口で返してもらうときも療養費の払い戻しのときも、期限というものはつきものです。期限内の内に早めに手続きをするようにしてくださいね