歯の基本構造を学ぶ~自分の歯のこと知っていますか?

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人の歯は生後6カ月~9カ月で生え始め、6歳ごろになると奥に永久歯が出てきます。

そして成長と共に乳歯と永久歯の交換が進み、約12歳~13歳になると永久歯がほぼ出そろいます。

親知らずは17歳~21歳で出てくるのが一般的ですが、元々1本も無い人から4本全部ある人まで個人差があって永久歯の本数は28本~32本(先天的に永久歯の数が少ない場合があります)です。

毎日おいしい物を食べるために欠かせない歯ですが、皆さんはご自身の「歯」がどんな構造をしていて、それぞれどんな働きをしているのかご存知ですか?

今回はそれらについてお話してみようと思います。

 

1.歯の基本構造を覚えよう

歯は「前歯」「犬歯」「小臼歯」「大臼歯」で構成されています。
形は違いますが歯の基本的な構造は同じです。

それらは歯の場所によって名称があり、働きや構造がそれぞれ違います。

一つずつ見てみましょう。


画像:ライオン歯科衛生研究所

 

① エナメル質

エナメル質は歯の表面を覆っている部分で(歯の見える部分)人の体の中で最も硬い組織です。

大部分はミネラルで構成されていて、色は半透明です。

厚みは23mmですが歯肉の境目に向かって薄くなっていきます。

熱い物や冷たい物の刺激から内部の敏感な部分を守っています。

根元のエナメル質の薄い部分を硬い歯ブラシで力を入れて長期にわたって磨き続けると削れてしまうので、正しい歯磨きの方法を歯科医院で教わりましょう。

フッ素の多く入った歯磨剤で磨くことでエナメル質を強くできますし、歯科医院で高濃度のフッ素を定期的に塗布するのがおススメです。

▲例えば、こちらの歯磨剤「チェックアップ ルートケア」は一般に購入できるものでフッ素濃度が厚生労働省で定める濃度の最大限である1450ppm入っているおすすめの歯磨剤です。毎日使う事で外側から歯を丈夫にします。

▲こちらは歯科医院で使用されるフッ素が9000ppm含まれた物です。
歯科医院では高濃度のフッ素を歯に塗ることができます。

 

② 象牙質

エナメル質の内側にあり、弾力性、柔軟性あることでエナメル質にかかる衝撃による破折を防ぐ一方で、その軟らかさゆえに虫歯が象牙質に達すると一気に虫歯が進行します。

象牙質全体に象牙細管という穴が神経のある歯髄に繋がっているので、受けた刺激を痛みに感じるようになります。

また、歯の根元の歯肉が下がり、象牙質が出てしまうと象牙細管を通して冷温の刺激が痛みとして伝わります。(知覚過敏)


▲象牙細官の穴が無数にあります 

 

③ 歯髄(しずい)

虫歯が進むと「神経を取る」治療を行いますが、実際はこの部分を取り除いています。

歯髄は神経だけではなくたくさんの血管も含んでいます。

歯髄内の血液は歯に必要な栄養と酸素を供給する大切な役割を担っているので、歯髄の無くなった歯は、枯れ木のようにもろく折れやすくなったり、歯が変色することもあります。

虫歯が進んでからの治療はそういうリスクが高くなるので、出来るだけ早めに治療することが大切です。

 

④ セメント質

歯の根の象牙質を覆っている組織。
歯根膜と歯槽骨(あごの骨)をつなぐ役割を持っています。

歯根膜の線維がセメント質と歯槽骨に入り込み、歯が安定しセメント質が歯を支えています。

 

⑤ 歯根膜(しこんまく)

セメント質と歯槽骨をつなぐ、厚さ0.3mmほどのコラーゲンで出来た薄い膜です。

食べ物を噛んだ時に歯には強い力がかかりますが、その刺激をクッションのように吸収、分散させて歯や骨への衝撃を緩和させる役割をする大切な組織です。

硬い食べ物、軟らかい食べ物の感覚や感触を脳に伝えたり、噛む力をコントロールする重要な役割を持っています。
歯根膜は薄いけどすごい機能を持った組織なのです。

 インプラントはネジ状の金属を直接骨の中に埋め込むので、クッションの役割を持つこの歯根膜がありません。そのため硬い物を食べて刺激を受けると痛みを感じる事があり、噛む力に注意が必要です。

 

⑥ 歯肉

歯肉は一般的に「歯ぐき」と呼ばれ、歯槽骨の周りを覆っている軟らかい組織です。

健康な歯肉はきれいなピンク色で腫れのない状態です。腫れた状態では赤みが強く、金属のかぶせ物から溶け出した金属や、喫煙による色素沈着で歯肉は黒っぽくなることがあります。

歯磨きが不十分だと付着したプラーク(歯垢)により炎症が起こり、歯周炎や歯周病が進行します。

歯周病の予防は歯肉と歯の境を優しく丁寧にマッサージをするように磨くことが大切です。

歯科医院では正しい歯みがき方や歯間ブラシの使用法などその人に合った適切なアドバイスを行っています。

 

⑦ 歯槽骨(しそうこつ) 

歯を支えている顎の骨。
歯周病が進行すると歯槽骨が溶けて下がってくることにより歯が動いてきます。

更に進行すると歯の根の周りの骨がほとんど消失し、歯を支えられなくなり歯が自然に抜けてしまう事があります。

またインプラントを入れる場合には歯槽骨の厚みや骨密度が重要なカギになり精密な検査が必要です。

歯槽骨の健康を維持するには、定期的に歯肉の検診を行い、歯のクリーニングをして歯石を除去し、歯周病にならないようにすることが重要です。

 

⑧ 歯冠

歯の見えている部分で、エナメル質、象牙質、歯髄からできています。歯冠部(しかんぶ)とも言います。

 

⑨ 歯根

歯肉に埋まっている歯冠より下の部分。歯根部(しこんぶ)とも言います。

 

2.歯は身体の中で一番硬い

皆さんは「モース硬度」というのを聞いたことはありますか?

主に鉱物に対する硬さの尺度です。

一番硬い鉱物はダイヤモンドです。
モース硬度は110までの10段階に分けて鉱物の硬さを示しています。ダイヤモンドがモース硬度10、ガラスが5、鉄が410円玉が3.5...。

歯の表面を覆っているエナメル質はヒトの身体の中で最も硬く、モース硬度は67、象牙質は56、骨が45、爪が2.5です。

エナメル質は水晶と同じくらいの硬さがあります。

ちなみに歯を削る時は、歯よりも硬いダイヤモンドの粉末の付いた器具を使って削ります。

歯をぶつけて欠けたりすり減ってしまうと元には戻りません。

 


画像:モリタ、 ナカニシ


画像:ライオン歯科衛生研究所

 

 

2-1 最も硬いけど酸には弱い

身体の中で最も硬いエナメル質ですが、酸には弱くエナメル質を溶かして穴を開けてしまいます。

歯に付着したプラークに含まれている虫歯菌が酸を出すことで虫歯が進行します。

エナメル質を強くし虫歯を予防する方法がいくつかあるので紹介します。

・プラークを残さないように時間をかけて歯を磨く。歯と歯の間も歯間ブラシやデンタルフロスを毎日使用し丁寧に磨く。

1,450ppm」と表記されているフッ素の含有量の多い歯磨剤を選び、使用する事で外側から歯を強くする。

歯や骨の主な成分のカルシウム取り、良く噛んで食べる。噛む事で唾液が多く分泌され歯の表面の再石灰化(表面の修復)の促進につながる。

 

3.まとめ

普段何も思うことなく食べたいものを食べ、飲みたいものを飲む。
幸せなことです。

でもそれは歯があるから出来る事。

一生自分の歯で過ごすために、自分の歯を一度見直してみませんか。

小さな歯の1本1本がいろいろな役割を持つ組織で出来ているなんてすごいことだと思いませんか?

誰も磨いてはくれません。
どうか大切にしてください。

 

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