現在ネットや薬局で変え歯周病の市販薬はたくさんありますが、そのほとんが歯周病の予防薬として自宅で使用する(ホームケア)タイプです。歯周病の薬が効き目を発揮するには、歯肉に薬用成分がきちんと届いている必要があります。歯の周りに汚れ(プラーク)や歯石がついている場合には歯科医院で歯石除去や、ポケット内をきれいにお掃除してもらってから薬を使った方がより効果的です。ここで紹介している薬を正しく使ってあなたの歯周病対策の参考にしてください。
目次
1.自宅で使える歯周病の薬
自宅で使用し、基本的に毎日継続使用うることで効果を発揮します。主に歯周病の予防薬として、薬局やネットで購入できる薬です。安全面を考慮して厚生労働省の薬用歯みがき類製造販売承認基準品目もしくは天然製剤の医薬品、医薬部外品にしぼって紹介します。
1-1.歯磨き剤として毎日使う薬用ハミガキ5種類
歯周病の予防薬として歯みがき剤として日常使います。たくさんの種類が販売されていますが、歯周病予防だけでなく知覚過敏もおさえるなど、それぞれ配合されている薬用成分によって得意分野が違います。
歯ぐきの腫れと冷たい水がしみる方へ薬用シュミテクト歯周病ケア
歯ぐきの腫れにより、冷たい水がしみる方へおすすめです。歯がしみるのを防ぎながら、歯周炎、歯肉炎、口臭の発生及び進行を予防し、フッ素で歯も強くする薬用ハミガキです。MAG(グリチル酸アンモニウム)が歯ぐきの炎症を抑え、歯ぐきを健康に保ちます。ネット購入で90g500円程度です。
歯周病と虫歯をトータルで予防したいならコンクールジェルコートF
クロルヘキシジンが歯周病菌を殺菌し、β-グリチルレチン酸が歯肉の腫れや出血をおさえます。配合成分のポリリン酸ナトリウムがプラークや歯石を歯につきにくくします。またフッ素が950ppm配合されているので、むし歯にもなりにくいです。ジェルタイプなのでお口の隅々までゆきわたり、薬用成分をしっかり歯肉に届けます。研磨剤が入っていないため、歯や歯肉を傷つけません。ネット購入で90g900円程度です。
歯周病菌、歯肉の腫れ、口臭をバランスよく予防するならシステマデンタルペーストα
歯周病菌殺菌のIPMP (イソプロピルメチルフェノール)、歯肉の炎症抑制(トラネキサム酸)、口臭予防LSS(ライロイルサルコシンナトリウム)の3つの薬用成分が配合されています。とくにIPMPは歯周病の原因とされている細菌の膜であるバイオフィルムにも浸透する殺菌剤として注目されている薬用成分です。低研磨、低発砲、抵香味で長時間のブラッシングが可能となり、しっかりプラークコントロールが行えます。ネット購入で90g520円程度です。
お口が乾燥して歯肉が腫れる方へおすすめ歯みがき&口腔ケアジェル オーラルピース
うがいがうまくできない、誤飲や誤嚥の心配がある方へ天然由来原料100%のジェルタイプの歯みがきです。
低刺激でアルコールフリーのため、乳幼児からお年寄りまで安心して使うことができます。お口の中を清潔に保ちながら、口内保湿にも効果があります。ネット購入で75g1100円程度です。
歯みがきペーストでは歯肉の奥に届いているか心配な方へ液体ハミガキ剤システマデンタルリンス
液体歯みがき剤としてブラッシング前に使用します。IPMP(イソプロピルメチルフェノール)配合で殺菌、口臭予防効果が高く、液体なので歯ブラシが届かない局所にも届いて殺菌する効果があります。ネットなどで購入可能で、900円程度です。
1-2.歯みがき剤だけでは不安な方へ洗口薬・うがい薬
歯みがきだけでは心配な方は洗口薬やうがい薬も併用して歯周病を予防しましょう。洗口薬・うがい薬の特徴としてお口の中の殺菌・口臭予防におすすめです。そのまま使うタイプと薄めて使うタイプがあります。
歯周病治療中に使う、殺菌効果に優れたうがい薬システマSP-1メディカルガーグル
歯ぐきが腫れる、口の中がなばねばする、口臭が気になる方におすすめです。1日数回、寝る前に行うとより効果があります。CPC(塩化セチルピリジニウム)及びGK2(グリチルリチン酸二カリウム)配合で、水でうすめて使用するうがい薬です。ネットなどで購入可能で、1200円程度です。
インプラント治療の患者さんにもおすすめクロルヘキシジン含有の洗口剤コンクールF
口臭やお口のネバつきが気になる方、洗口薬使用後のピリピリ感が苦手な方におすすめです。クロルヘキシジンは歯周病菌の殺菌効果があり、持続時間が長い薬です。インプラント治療後のインプラント周囲の除菌にも効果があります。副作用としてはアレルギーがあり、使用には注意が必要です。ネットなどで購入可能で、850円程度です。
“補足 液体ハミガキと洗口液とうがい薬(含嗽剤)の違いとは?”
- 液体ハミガキと洗口液は一般的に薬液をそのまま使用します。
- 液体ハミガキはブラッシング前、洗口液はブラッシング後に使用します。
- 液体ハミガキはブラッシングと合わせて歯周病菌の除去に、洗口液は口臭予防やお口の中のネバツキを減らすことを目的にしています
- うがい薬はより殺菌効果が高く、お口の中だけでなくのどの殺菌も期待しています。
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- 薬の濃度が高いため原液でなく水でうすめて使用するタイプがあります。
歯周病の口臭が気になる方はこちらも参考にしてください
1-3.毎日飲んで歯周病を予防するタブレットタイプの飲み薬2種類
どちらもプロバイオティクス薬として抗生物質のように悪玉善玉菌の両方を死滅させるのではなく、善玉菌を増やすことで歯周病菌を減らして歯周病を予防します。毎日服用することで、口臭を抑える効果もあります。
タブレットタイプ ライオンSYSTEMAオーラルヘルスタブレット
1gに生きた乳酸菌を3億個配合し、歯周病菌を減らして、もともとお口の中にいる善玉菌(乳酸菌)を積極的に増やして口臭を予防する薬です。1日3粒が目安です。ネットで購入可能で、90粒1700円程度です。
トローチタイプ バイオガイアプロデンティス
予防先進国スェーデン製で、バイオガイアの中の生きる乳酸菌(ロイテリ菌)が口の中の環境を整え、歯周病の症状ならびに口臭を予防します。トローチタイプで摂取制限も副作用もありません。ネットや通販で購入可能で、価格は30粒で3000円程度です。
2.すぐに歯科医院に行けない場合の応急的な歯周病治療薬・痛み止め
ここまで紹介した薬は歯科医院にすぐにいけない場合のための薬です。
1週間程度使用しても改善がない場合には、なるべく早く歯科医院で相談した方が良いでしょう。
2-1.痛みや腫れがあるときに歯周病の部位に直接塗る薬
症状がすでにあって、症状をやわらげたい方におすすめです。気になる部位に指で塗り込むタイプと、綿棒などにつけて塗るタイプがあります。どちらも薬用成分に殺菌成分のセチルピリジウム塩化物水和物、抗炎症成分のグリチルリチン酸二カリウム、組織修復成分のアラントインが含まれています。指で塗るか、綿棒で塗るか、塗りやすいタイプを選んでください。
指で患部に塗るゲル状タイプの医薬品 デントヘルスR
1日2回、ブラッシング後に指で患部に直接塗り込むゲル状タイプの医薬品です。ゲル状のため、長時間歯ぐきにとどまり効果を発揮します。ネットや薬局で40gで1500円程度です。
綿棒で塗る液体タイプの医薬品 生葉口内塗薬
1日2回ブラッシング後に綿棒で患部に塗り込むタイプです。液体タイプなので浸透しやすくすばやく効果を発揮します。綿棒が30本ついています。ネットや薬局で20gで700円程度です。
“補足:歯周病に効く薬用成分まとめ”
略語一覧
CPC(塩化セチルピリジニウム):お口の中の除菌に有効です。安全性が高く、低濃度で効果があります。
IPMP(イソプロピルメチルフェノール):最近注目されてきている殺菌剤です。通常浸透しにくい細菌でできた膜(バイオフィルム)内まで浸透して歯周病菌を殺菌します。
MAG(グリチル酸モノアンモニウム)、GK-2(グリチルリチン酸二カリウム):お口の中のはれや歯肉が赤く腫れているときに効果があります。
LSS(ラウロイルサルコシンナトリウム):口臭やむし歯を予防します
2-2.歯ぐきが痛いときに効果的な市販の鎮痛薬 ロキソニンS:
歯周病により歯が痛んだ時には市販の鎮痛薬が効果的です。薬剤師のいる薬局か通販で購入可能な第一類医薬品で、価格は650円程度です。第一類医薬品のため他の市販の鎮痛薬と比べて効き目が強く、歯科医院で処方される鎮痛薬と同じ薬用成分を含んでいます。
3.市販薬を使っても改善しない場合の注意点
残念ながら、歯周病の炎症が重症化している可能性があります。薬の薬用成分を歯肉に浸透させるためには、薬が患部に成分がしっかりと届くことと、一定時間滞在している必要があります。歯石がついていたり、深い歯周ポケットがあると、薬が浸透するのを阻害し、効果を発揮しません。その場合には歯科医院で歯石を除去し、歯周ポケット内をきれいにお掃除してもらう必要があります。
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4.歯科医院で行う歯周病の薬を使った治療
ここで紹介する薬は、歯科医師の管理の下で使用しますので、一般には購入できません。その分薬の効果は高いですが、副作用や耐性菌を発現させる可能性もあるので、服用時には歯科医師の診断が必要です。
4-1.歯周病細菌に作用する内服抗生物質
歯科医院で処方してもらう薬で、保険適応の薬です。
ペニシリン系抗生物質サワシリン(アモキシシリン)
歯周病菌に対して古くから有効とされており、歯周病による炎症に対しては第一選択として使用する抗生物質です。歯周ポケット内に生息する細菌に抗菌作用を発揮します。通常1日3~4回服用で約4~6時間効果が持続します。ペニシリンアレルギーのある患者さんには使用できません。
アジスロマイシン系抗生物質ジスロマック
ペニシリンアレルギーのある患者さんの歯周組織炎に対して使用します。1日1回2錠を3日間服用することで、2週間程度殺菌力が持続します。ファゴサイトデリバリーという性質により、感染部位に局所的に作用します。重度の歯周病の場合で、歯周病菌を一気に減らしたい場合には有効です。
4-2.歯周ポケットに直接作用させる塗り薬
歯科医院で処方してもらう薬で、保険適応の薬です。歯科医師が歯肉内に注入するタイプと、ご自宅で歯肉に塗布するタイプがあります。
抗生物質配合の軟膏ぺリオフィール
歯茎が腫れたり膿が出る場合に、歯科医師が患部の歯周ポケット内に注入して使用します。歯周炎治療薬として保険で認可されています。週1回を目安として、使用前には患部をきれいにしてから使用します。注意点としてはテトラサイクリン系抗生物質にアレルギーがある患者さんには使用できません。
抗生物質配合の塗布薬ヒノポロン
抗菌作用と抗炎症作用と鎮痛作用成分を配合する軟膏で、患者さん自身が歯科医師に処方されてご自宅で塗布します。歯周病菌を排除し、炎症を抑え、痛みや腫れを和らげます。腫れや痛みが気になる歯ぐきに1日1~3回適量を塗り込みます。
5.歯科医院で行う歯周病の薬を使った治療
ここでは歯科医院で行う、歯周病に効果のある薬を使った治療を紹介します。注意点としては保険適応外の治療のため一部の歯科医院でのみ行っています。こちらで紹介する治療法はご自身が適応症かどうか歯科医師と相談してから治療を受けてください
5-1.長時間口腔内で作用させる、Plak Outと3DS
歯科医師にマウスピースを作成してもらい、マウスピース内にPlak Outを塗布してから装着して使用します。
マウスピースが歯に密着することで、Plak Outに配合されたクロルヘキシジンが長時間歯や歯肉内の細菌を殺菌します。歯科医院ごとに費用の設定が異なりますが、おおよそ30000~50000円程度です。
※この薬品は歯科医院しか購入できません
5-2.機能水を用いた機械的細菌除去方法
次亜塩素酸由来のパーフェクトぺリオ水や高濃度のオゾン含有のオゾンナノバブル水などの機能水を用いて、歯周ポケット内を洗浄し、歯周病内の除菌します。抗生物質のように耐性菌を作らないために、繰り返し使用できるメリットがあります。歯科医師の管理のもと適用・用法を守って、正しく使用する必要があります。歯科医院ごとに費用の設定が異なりますが、おおよそ30000~50000円程度です。
6.まとめ
歯周病の症状は歯ぐきの出血、痛み、口臭など様々で、とても不快なものです。今回紹介した薬を効果的に使ってもらうためには、薬が効きやすい環境を整キープする、定期的に歯科医院で歯石などを除去してもらう必要があります。歯周病は気づかないまま進行してしまうため、気づいた時には重度の歯周病になって歯が抜けてしまうことがあります。
自宅のケアと歯科医院でのケアを上手に組み合わせて歯周病を予防し、一生自分の歯を残しましょう。