入れ歯のトラブル こんな時はどうする

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歯を失ってしまった時、その部分を補う方法はいくつかありますが、代表的なのが入れ歯です。入れ歯は食べ物を噛むために欠かせない物です。自分の歯が残っていて、小さな部分入れ歯を入れている場合ならともかく、入れ歯が大きくなればなるほど食べやすさに直結します。入れ歯を作った直後は口の中の粘膜に当たって痛いところができたり、噛み合わせがしっくりこなかったり、違和感なく食べることが出来るようになるまで何度も調整が必要で時間がかかります。やっと食べる事に問題なくなり、毎日使っていた入れ歯にひびが入ってしまった!ふたつに割れてしまった!そんなことになったら困りますよね。今回は入れ歯のトラブルについて考えてみたいと思います。

1.入れ歯の代表的なトラブル

一言で入れ歯と言ってもその種類は多くあり、それぞれの形、材質も様々です。それによって起こるトラブルも違います。主なものを見ていきましょう。

1―1.入れ歯にひびが入った      

  

保険で作る入れ歯はプラスチックで出来ていて、特に上の入れ歯は吸着を良くするために上あごの粘膜全体を覆うように出来ています。破損防止のためにある程度の厚みも必要です。しかし装着時の違和感から、「出来る限り小さく厚みも薄くしてほしい」と希望される患者さまがいます。人の噛む力は40~60㎏と言われています。入れ歯の場合はもう少し弱いかもしれませんが、それでもかなりの力が加わります。入れ歯の厚みや幅などの大きさ、使用年数による入れ歯の材質の劣化などひびが入る原因はいろいろあります。修理が可能なことが多いので出来るだけ早く歯科医院で修理を依頼しましょう。

1-2.入れ歯が割れてしまった

ひびが入ったまま使用を続けたり、洗浄中に誤って落としたことで割れてしまう事があります。出来るだけ早く歯科医院で修理をしましょう。間違えて捨ててしまわないようにティッシュペーパーに包むのではなく、透明なビニール袋やプラスチックのケースなどにかけらもすべて持って行くのがおすすめです。自費の入れ歯は修理が出来ない場合があり歯科医師に相談しましょう。

1-3.入れ歯のバネ(クラスプ)が外れてしまった

部分入れ歯のクラスプが外れてしまった場合は修理が可能な場合が多いので、入れ歯本体とクラスプ、外れたときに出来たかけらを一応持っていくと安心です。

1-4.クラスプの金属が折れてしまった

  

クラスプが歯の内外にかけてある形態でその一つが折れた場合なら、残ったクラスプで使用を続けることが可能なケースがありますが、折れてしまった場合一般的にはクラスプの交換が必要です。その場合は歯の型取りをして新しくクラスプを作製し、後日入れ歯に組み込みます。通常は2回の来院が必要です。

1-5.左右を橋渡ししている金属が折れた

写真のような部分的な入れ場をつなぐ金属をバーと言いますが、上の入れ歯の場合をパラタルバー、下の入れ歯の場合はリンガルバーと言います。金属の劣化などで折れてしまう事がまれにあります。
金属が折れてしまった場合は接着することはできないので修理が出来ません。
型取りをして新しく入れ歯を作製します。入れ歯が完成するまで日数がかかるので、その間食事が不自由になります。予備の入れ歯があったら適合を確認してもらうと良いでしょう。

1-6.人工歯が取れてしまった

入れ歯を作製するときには、入れ歯の大きさや歯の隙間に合わせて、人工歯をバランス良く並べて作製するので、取れた人工歯を持っていくのがおすすめですが、失くしてしまった場合でも歯科医院の人工歯を使って修理をすることが可能です。やはり取れて物を全部持っていくのが安心です。捨てないでくださいね。

 

2.絶対にしてはいけないこと

入れ歯が突然使えなくなってしまった時が、診療時間外の夜や休日だったり、自宅から離れた外出先だったり。すぐに歯科医院に行けないこともあります。わかります。でも絶対にしてはいけないことがあります。
もしかすると全国の技工士さんが願っていると言っても過言ではないかも知れません。

 

2-1 接着剤で自分で付ける

実際に歯科医院でも瞬間接着剤を使用して割れた入れ歯の仮止めを行います。あくまで薄く仮止めするだけです。その後仮止めした部分を丁寧に削り、即時重合レジンというプラスチックで埋めて修理を行います。必要に応じて専用の金属の補強線を埋め込むこともあります。最後に段差が無いように研磨を行い修理が完了します。自分で付けてしまうと厚みが出来るので噛み合わせや粘着力も変わってしまい適合が悪くなります。ズレやゆがみも生じます。一度割れたところは再度割れる可能性が高いので、自分で付けることは絶対にNGです。なによりも口の中に使う事に適さない材料です。

 

2-2 クラスプを自分で曲げる

入れ歯が緩くなってカタつきがでてしまうと、ペンチを使ってクラスプを曲げて調整する方がいます。クラスプは微妙な力加減で少しずつ調整しないと折れてしまいます。歯に掛ける場所も重要で間違えると入らなくなったり、外れ無くなるので自分で触らず歯科医師におまかせしましょう。

 

2-3 入れ歯の床(しょう=ピンクの部分)を自分で削る

当たって痛いとき汚れが気になる時など、自宅にある工具やカッターを使って床を削ってしまう方がいます。粘膜に当たる部分は隙間が出来てしまうと吸着が悪くなり、安定が悪くなります。噛み合わせも変わってしまうので食べ物が噛み切れなくなったり当たって痛みが出たりします。修理にも余計に時間がかかったり、修理そのものが不可能になる場合があります。痛いときは無理をしないで外しておき、歯科医院で痛い場所を調べてから調整してもらいましょう。入れ歯は繊細な物なのです。

 

3.割れてしまった義歯の修理の様子を見てみよう

割れてしまった義歯は歯科技工士が修理をします。割れた状態や義歯の大きさ形によって修理の難度は違いますが、おおむね30分前後の時間がかかります。修理の実際の工程をみてみましょう。


        
     
① 仮止めをして割れた周りを削る

                                          
 ② 再破折防止のため金属のワイヤー(補強線)を床に埋め込み即時重合レジンで埋めていく

         

 ③ 凹凸を削り滑沢にして研磨をする


 


 ④ 修理完了

 

4.まとめ

総合してみると、入れ歯のトラブルは自分で修理をしない。出来るだけ早く歯科医院で診てもらう。という事に尽きます。入れ歯は無くてはならないものですが、自分の歯と同じように噛めるようになるには時間と調整が欠かせません。大切な入れ歯を長く使っていくために小さな不安も歯科医師にご相談ください。おいしい物を心置きなく食べて、快適に入れ歯を使っていただけたら幸いです。

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