ガムのCMやドラッグストアでよく見るキシリトール。お子さんにいいと思って使っている人も多いでしょう。でもキシリトールって薬なの?キシリトールが入っていればなんでも虫歯にならないの?などよくわからないことも多いと思います。
ここではキシリトールが虫歯を予防する働きとキシリトールの効果的な使い方について解説します。
目次
1.キシリトールが虫歯を予防できる3つの理由
キシリトールは天然素材の甘味料で、果物や野菜の中に含まれています。虫歯予防で使われているキシリトールは白樺や樫の木から抽出されたキシラン・ヘミセルロースという糖分から作られています。砂糖などと同等の甘さがありますが、カロリーは75%程度とヘルシーです。キシリトールは北欧諸国で重用され、厚生労働省、世界保健機構(WHO)もその効果を認めています。
1-1虫歯菌を減らす
虫歯菌は食べカスに含まれる糖やたんぱく質をエサにして活動します。これらのエサを虫歯菌が分解してつくりだした酸が歯を溶かし、虫歯をつくりやすくします。しかし、虫歯菌はキシリトールをエサにしても分解することができません。酸をつくりだせない虫歯菌は活動力が低下し、次第に数が減っていくようになります。
1-2プラーク(歯垢)が歯につきにくくなる
キシリトールはお口のプラークの性状をさらさらにし、歯につきにくくします。この働きによって、歯ブラシでプラークを簡単に除去することができます。
1-3脱灰を防ぎ、歯の再石灰化を促進させる
キシリトールは唾液中のカルシウムと結合し、歯の表面を強化します。いったん虫歯菌の酸で歯が溶かされてしまっても、キシリトールが唾液のカルシウムと結合し、歯の表面をコーティングすることで修復(再石灰化)します。
2.キシリトールはこうして虫歯を予防する
虫歯は、①歯の表面にプラークと一緒に虫歯菌がくっつく→②プラーク(バイオフィルム)内で虫歯菌が糖をとりこむ→③虫歯菌が酸を出して歯を溶かす、ことで発症します。pHが5.7以下になると歯が溶け出します。②の虫歯菌が糖を取り込むときにキシリトールを取り込んでしまい、歯を溶かす酸が出せなくなってしまいます。また、キシリトールは唾液中のカルシウムと結合して歯の表面をコーティングすることで、歯を強化する働きがあります。
3.虫歯予防効果を最大にするためのキシリトール3つの使い方
キシリトールで虫歯を予防するためには、キシリトールが50%以上配合されているガムまたはタブレット5-10gを毎食後に摂取し、これを継続するとよいといわれています。
3-1キシリトールが50%以上含まれているか
キシリトールは50%以上配合されていなければ虫歯予防の効果を期待することはできないといわれています。少量のキシリトールしか入っていなくてもパッケージの表に「キシリトール配合」と表記されている商品もあるため注意が必要です。成分表で見るキシリトールの含有量(%)は、キシリトール(g)÷炭水化物(g)×100で計算することができます。
3-2甘味料は糖類0g、果汁やクエン酸は含まれていないか?
せっかく、キシリトールが50%以上含まれていても、砂糖や水飴など糖類が含まれていると、虫歯の原因になってしまいます。商品裏の表示をチェックしてください。
3-3食後歯みがき前の使用がおすすめ
キシリトールガムやタブレットは数分で味がなくなってしまいますが、虫歯予防のためには食後歯みがき前に5~10分お口の中に含んでおくようにしましょう。この習慣を3か月以上続けると虫歯になりにくい歯をつくることができます。
4.おすすめのキシリトール商品
4-1特定保健用食品(トクホ)のキシリトールガム
最もオススメのキシリトールガムはロッテの「歯科専用キシリトールガム」です。ロッテからは歯科専用ではないキシリトールガムも販売されていますが、虫歯予防にはこちらが効果的です。味はアップルミント・マスカット・クリアミントの3種類があります。一般的なドラッグストアには置いていないため、通っている歯医者さんやネット通販で購入しましょう。
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4-2お子さんにおススメ!甘味料キシリトール100%のしまじろうタブレット
小学生にあがる前までのお子さんには、タブレットなど口の中で溶けるものがおススメです。
しまじろうタブレットは商品改良して、小さいお子様でもかみ砕きやすい硬さで、お口の中で摩擦を高めてのどに引っかかりにくくしました。お菓子に慣れないうちは、小さく砕いてあげて、大人がそばにいるようにしてあげてください。味はかわらずグレープ味です。
4-3.キシリトール食品を食べるときの注意点
キシリトールは安全性が確認されていますが、消化されにくいので人によってはおなかを下すことがあります。個人差があるので、1日の摂取量を調節して食べるようにして下さい
“トクホ(特定保健用食品)とは?”
- 食品の有効性や安全性について国が審査し、表示することを許可した食品です。平成3年から始まり、キシリトール食品ではロッテのキシリトールガムが対象です。キシリトールガムが消費者庁から許可を得た表示内容は「歯の石灰化を増強するキシリトール、フクロノリ抽出物(フノラン)、リン酸―水素カルシウムを配合しているので、歯を丈夫で健康に保ちます」です。 健康が気になる方を対象にしている食品で、だれでも手軽に続けられますが、医薬品とは違いすでに病気になっている方へ治療のために使う薬品ではないので注意が必要です。
5.これで最強!キシリトールに加えて虫歯を予防するための2つのポイント
キシリトールを使って虫歯を予防するのなら、次の虫歯予防のための2つのポイントを守ることが必要です。
5-1虫歯予防の基本は歯みがき(プラークコントロール)
虫歯予防の大原則は虫歯の原因となるプラーク(歯垢)を除去すること、つまり正しい歯磨きです。
プラークコントロールとは細菌の塊であるプラークを除去して、再び歯にくっつかないようにすることです。
虫歯の原因のプラークを歯ブラシで取り除いてしまうのが100%虫歯を予防するポイントです。食事中に摂取した糖や炭水化物は、食後にきちんとブラッシングすることでお口の中が酸性になって歯が溶け出すのを防ぎます。
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5-2フッ素入り歯みがき粉を使いましょう
むし歯予防にはフッ素配合歯みがき粉を使うのが効果的です。できれば、成人なら900ppm、小児なら500ppm程度フッ素が配合されているものを選びましょう。加えて、歯の成分であるカルシウムやリン酸イオンが配合されている歯みがき粉ならばなおさら良いでしょう。また、発泡剤や研磨剤は無配合か、もしくは低発泡・低研磨性のものを選んでください。
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6.まとめ
キシリトール食品が虫歯予防に効果があることがおわかりになったでしょう。と同時に、キシリトール食品だけ摂取していればいいわけではありません。食間食後のキシリトールの摂取とあわせて、食後のブラッシング習慣とフッ素配合歯みがき粉を使うことで、より効果的に虫歯を予防しましょう!