歯だけじゃない!体にも悪影響を与える「歯ぎしり」の正体とは

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朝起きるとなんだか口元やアゴがだるい…。
集中するとつい歯をくいしばってしまう…。
虫歯はなさそうなのに歯がしみる…。

その症状、もしかしたら歯ぎしりが原因かもしれませんよ。

歯ぎしりは歯だけでなく体にも悪影響を及ぼすことがあります。
できるだけ早く改善したいものですが、本人には自覚がないケースもあります。

この記事では、歯ぎしりのセルフチェック法や歯医者さんでの治療方法、日々の生活のなかでできる歯ぎしり予防法をご紹介しています。
ぜひ参考にしてくださいね。

1.あなたはどのタイプ?歯ぎしりの種類4つ

歯ぎしりというと、睡眠時に「ギリギリ」と歯をこすりあわせて音を鳴らすものがすぐ思い浮かぶかもしれません。実は、歯ぎしりの種類はこれだけではないのです。音がしないもの、日中に無意識におこなわれているものもあります。まずは、歯ぎしりの種類4つと簡単なセルフチェックの方法についてご説明します。

1-1 歯を横にこすりあわせる「グラインディング」

これは、上下の歯を左右にこすりあわせるタイプの歯ぎしりです。睡眠時におこなわれることが多く、「ギリギリ」「キリキリ」という音がします(音がでないこともあります)。周囲の人が気づきやすく、本人も自覚しやすいタイプの歯ぎしりです。

こんな人はそうかも?


・歯の噛む面が以前よりすり減った気がする。歯の内部の黄色もしくは茶色っぽい部分が見えてきている。(「咬耗」といいます)
咬耗のイラスト

・歯の根元部分が削れたようにくぼんでいる(上下の歯の合わさる力で歯にたわみが生まれ、構造的にもろい根元部分が欠けるため)
ブラキシズムのイラスト

・虫歯はなさそうなのに歯がしみることがある

1-2 歯を強くくいしばる「クレンチング」

これは、上下の歯があたった状態で強くくいしばるタイプの歯ぎしりです。睡眠時だけではなく、日中無意識におこなわれていることがあります。音がしないため、周囲も本人も気づかないことがあります。長期にわたっておこなわれると顎関節症を引き起こす可能性があります。

こんな人はそうかも?

・朝、目が覚めると/日中ふと気がつくと、アゴがだるくこわばっている感じがする
・歯や詰め物が折れたり欠けたりしやすい ・歯の表面に小さくヒビが入っている
・下の歯の舌側にボコッとした硬いものがでている(噛みしめによる骨の隆起)
・集中すると歯をくいしばるクセがある
・舌の側面や頬の内側に歯を押しつけた白い線が残っている
歯痕の口腔内写真

1-3 歯を縦に噛みあわせる「タッピング」

これは、上下の歯を縦に噛んでぶつかりあわせるタイプの歯ぎしりです。「カチカチ」「カンカン」という音がします。睡眠時におこなわれることが多くあります。音がするので周囲や本人も気づきやすいですが、歯やアゴへかかる力が小さく痛みなどの症状がでないことがあるため、対策をとらずにそのままにしてしまうことがあります。

こんな人はそうかも?

・睡眠時に「カチカチ」鳴る自分の歯ぎしりの音で目が覚めるが、あとを引く痛みやアゴのだるさは感じない
・睡眠時に歯ぎしりをしている自覚はないが、一緒に寝ている家族などに「カチカチ」という歯ぎしりの音を指摘される

1-4 2つ以上があわさった混合型タイプ

歯ぎしりのタイプはどれか1つだけの人もいれば、2つ以上のタイプがあわさっている人もいます。例えば、日中の覚醒時は歯をくいしばるクセがあり、睡眠時は歯をギリギリこすりあわせているという人もいます。自分が自覚しているタイプだけでなく、無意識におこなっているタイプも実はあるかもしれません。家族と一緒に寝ている人は他人に指摘されることで自覚しやすいのですが、一人暮らしの人などはなかなか気づきにくいこともあります。

2.歯ぎしりの原因は「ストレス」と「噛みあわせ」

歯ぎしりの原因は大きくわけて、ストレスと噛みあわせの2つにあります。まず、ストレスというのは精神的なものだけでなく、日中の過度な運動や疲労による肉体的ストレスもふくまれています。これらのストレスを発散するために睡眠時などに歯ぎしりがおこなわれていると考えられています。

二つめに、虫歯治療中の歯やグラグラして安定しない歯、歯並びの悪い歯が原因で噛みあわせが正しい位置でおこなわれておらず、これを調整しようと無意識に歯ぎしりをしているという原因もあります。噛みあわせの悪さは、頬づえをつくクセやうつぶせに寝る習慣などの日常の何気ない動作からも起こることがあります。

3.歯ぎしりが歯と体に与えるダメージとは

日中のストレス発散や、まちがった噛みあわせを調整するためにおこなわれていた歯ぎしり。しかし、これらはかえって歯や体に強いダメージを与えてしまうのです。放置しつづけると以下のような症状を引きおこすことがあります。

歯ぎしりが歯に与える主なダメージ

・歯の噛みあわせる部分がすり減って歯の内部が露出する →水などを飲むと歯がしみる(知覚過敏になる) →食事中に歯を噛むと痛む
・歯や詰め物がひんぱんに欠ける、ヒビが入る、折れる
・歯ぐきが下がる →歯周病の進行リスクが高くなる

歯ぎしりが体に与える主なダメージ

・アゴが痛む(常にアゴがだるい感じがする/大きく開かない/開けるたびに「カクッ」と音が鳴る)
・頭痛
・めまい
・肩こり
・腰痛
・耳鳴り

また、歯ぎしりは音が鳴ることで一緒に寝ている人に迷惑をかけてしまうこともあります。

4.歯医者さんでの歯ぎしり治療

そこまで強い歯ぎしりではなく症状も出ていないようであれば、5章でご紹介する歯ぎしり予防法に気をつけるだけでも大丈夫です。しかし、周囲も本人も強く気になるならば早めに歯医者さんでの歯ぎしり治療をおすすめします。歯医者さんでできる歯ぎしり治療にはいくつか種類があります。

4-1 スプリント治療

これは、マウスピースといわれるゴムやプラスチックでつくった歯型を歯にはめる方法です。睡眠時に装着して使用するため「ナイトガード」とも呼ばれます。歯ぎしりをなくすためのものではなく、歯ぎしりによる歯やアゴへのダメージを抑え、保護する目的で使用するものです。しかし、まれに歯ぎしり自体が改善されることもあります。歯医者さんでおこなう最もポピュラーな歯ぎしりへの対処法です。作製には5000~7000円ほどかかります。

ナイトガードのイラスト1 ナイトガードのイラスト2

この方法のメリットは、歯や歯周組織へのダメージを防ぎ、顎関節症を予防してくれることにあります。一方デメリットとして、

・歯に装着するため違和感がともなう。おう吐反射の強い人とってはストレスになることがある。
・歯ぎしりがかなり強い場合にはマウスピースに穴があくことがあき、使用できなくなることがある。マウスピースは修理ができないため、一から作りなおさなくてはいけない(※保険の関係で半年あける必要がある場合あり)

ということが挙げられます。

注意!

歯ぎしり向けのマウスピースには市販のものがありますが、既製品は個人の歯型に合いにくいことが多くあります。合わないマウスピースを使用していると噛みあわせがおかしくなり、かえって歯ぎしりがひどくなる場合があります。マウスピースの作製は歯医者さんでおこなうようにしましょう。

4-2 噛みあわせの調整

現在歯に入っている詰め物やかぶせ物の噛みあわせが原因で歯ぎしりをおこしている場合には、これらを調整・交換します。また、グラグラして噛みあわせが安定しない歯や、歯が抜けたままになった部分が原因である場合はこれらを補うための人工の歯を入れる治療をおこなっていきます。また、欠けたり折れたりしてしまった天然歯はコンポジットレジンといわれるプラスチック素材で欠けた部分だけを足して治すことができます。ただし、これらは根本的な原因である歯ぎしりが改善しない限りは、また欠けたりする可能性があります。

4-3 矯正で歯並びをなおす

歯並びの悪さが原因で歯ぎしりをおこしていた場合は、矯正治療で歯並びをなおすことができます。ただし、矯正治療は場合によっては100万円ほどかかることもあり治療期間も長くかかるため、歯医者さんとよく相談の上決めるようにしましょう。

4-4 薬物による治療

筋肉の緊張をゆるめる薬物を皮膚に注入することでアゴの筋肉に力が入りすぎないようにする治療法です。日本ではおこなっている歯医者さんが少ない治療法です。また、アレルギーや副作用のリスクもあります。

5.自分でできる歯ぎしり対策

日々の生活のなかでも歯ぎしり対策はおこなうことができます。小さなクセや習慣であっても、歯ぎしりに大きな影響を与えていることがあります。以下にご紹介する対策法を意識しておこなうようにしましょう。

5-1 上下の歯は接触させない状態に保つ

歯は本来、上下の歯が接触していないのが正常な状態です。日中、上下の歯が触れあっていることに気づいたらすぐに軽く離すようにしましょう。スマホ操作などで下を向いていると必然的に歯が噛みあってしまうため注意が必要です。また、唇や頬も力が入りすぎていると感じたらすぐにリラックスさせるようにしましょう。睡眠時は枕の高さに気を配りましょう。首にあっておらず高すぎる枕はアゴがさがってしまい、歯がぶつかりあってしまいます。うつぶせ寝もよくありません。

5-2 目につくところに「噛みしめない!」貼り紙を

意外にも効果的なのが、目につくところに「噛みしめない!」といった注意書きの貼り紙をはっておく方法です。貼り紙が目に入るたびに、自分が歯を噛みしめていることに気づくことができます。仕事場では、考えごとをしながらパソコン操作をしていて歯をくいしばってしまう人が多くいます。パソコンのふちに付箋で貼っておくだけでも効果大です。家のなかでは、とくにキッチンで力を入れて包丁を扱っているときに知らずしらずのうちに歯をくいしばっていることがあります。目につく壁などに貼り紙をしておきましょう。簡単にできる対策法なのでぜひ試してみてください。

5-3 ストレスをできるだけ溜めない

歯ぎしりの大きな原因であるストレスは、完全になくすことは難しいでしょう。しかし、集中しすぎている・イライラしていると感じたときには一度休憩をはさんでみたり、体に疲れを溜めすぎたりしないよう無理はしないよう心がけるようにしましょう。

6.まとめ

歯ぎしりは本人が知らないうちにおこなわれていることがあります。アゴがだるい感じがする、なんだか最近歯がしみる…。そういった小さなサインを見逃さないようにしていきましょう。対策次第では歯ぎしりの頻度や力を抑えることができます。大切な歯と体の健康のためにじゅうぶん気をつけていきましょう。

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