ちゃんと歯ブラシしているのに、またむし歯ができた・・。なんて思ったことはありませんか?そうなんです。むし歯のなりやすさは不公平なのです。みがきが悪くてもむし歯にならない人もいる一方で、甘いものにも注意していて、一生懸命歯ブラシしてもすぐにむし歯になる人もいます。よくむし歯ができる人はむし歯になるリスクが高いので「ハイリスク」、そうでない人は「ローリスク」といいます。ここでは「ハイリスク」な人からそうでない人まで、むし歯予防のためにはどのような歯みがき粉を使えばいいか解説していきます。この記事を参考にして、しっかりむし歯を予防しましょう
1.むし歯予防に効果的な歯みがき粉の選び方2つのポイント
むし歯予防におススメの歯みがき粉はフッ素が配合された歯みがき粉です。フッ素配合歯みがき粉の使用により、日本のむし歯の数はここ十数年で減少してきています。ここではむし歯予防に効果的な歯みがき粉の選び方のポイントを2つ解説します。
1-1.フッ素の濃度の目安は成人は900ppm以上、子どもは500ppm
日本の薬事法ではフッ化物イオン濃度は1000ppm以下に定められています。目安として成人は900ppm以上、子どもの場合には500ppm前後フッ素が配合されている歯みがき粉を選びましょう。
1-2.研磨剤・発泡剤は配合されていないものを選びましょう
とくにむし歯になりやすい「ハイリスク」な人は歯が傷つきにくい研磨剤が含まれていない歯磨き粉の方がいいでしょう。また発泡剤が含まれているものは、磨き残しがあるのにみがけている気になってしまい、歯ブラシ時間が短時間になってしまうという注意点があります。できれば研磨剤、発泡剤が配合されていないものがおススメです。
2.あなたは大丈夫?むし歯の簡単セルフチェック
むし歯予防の歯みがき粉の効果を高めるには、あなたのお口の中がむし歯になりやすいハイリスクかローリスクかを知っておく必要があります。2つ以下の場合には、「ローリスク」、3つ以上あてはまる場合には「ハイリスク」の可能性があります。「ハイリスク」の場合には歯みがき粉だけでは予防できない可能性があります。一度歯医者さんで相談してみましょう。
それではセルフチェックしてみましょう!
- 過去3年間でむし歯治療の歯が3本以上ありますか?
- 冷たいものを飲むとしみる歯はありますか?
- 歯が抜けたままの部分がありますか?
- 歯みがき粉はフッ素入りのものを使っていますか?
- 毎食後かならず歯を磨きますか?
- 口の中につめ物が5本以上ありますか?
- 口の中がよく乾きますか?
- お菓子、ジュースはよく飲食しますか?
- 飲酒はしますか?
- 喫煙はしますか?
- 定期的に歯科医院に行っていますか?
3.むし歯予防に効果的なおすすめ歯みがき粉
たくさんの歯みがき粉が販売されていますが、その中からむし歯予防に効果がある薬用成分が含まれていて毎日使用できる歯みがき剤を紹介します。また研磨剤、発泡剤無配合もしくは低発泡、低研磨性の歯みがき粉だけ選んでいます。
3-1.効果的なフッ素配合歯みがき粉の使い方とは?
フッ化物配合歯みがき粉の予防効果を十分に高めるには、適正な量の歯みがき粉(補足参照)で、うがいをしすぎないようにします。具体的には10-15mlの水で1回うがいをします。その後1-2時間は飲食を控えます。特に就寝前が効果的です。
3-2. むし歯予防のためのおすすめ歯みがき粉5選
フッ素でだけでなくミネラルまでチャージしてくれる歯みがき粉3Mクリンプロ
フッ素が950ppm配合されているだけではなく、歯の成分であるリン、カルシウムといったミネラル成分を同時に配合している歯みがき粉です。リンやカルシウムを配合することで、初期むし歯になってしまった段階でも、ミネラルを歯にサプリメントすることで、虫歯になりにくくします。また、低研磨性、低発泡性のため歯を傷つけずに、長い時間ブラッシングできます。ネット通販で90g1200円程度です。
いろいろな年齢に合わせて使える、研磨剤無配合のライオンチェックアップジェル
フッ素濃度はバナナ味が500ppm、それ以外の4種類(ピーチ、グレープ、レモンティー、ミント)が950ppmと、いろいろな年齢にあわせて使い分けられる歯みがき剤です。歯科医院でも非常に人気の高い歯みがき剤です。ジェル剤のためフッ素滞留性が高く、同時にお口の隅々まで広がりフッ素の効果を期待できます。ネット通販で60gで600円程度です。
チェックアップ年齢別選び方の目めやす
むし歯と歯周病をバランスよく予防したいならコンクールジェルコートF
クロルヘキシジンが歯周病菌を殺菌し、β-グリチルレチン酸が歯肉の腫れや出血をおさえます。配合成分のポリリン酸ナトリウムがプラークや歯石を歯につきにくくします。またフッ素が950ppm配合されているので、むし歯にもなりにくいです。ジェルタイプなのでお口の隅々までゆきわたり、薬用成分をしっかり歯肉に届けます。研磨剤・発泡剤が入っていないため、歯や歯肉を傷つけません。ネット購入で90g900円程度です。
お口が乾燥しむし虫歯になりやすい方のオーガニック派の歯みがき&口腔ケアジェル オーラルピース
うがいがうまくできない赤ちゃんや、誤飲や誤嚥の心配があるご高齢の方へ天然由来原料100%のジェルタイプの歯みがきです。低刺激でアルコールフリーフッ素無配合のため、飲み込んでしまっても大丈夫な成分だけを使用しています。お口の中を清潔に保ちながら、口内保湿にも効果があります。ネット購入で75g1100円程度です。
むし歯に加えて冷たい水がしみる方へ Ciメディカル リカルセンシティブ
むし歯予防だけでなく、冷たい水がしみる知覚過敏や、歯肉炎に対しても効果がある薬用成分が多く含まれている歯みがきペーストです。フッ素が970ppm配合されています。特に配合成分のIPMP(イソプロピルメチルフェノール)は細菌の塊の奥まで浸透して殺菌する、といわれています。注意点としては低研磨性のため、使い続けると歯みがきペーストの色味がついてしまう可能性があります。ネット通販で70gで950円程度です。
“補足:低年齢児におけるフッ化物配合歯みがき粉の安全性”
歯が完成する前に過剰な量のフッ素を継続的に摂取してしまうと、フッ素症という歯の形成障害が発生するリスクがあります。うまく吐き出しができない1-3歳未満までは、切った爪程度の使用量で、フッ化物配合歯磨剤使用後はガーゼなどで拭うことをお勧めします。
4.それでもむし歯になってしまうあなたへ
一般的な歯みがきをしてもむし歯になってしまう場合には、あなたのお口の中が「ハイリスク」になっている可能性が高いです。それには以下の原因が考えられます。
4-1.むし歯はプラークが付着した歯の表面で発生する
むし歯は細菌の塊であるプラークが付着した歯の表面で発症します。歯の表面のプラーク内部で、むし歯菌が産出する酸により歯が溶かされて歯からカルシウムやリン酸イオンが溶け出ることでむし歯になります。このことを脱灰といいます。この時に、唾液が酸と接触できれば、中和されて脱灰が止まり、溶出したカルシウムやリン酸イオンが歯に戻ってきます。このことを再石灰化といいます。このため、プラークを歯から除去しておくこと、歯みがき(プラークコントロール)がむし歯予防の基本の柱になります。
ライオンクリニカHPより 詳しくはこちらから
4-2.むし歯予防の歯みがき粉の効果をより高めるためにはプラークコントロールが大切
プラークコントロールとは細菌の塊であるプラークを除去して、再び歯にくっつかないようにすることです。歯磨き粉の薬用成分が歯周病予防効果を発揮するには、プラークコントロールがとても大切です。なぜなら、プラークコントロールで歯の周りの汚れを取り除いてあげることで、薬用成分が歯の表面に届くからです。
自分でできるプラークコントロールとしては、歯みがき、デンタルフロス、歯間ブラシ、洗口薬によるうがいなどがあります。
4-3.プラーク以外でむし歯になってしまう原因とは?
プラーク以外でむし歯になってしまう原因には、細菌の数が多い、唾液が少ない、炭水化物や糖分の摂取回数が多い、などがあげられます。むし歯の「ハイリスク」の場合には、自分の歯みがきだけでむし歯を予防するのは難しく、歯科医院で歯のクリーニングをしたり、食事指導や、歯みがき指導などメンテナンスを受ける必要があります。
5.まとめ
むし歯予防の歯みがきをはフッ素配合歯みがき粉を選ぶのがおススメです。できれば、成人なら900ppm、小児なら500ppm程度フッ素が配合されているものを選びましょう。加えて、歯の成分であるカルシウムやリン酸イオンが配合されている歯みがき粉ならばなおさら良いでしょう。また、発泡剤や研磨剤は無配合か、もしくは低発泡・低研磨性のものを選んでください。
もし歯みがき方法がよくわからない場合には、歯科医院で歯みがき方法を学んだ方が、より確実にむし歯を予防できるでしょう。自宅のケアと歯科医院でのケアを上手に組み合わせてむし歯を予防し、むし歯にならないようにしましょう