お子さんの歯にできた小さな黒い穴。
たぶん虫歯だけど、乳歯だったらじきに抜けるし放っておいても大丈夫かな…?
そんな風にお考えのおうちの方もいらっしゃるかもしれません。
本人もとくに痛そうにしていないし、歯医者に行って泣かずに治療を受けられるかも心配だし。
と、ついそのまま放置してしまうことがあるかもしれません。
しかし、実は乳歯の虫歯はそのまま放っておくと様々なお口のトラブルを生んでしまう存在なんです!
「その歯が抜けたら虫歯ともオサラバ」ということにはなりません。
一つの小さな虫歯が原因で、その下に埋まっている永久歯はもちろんその他の歯や、歯並びなどにも悪影響を及ぼすことがあるのです。
この記事では、乳歯の虫歯を放置することのリスクについてご紹介していきます。
今できてしまった乳歯の虫歯を歯医者で治療するときの方法や、普段からの虫歯予防のコツもお伝えしていきますのでぜひご参考になさってくださいね。
目次
1.乳歯の虫歯を放置することの主なリスク4つ
「乳歯が虫歯になっても、抜けて新しい健康な歯が生えてくるから大丈夫」というのはキケンな勘違いです。
乳歯の虫歯を放置しつづけると、たとえその乳歯はキレイに抜けてもその後に残るお口のトラブルは実に様々なものがあります。
1-1 生えてきた永久歯の虫歯リスクが高まる
乳歯が虫歯になり、「歯髄(しずい)」といわれる歯の神経の部分にまで虫歯菌が達してしまうと、その下に埋まっている永久歯まで虫歯菌の影響が及ぶことがあります。
画像:テーマパーク8020
大人になっても一生つきあうことになる永久歯が、虫歯のリスクが高い状態で生えてきてしまうのはとても不安なことですよね。
生えてきた永久歯は、虫歯菌の影響で変色していたり凹みが目立つ形をしているケースもあります。
また、下に埋まっている永久歯だけではなく、隣接する両方の歯にも当然虫歯菌の影響は及びやすくなります。
1-2 歯並びが悪くなることがある
乳歯が虫歯になったことで大きく欠けてしまって歯自体が低くなったり、早々に抜けてしまうことがあります。
このようなときに、乳歯が抜けたことでポッカリ空いたスペースに両隣りの歯が倒れかかってくることがあり、これによって全体の歯並びが大きく動いてしまうことがあります。
そのスペースに生えてこようとしていた永久歯はじゅうぶんに出てくる場所が確保できなくなるため、歯列から少しズレた位置に生えてくることもあります。
また、虫歯の乳歯が生えていた歯ぐきのところに膿がたまっていると、その膿を避けて永久歯が生えてこようとするため歯ぐきの側面から永久歯が出てきてしまうことがあります。
画像:ストローマンパートナーズ
1-3 アゴが発達せず偏食になりやすい
乳歯の虫歯が欠けてしまっていたり痛みがある場合、子どもはその歯をあまり使わずに済むような噛み方で食事をすることがあります。
噛み合わせのズレは結果としてアゴの正常な発達を妨げることになり、噛む力がうまく鍛えられないと柔らかいものばかりを噛むようになって偏食の傾向をつくるケースがあります。
栄養のある硬い食べ物がじゅうぶんに噛めなくなってしまうと、歯だけではなく体の健康にとっても大変よくありませんね。
アゴの歪みは食事にかかわることだけではなく、滑舌(かつぜつ)といった言葉の発音にも影響を及ぼします。
「よく噛んで食べましょう」と言いますが、噛むという動作は実はとても大切なものなのです。
1-4 虫歯の放置は口臭の原因に
これは子ども(乳歯)の虫歯にかぎらず大人の虫歯にも言えることですが、虫歯を放置しつづけると口臭が発生することがあります。
虫歯菌が出す酸によって溶かされた歯は、発酵して口臭を発生させます。
食後の歯磨きや良い匂いのするガムを噛んで一時的に口臭をごまかそうとしても、根本的な口臭の原因が取りのぞかれないかぎり、また時間がたてば悪臭を生むようになります。
歯の健康はもちろん周囲へのエチケットのためにも、子どもにかぎらず大人のひとも虫歯は放置してはいけないんですね。
2.子どもの歯はもともと虫歯の進行が早い
乳歯にできた小さな黒い穴、まだまだ小さい穴だし歯医者さんに治療に行くのはもうちょっと後でもいいかな…。
毎日忙しいとつい歯医者さんに連れていくのを「まだ大丈夫かな?」と先延ばししてしまいがちですよね。
しかし、実は乳歯は永久歯に比べて虫歯の進行スピードが早いのです。
永久歯に比べると乳歯というのはとても柔らかく、虫歯菌が出す酸に弱いので歯の表面が溶けやすくなっています。
歯の表面にある「エナメル質」といわれる部分や、歯の内部の「象牙質」の部分も永久歯に比べると薄く、一度小さな虫歯ができるといっきに虫歯が広がって進行しやすくなります。
画像:ストローマンパートナーズ
また、虫歯ができたばかりの初期の段階では痛みや凍みる感じなどの自覚症状があらわれにくいため、歯磨きのときにしっかりチェックしてあげたり、定期的に歯医者さんに行って検診を受けていないとなかなか虫歯を見つけにくくなっています。
もし痛みや違和感があっても、小さいお子さんだとうまく伝えることができずに虫歯がそのまま放置され、じわじわと進行が進んでしまっていることもあります。
お子さんの歯は毎日のおうちでのチェックと、定期的な歯医者さんでの検診、ダブルの対策が必要だということになります。
3.歯医者さんでの虫歯治療のやり方
それでは、歯医者さんではどのような乳歯の虫歯治療をするのでしょうか。
虫歯の範囲が小さく、もうすでにグラグラしているために治療してもすぐ抜けてしまう…というケースのときは、場合によっては乳歯の虫歯治療はせずに自然に抜けるのを待つことがあります。(麻酔をして乳歯を抜歯することもあります)
治療をしたほうがよいとなった場合は、レントゲンなどで虫歯の進行状態を調べます。
歯の神経にまでは到達していないときは、虫歯の箇所を削ってそこに歯科用プラスチックやセメントを入れて穴を埋めます。
色は自然な白さなので、治療箇所が目立つこともありません。
虫歯の範囲がもう少し大きいと、虫歯の箇所を削って型取りをし、そこに金属の詰め物をすることがあります。
虫歯が神経にまで達してしまっていると、神経を取る治療をおこなう必要があります。神経を取ったところに薬をつめて、その上からかぶせ物をしたり、歯科用プラスチックで元の歯の形のように戻すことになります。
少なくとも3回以上の通院が必要になり、場合によっては麻酔を使うこともあります。
より詳しい治療方法が気になる方は、ぜひ『これって虫歯!?~子供の虫歯治療どうやって治すの~』の記事もご覧ください。
4.おうちでできる虫歯予防法
普段からおうちでできる虫歯予防法には様々なものがあります。
取りいれやすいものからぜひ毎日の生活に組みこんでいってくださいね。
最も重要なのは、お子さんが使うお箸やスプーン、食器などのお口に入るものを大人と共有しないことです。
大人が口に入れたスプーンなどを使って食べ物をお子さんに食べさせると、スプーンを介して大人のお口の中にいる虫歯菌が移ることがあります。
また、口移しも厳禁です。
4-1 お菓子のダラダラ食べはしない
お口の中に食べ物が入っている時間が長いと、その分歯が虫歯のリスクに晒される時間が長くなります。
ジュースなどの甘い飲み物を一日を通して飲んでいたり、頻繁にお菓子を口にしていたりするのはよくありません。
食事やお菓子タイムは時間を決めて、食べたら毎回歯磨きをする!とメリハリをつけることが大切です。
4-2 仕上げ磨きはしっかりと。マメにお口の中をチェックしてあげる
お子さんが少し大きくなって一人で歯磨きができるようになっても、仕上げ磨きはおうちの方がしっかりとしてあげるようにしてください。
歯ブラシの先が届きにくいところなどは自然と避けて磨く「磨きグセ」がお子さんについてしまっていると、毎回そこの汚れが残ってしまい、虫歯菌のエサをつくることになってしまいます。
仕上げ磨きをしながら、最近痛い歯はないか、穴が開いている歯はないかをお子さんとコミュニケーションを取りながらチェックしていくようにしましょう。
4-3 子ども用キシリトールガムやフッ素入り歯磨き粉などの商品も活用して
ドラッグストアや歯医者さんなどで買える子ども用の虫歯予防商品の活用も大変オススメです。
ロッテから発売されているしまじろうのキシリトールタブレットは、ガムを噛んでお口から出すことが難しい小さなお子さんでも口にできるように、舐めて飲みこむことができる商品になっています。
画像:ロッテ公式HP
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味もお子さんに好まれやすいグレープ味とイチゴ味がありますので、お菓子がわりにすることもできます。
この商品についてもっと詳しく知りたい方は、『2歳から始める虫歯予防!しまじろうの「キシリトールタブレット」』の記事もご覧ください。
また、歯磨きのときにはフッ素入りの歯磨き粉「チェックアップこども500」がオススメです。
6歳未満のお子さんにもお使いいただけるフッ化物500ppm配合の歯磨き粉です。
画像:ライオン歯科材料株式会社HP
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こちらの歯磨き粉は泡立ちが少ないため、小さなお子さんでもお口の中が泡だらけになることもなく、仕上げ磨きするおうちの方にとっても歯ブラシの先が磨きたい箇所にしっかり届いているか確認しながら磨くことができます。
研磨剤成分も少なめなので、歯の表面を傷つけてしまう心配もありません。
この商品についてもっと詳しく知りたい方は、『乳幼児期に安心して使用できる歯磨剤「チェックアップこども500」』の記事もご覧ください。
5.まとめ
乳歯の虫歯は放置しつづけると大変キケンです。
お子さんが大人になっても健康な白い歯で過ごせるようにするためにも、虫歯の早期治療と歯医者さんでの定期検診、そして毎日のおうちでの丁寧なケアを大切にしていきましょう。