こんにちは。歯科衛生士Sです。
みなさんは自分の口の中の状態をどれくらい把握できていますか?
身体の状態を知るための健康診断では血液検査、尿検査、血圧測定など、他にも様々な検査項目がありますよね。
歯科医院でも同様に患者さんの口腔内の状態を把握する、患者さん自身にも把握していただくために色々な検査や資料採得を行います。
今回はその中の口腔内写真についてのお話です。
口腔内写真は、治療計画をたてる際にとても大切な資料のひとつです。手鏡で見るだけでは分からない口腔内の状態を分かりやすく可視化することができます。
目次
1. 口腔内写真撮影とは
口腔内写真とは、口角鈎という口唇を排除して口腔内を撮影しやすくする器具や撮影用のミラーを用いて、口の中を撮影する検査です。詰め物がとれたとか、歯肉が腫れたなど、その箇所だけを部分的に撮影する小型のカメラもありますが、これはデジタル一眼レフカメラで口の中全体を色々な角度から撮影する検査です。
画像:有限会社サンフォートHPより
下記は5枚法といって、咬んだ状態での正面、左右の側方、口を開けた状態の上下顎を撮影したものです。口角鈎という器具で口唇を引っ張ったり、撮影用ミラーを口腔内に入れたりと、患者さんに色々ご協力いただきながら撮影を行います。
2.口腔内写真撮影における患者さんの7つのメリット
前の章でお話ししたように、撮影には患者さんの協力が必要です。
大きなミラーを口腔内に入れての撮影は、患者さんにとって楽な作業ではないと思います。
下記は今年勤務開始したスタッフが、口腔内写真撮影の講習会を受講した際の実習風景です。
患者さんになるべく苦痛なく、短時間で撮影を行えるよう繰り返し練習を行いました。
患者さんに協力していただきながら撮影する口腔内写真は、治療計画や術前術後の比較等で大切な資料となります。がんばって大きな口を開けていただいたりして撮影する口腔内写真には、治療をする先生の資料採得だけが目的ではなく、患者さんにもたくさんのメリットがあります。
2-1 初期の病変を見逃さない
撮影した資料はパソコンに落とし込み、大画面で拡大表示を行うことで、目視では分からない口腔内の詳細な状態を確認することができます。それによって初期病変を見逃すことなく確認でき、診断や経過観察へと繋ぐことができます。
2-2 患者さん本位の治療計画立案ができる
治療計画をたてるうえで、治療する先生だけでなく、患者さん自身が自分の口腔内の現状把握をすることはとても重要です。口頭で説明されただけでは、どんなに詳しい説明でもなかなか理解しがたいでしょう。
それを可視化することで、手鏡でみるより詳細にご自身の口腔内を客観視することができます。写真に撮られた口腔内を確認しながら説明を受けることで、自分の口の中がどんな状態なのかを詳細に把握でき、患者さん本位の治療計画をたてることへと繋がります。
2-3 患者さんへわかりやすいインフォームドコンセントのため
インフォームドコンセントとは、「医師と患者との情報を得たうえでの合意」のことです。
先生から現在の状況、必要な処置内容や効果などの説明を受け、患者さんやご家族がそれを理解し、合意してはじめて治療が行われます。
2-4 記録を残すことで予後の判定ができる
口腔内写真を撮影することで、術前術後の比較は勿論、その後の経過や予後に何か気になることがあった際にも判断材料となります。
2-5 術者患者さんともにトラブルを回避できる
術前に気にしていなかったことが、処置したあとで気になりだした場合になど、写真で確認することで安心材料になります。
治療後に歯がかけた、ヒビが入った、急に歯が痛くなった、すき間が空いた、歯が動揺しだした・・・など
術前の資料を見ることで問題解決できます。
2-6 症例をみることで治療内容を理解できる
ご自身と似た症例の他の患者さんの写真を見ることで、治療内容を理解することができます。口の中の写真や動画で患者さんの特定はできませんのでご安心ください。
2-7 学術的な目的のため
口腔内写真は状況把握や術前後の大切な記録として保管されます。常に良好な結果を求めて記録を残すことで間接的に治療成功率が向上します。
3. まとめ
口腔内写真は治療する側だけでなく、治療を受ける患者さんにもメリットがある大切な資料です。
歯科医院で口腔内写真撮影の説明があった際には、快くご協力いただけますと幸いです。