年をとると、今まで食べられたものが食べられなくなったり、病気が発覚して食事制限をすることになったりします。そういうときは、いつもの献立では食べられないので、少し工夫をしないといけません
今回は、高齢者の食事のポイントや、食事作りの手間を減らす市販のレトルト食品や配食サービスについて説明していきます
目次
1.高齢者の6つの身体的変化
まず、高齢者はどういった体の変化がおこる、なぜ食べられなくなったり不調がでるのか…
それを説明していきます
1-1.味覚が衰える
味を感じる細胞が減ってしまい味覚が衰えることで、濃い味を好むようになります。特に塩味、甘味の感覚が鈍くなります。そのため食事が偏ったり、味がしないせいで食事量が減って低栄養を招くことがあります。
1-2.噛む力が衰える
歯が抜けて歯の本数が減ったり入れ歯を使用することで、噛む力が若いころの1/3〜1/4になります。
1-3.飲み込む力が衰える
食べ物が喉を通りにくくなり、むせたりします。うまく飲み込めなかったという怖い経験から、ごはんを食べることを嫌がってしまう人もいます
1-4.唾液の分泌量が減る
唾液の中には消化酵素があるので、唾液量が減って消化効率が下がると胃に負担がかかります。また、口の中がヒリヒリするといった不快症状がでやすくなり、食事を億劫に感じる人もいます
1-5.消化液の分泌が減って胃腸の働きが悪くなる
唾液以外の消化液も減ってしまうので、消化不良や下痢をしやすくなります。また、胃腸の動きも悪くなるので便秘にもなりやすくなります
1-6.喉が渇いていることに鈍感になる
喉の渇きに鈍感になるので、脱水症状をおこしていることに気が付かなくなります
2.高齢者の食事の4つのポイント
上で説明したように高齢者は体の機能が下がっているので、食べ物をやわらかく、そして飲みこみやすくする必要が出てきます
2-1.食べやすいサイズや形状にする
1口サイズに肉や野菜を切ったり、舌と上あごで潰せるくらい柔らかくします。固形物が食べられないばあいは、裏ごししたり、すりこぎで潰したり、ミキサーでドロドロにしましょう。
2-2.食材のかたいところを切っておく
肉の筋を前もって切っておいたり、叩いて柔らかくすると喉にひっかかりにくくなります。
野菜も皮や筋が固いので、部分的に下ごしらえをしてあげましょう。
たとえば、トマトやナスの皮に切れ目を入れたり、面倒でなければトマトの皮は湯剥き、ナスは焼きナスにして皮を剥いてあげてください。ほうれん草や小松菜は、筋のところはみじん切りにし、もしくは葉の部分だけ食べさせましょう
2-3.適度な水分を含ませるため、トロミをつけたりツルンとさせる
パンは意外にぱさぱさしているので、少し牛乳にひたしたりパン粥にしてみましょう
また、食材に餡風のトロミをつけると、口の中でばらばらにならず飲み込みやすくなります。お茶などにもトロミをつけるとむせにくくなります
ゼラチンを使用してゼリーのように食材をかためたりするのも良いでしょう
2-4.水分をとるよう意識する
前述したように、お年寄りは喉が渇いていることに気が付きにくく、脱水症状が本人の気が付かない内に進行していることがあります。しかし、水はむせるから飲まない、トイレが近くなるから飲まない、寝る前に飲むと漏らしてしまうといった理由から、水分をとることを嫌がるお年寄りがいらっしゃいます。
嫌がるから飲まないでいると脱水症状がおこり、命にかかわることがあるので、食事やおやつのほかに日常的に水分摂取をするよう気を付けてあげてください。
嚥下障害で水を飲むたびにむせてしまう人には、お茶でゼリーを作って食べ物感覚にするのもいいですね
注意!
嚥下障害がある人には、ゼラチンを使用するように。寒天は溶けないので厳禁!
食事制限がない人はゼリー、ポタージュ、アイスクリーム、ヨーグルトなどを食べさせても大丈夫です
3.高齢者向け食事のレシピのリンクで献立探し
毎日の食事に困るのが、何を作るかいちいち考えないといけない献立選び…
そんなかたに、レシピを掲載しているHPの紹介をします
3-1.高齢者にやさしい簡単料理レシピ
東京都福祉保健局のHPです。
食材別に
- 「やわらかレシピ」
- 「低栄養予防レシピ」
- 「コンビニ食材等を利用したレシピ」
を掲載しています
3-2.介護情報総合サイト MY介護の広場
明治安田生命のHPです。
- 「介護度タイプ別メニュー」
- 「流動食・きざみ食メニュー」
のほかに
- 「電子レンジを使ったメニュー」
- 「保存食品を使ったメニュー」
といった時短レシピ
- 「季節を楽しむレシピ」
- 「お祝いの日のメニュー」
といった季節や記念日を楽しむためのハレの日レシピなど、多岐にわたってレシピが分類されています。
4.食事作りを助けるレトルトを使ってみる
1から全部自分で作るのは正直たいへん…
そういうときはレトルトに頼ってみましょう
全部レトルトでも大丈夫ですが、
罪悪感が……金銭的に作ったほうが安い……
と思われる人もいるかと思います。そういうばあいは、自分が作った料理にレトルトをちょい足しすることがおすすめです
味は筆者は食べてみたことがないので何ともいえないのですが、好みは人によって違うので、ブランドをばらけて買ってみてお好みの味の商品を発見してみましょう
4-1.キューピー
言わずと知れたキューピー。こちらの会社が初めて介護食を商品化したそうです
サイトはこちら
キューピー販売の栄養補給食のパンフレット(PDF)
4-2.アサヒ
かつて和光堂というブランド名で商品展開をしていたのですが、今はアサヒという名前になりました。パウチがキューピーより切りやすくなっているそうです
5.配食サービスを使って食事だけじゃなく安全確認もしてもらう
レトルトにも飽きた、むしろレトルト嫌い…
人が作ったものを食べたい、だけど作るのが面倒くさい
遠方の親御さんの食事が気になるけど自分が作ることができない
そういったかたは配食サービスがおすすめです
配食サービスは自治体や民間企業、ボランティア団体がおこなっています
介護保険の対象外なので全額自己負担だったり、メニューがあらかじめ決まっていて気分によって食べたいものが食べられないといったデメリットがありますが
栄養バランスが良いことや、配達してくれる人が定期的に訪問して安全確認してくれるので、異変があったときに発見が早いといったメリットもあります
厚生労働省も高齢者の配食サービスの重要性を指摘しています。
使えるサービスはどんどん使って楽するとこは楽して、無理なく健康管理をしていきましょう
5-1.まごころ弁当
おかゆ、アレルギー、きざみ食希望などの個別対応をしてくれます
食事は昼食と夕食のみで、朝食はありません
こちらの会社は、お弁当配達日以外の日にも(1回250円+税)で安否確認をしてくれます。家族が旅行などに行って不在なときは、こういったサービスがあると安心ですね
担当エリアの店舗に前日までに連絡をすれば次の日には配達をしてくれます
- 普通食(ごはんあり500円~/なし450円~)
- カロリー調整食(ごはんあり650円~/なし600円~)
- たんぱく調整食ムース食(ごはんあり750円~/なし700円~)
- やわらか食(ごはんあり590円~/なし540円~)
といった色々なタイプがあります
5-2.宅配クック123
介護食のほかに、持病を持っている人向けのメニューがあります
糖尿病で透析をしている。
高血圧で減塩しないといけない。
腎臓病でタンパク質を控えないといけない。
そういった人は、該当するコースのお弁当を頼むと、献立を考えなくて楽になりますね
担当エリアの店舗に前日18時までの注文で翌日の昼からお届け可能です
値段は一部をのぞいて(ごはんあり820円/なし777円)です
- 普通食(ごはんあり594円~/なし540円~)
- カロリー・塩分調整食
- たんぱく・塩分調整食
- 透析食
- やわらか食
- ムースセット食
- 消化にやさしい食
- 健康ボリューム食(ごはんあり660円~/なし606円~)
- 朝食(おじやセット275円~/パンセット313円~)
上記の介護食のほかに
- 会食用・おせち
なども用意してあります
5-3.ニコニコキッチン
きざみ食やおかゆにしてほしいときは、店舗に連絡をすれば個別対応をしてくれます。また、お年寄りでパーティーをしたりハレの日を祝いたいときは特別献立を人数分用意してくれます。一回だけの利用でもOKです
こちらの会社は、配食サービスのほかに買い物代行サービスも行っています。
ニコニコボックスというカゴによく使う日用品を入れておき、その中の物を使ったらお弁当配達スタッフに、例えば「トイレットペーパー使ったよ」などと伝えます。すると、後日、品物を配達してます
値段は一部をのぞいて(ごはんあり820円/なし756円)です
- ヘルシーメニュー(ごはんあり756円/なし691円)
- 元気メニュー
- 介護サポート食
- 栄養管理サポート食
- 選べるメニュー(商品ごとに違う)
- 朝食メニュー(280円)
6.まとめ
高齢者の食事は食品の形状の他に、持病があるときは栄養素の制限をしないといけないことがあります。レシピをネットで探したり、かかりつけの病院においてあるパンフレットに病気対策のレシピが載っていないか見てみましょう
もし、作るのが大変だったらレトルトや配食サービスを使って、毎日無理のない食事をしていきましょう