お子さんの歯の仕上げ磨き、「ぐずってしまって、なかなかしっかり磨けない」「正しい磨き方がわからないので、『なんとなく』でやってしまっている」というおうちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
自分以外の人の歯を磨くことは力加減も難しく、しっかり磨きたい箇所に歯ブラシの毛先が届いているかどうかも感覚ではわかりにくいので苦労しますよね。
この記事では、仕上げ磨きを効果的におこなうための歯科グッズや磨き方の方法についてご紹介しています。
仕上げ磨きをするお父さんお母さん、仕上げ磨きをされるお子さんのどちらもが「楽しく、手早く、効果的に」歯磨きができるやり方を習得しましょう。
目次
1.仕上げ磨きは小学校卒業までが目安
乳歯が生えてくる8ヵ月頃くらいから、おうちの方によるお子さんの歯磨きは始まります。
そして、幼稚園~小学校低学年くらいから少しずつお子さんが自分で歯ブラシを持って歯磨きをするようになり、おうちの方は仕上げ磨きでサポートしてあげるようになります。
だいたいの目安ではありますが、乳歯(子どもの歯)が抜けて永久歯(大人の歯)が生えそろいだす時期までは、しっかりと大人の目で「すみずみまで磨けているか?」とチェックしてあげて、仕上げ磨きをしてあげる必要があります。
慌ただしい朝の時間にはなかなかしっかり時間を取って仕上げ磨きをしてあげることは難しいかもしれませんが、少なくとも夜寝る前の仕上げ磨きだけはしっかりとしてあげましょう。
実は就寝時には唾液の分泌量が下がるため、お口の中は乾燥しやすくなります。
このような状態は虫歯菌にとって活動しやすい環境になるため、寝る前にはできるだけお口の中をキレイな状態にして虫歯菌のエサを取りのぞいておく必要があるのです。
仕上げ磨きを終える時期は小学校卒業くらいまでが目安となりますが、中学校に入ると食事や睡眠、家で過ごす時間などの生活習慣がガラっと変わることがあります。
この時期に歯磨き習慣がおろそかになってしまうこともありますので、中学生になってからも定期的にちゃんと歯磨きをしているかチェックしたり、お口の中を見て虫歯などができていないか気にしてあげる必要があります。
2.仕上げ磨きにオススメのグッズはこれ!
お子さんの仕上げ磨きに使う歯科グッズ、「大人のものと同じでもいいんじゃないの?」と思われるかもしれません。
しかし、お口の小さいお子さんにとっては大人が使う歯科グッズはサイズや硬さが合わない場合があります。
歯ブラシや歯磨き粉などはそのお子さんの年齢に適したものを選ぶようにしましょう。
(基本的に商品のパッケージにおおよその対象年齢が記載されています)
2-1 歯ブラシは「ヘッドが小さい」「持ち手が長い」ものを
歯ブラシは、お子さんの小さなお口・歯に合ったサイズ感のものを選ぶ必要があります。
お子さん自身が磨くときの歯ブラシは、ヘッド部分のサイズが小さく、ブラシの硬さが「やわらかめ」であるものを選びましょう。
硬めのブラシを選んでしまうと、歯の表面や歯ぐきを誤って傷つけてしまう恐れがあります。
万が一、歯磨きをしているときに転倒してしまったときの喉突き事故防止のために、一定の負荷がかかると持ち手部分がグニャっと曲がる歯ブラシも発売されていますので大変オススメです。
▲『まがるハブラシ』ネック部分が柔らかく、曲がるようになっている。
画像:GOOD DESIGN AWARD公式HP
画像:フォルディ株式会社
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また、お子さん自身に歯磨きを「楽しい!」と思ってもらうために、お子さんと一緒に歯ブラシを選ぶこともオススメです。
お子さんの好きな色の歯ブラシを選んだり、好きなキャラクターがプリントされている歯ブラシを選んで、歯磨きに興味を持ってもらうようにしましょう。
▲『360度毛歯ブラシ STB-360do POPOTANキッズ ぽぽたんキッズ すみっコぐらし』
ヘッド部分360度にすべて毛がついている特殊な構造の歯ブラシ。
歯面にしっかりとブラシの毛先が当たって汚れをかきだせるように設計されており、お口を大きく開けていられないお子さんにも使用しやすい。
画像:amazon
おうちの方が仕上げ磨きに使う歯ブラシは、お子さんが自分で磨いたときの歯ブラシをそのまま使用しても構いませんが、「仕上げ磨き用の歯ブラシ」も販売されていますので使いやすさに応じて選びましょう。
仕上げ磨き用の歯ブラシは、子ども用歯ブラシと違って持ち手の部分が長く設計されており、大人の手でも持ちやすいため、力加減にも気をつけることができます。
▲『teteo はじめて歯みがき 仕上げみがき用』
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2-2 歯磨き粉は泡立ちの少ないものを
歯磨き粉も歯ブラシと同様に、お子さん自身が使っているものを仕上げ磨きに使用しても問題ありません。
しかし、普段使用している歯磨き粉が泡立ちがよいタイプのものの場合、磨きたい箇所をしっかり磨けているか目視で確認することがやや難しくなります。
また、泡立ちのよい歯磨き粉は、磨いたあとのお口の爽快感があり気持ちが良いのですが、反面「磨いたつもり」になりやすいデメリットもあります。
少し磨いただけでもお口の中が泡だらけになってしまうので、その分ササッと歯磨きを終えてしまうという方が大人の方にもいらっしゃいます。
確実に、しっかりと磨くためには発泡剤の多く含まれた泡立ちのよい歯磨き粉よりも、ジェルタイプやペーストタイプの歯磨き剤をオススメします。
6歳以下のお子さんにも安心してお使いいただける歯磨きペーストのオススメは『チェックアップこども500』です。
歯質を強くし、歯の再石灰化(※)を助けてくれる成分「フッ化物(フッ素)」が500ppm F配合されており、泡立ちも少なく低研磨の歯磨き剤です。
※再石灰化(さいせっかいか)…唾液にふくまれる成分が、食事のたびに酸性に傾いて虫歯菌が活動しやすくなるお口の中の環境をアルカリ性に戻し、歯の表面などを修復してくれる自然治癒のメカニズムのこと。
▲『チェックアップこども500』
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▲6か月から2歳までは歯ブラシの上に3mm程度、3歳から5歳までは5mm程度の量が目安となっています。
画像:ともにライオン歯科材株式会社HP
また、仕上げ磨き後にはジェルタイプのフッ素をプラスアルファのケアとして歯の表面に塗布すると、より虫歯予防に効果が期待できます。
オススメは『チェックアップ ジェル』です。
年齢によってフレーバーがわかれており、1歳から6歳頃までは「バナナ味」(フッ素が500ppm F配合)の使用が勧められています。
画像:ライオン歯科材株式会社HP
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6歳から成人前までは、「ピーチ」「グレープ」「レモンティー」(ともに95oppm F)を使用し、「ミント」(1450ppm F)の場合は15歳頃から大人になってからもずっと使用することができます。
お子さんだけに限らず、ご家族みんなでそれぞれのライフステージに合ったフレーバーを選んで一緒に虫歯予防の歯磨きをすることができますね。
画像:ライオン歯科材株式会社HP
こちらの「チェックアップジェル」という商品は普通の歯磨き粉の使い方とは少し異なり、お口の中をすみずみまでジェルでブラッシングしたあとには、ジェルをお口から吐きだし、大さじ1程度の少ない量のお水で1回だけ口をすすいで吐きだしたらそれで完了になります。
お口の中にジェルが少し残ることで、より効果を持続させる狙いがあります。
画像:ライオン歯科材株式会社HP
2-3 子ども用フロスや、タフトブラシもぜひ活用して
デンタルフロスなどの歯科グッズは大人が使うもの、というイメージがあるかもしれません。
しかし、歯と歯のあいだの食べカスを取りのぞいたり、生えかけで高さが異なる歯を上手に磨くためには歯ブラシ1本だけでは磨ききることができません。
フロスは子ども用サイズのものも販売されていますので、ぜひ普段のお子さんの仕上げ磨きに取りいれるようにしましょう!
糸だけのタイプのものだと大人の大きな手ではお子さんのお口には入らないため、持ち手があるタイプのフロスを使うようにします。
▲子ども用フロス『フロスちゃん』
画像:楽天市場
画像:歯科材料通販フィード
磨きにくい低く生えた歯はタフトブラシを使って上手く磨くことができます。
歯並びがまっすぐでなく重なり合っている歯の部分にも、タフトブラシであれば毛先が上手く隙間に届きます。
▲『プラウト』
画像:amazon
画像:ライオン歯科衛生研究所HP
3.仕上げ磨きの体勢は「寝かせ磨き」が安全で効果的
仕上げ磨きをするときの体勢は、お子さんを立たせた状態での歯磨きだと奥歯のほうが暗くて見えづらいため磨き残しが生まれがちです。
また、お子さんが小さいうちは歯磨きに集中することができず、動き回ろうとしてしまうことがあります。
歯ブラシがお口の中に入った状態でお子さんが自由に歩き回ろうとすると喉突き事故などの危険性があります。
落ち着いた状態で歯磨きができて、おうちの方がしっかりとお口の中全体を見渡せるようにするには「寝かせ磨き」の体勢が最もオススメです。
お子さんに仰向けに寝転んでもらい、お子さんの頭がおうちの方の膝の上にくるようにします。
お腹や脇でお子さんの頭をしっかり固定した上で、お口の中に光が入る場所でおこなうようにしましょう。
画像:ライオン公式HP
4.仕上げ磨きのポイント4つ
歯ブラシの力加減や、磨き残しに気をつけたい箇所など仕上げ磨きにも注意しておきたいポイントがいくつかあります。
4-1 歯ブラシの毛先が歯面にしっかり当てて小刻みに動かす
しっかり磨こうと思うと必要以上に歯ブラシに力を入れてゴシゴシと磨いてしまうことがあります。
力のかけすぎはかえって歯の表面や歯ぐきを傷つける危険性があります。
歯ブラシの毛先が歯の表面にしっかり平行に当たっているのを確認したら、歯ブラシを左右に優しくチョコチョコと小刻みに動かしながら丁寧に磨きます。
「ゴシゴシ」「キュッキュ」と音がしたら、それは強く磨きすぎのサインです!
ポイントは、歯ブラシの持ち方を手のひら全体で握りこむ方法ではなく、鉛筆を持つような方法(ペングリップ)にすることです。
こうすると、余計な力が入らず軽い力で歯を磨くことが可能になります。
▲歯ブラシはペンを握るときのように持つ。
画像:ライオン公式HP
1本の歯につき、だいたい20回以上は小刻みに磨くようにします。
1本を磨ききったら隣の歯へ移動して、同様に丁寧に磨きます。
4-2 上の前歯は「小帯」をよけて磨く
上唇をめくると「上唇小帯」といわれるスジがあります。
ここに歯ブラシの毛先がこすれてしまうと非常に痛く、お子さんが歯磨きを嫌がってしまいます。
画像:ライオン公式HP
歯ブラシを持っている手とは反対側の手の指で上唇を上に持ち上げて、歯と歯ぐきの境目がしっかり見えるようにして磨くようにするとうまくいきます。
お子さんには「イー」のお口をしてもらうとさらに磨きやすくなります。
画像:ライオン公式HP
4-3 奥歯の噛み合わせの面はとくにしっかり磨く
奥歯の噛む面は溝の形が複雑になっていて、ここにチョコレートやクッキーなどのお菓子の食べカスが残りやすくなります。
食べカスがうまく取りのぞかれないまま放置されてしまうと、歯垢(プラーク)となって虫歯の原因にもなってしまいます。
歯ブラシをいろんな角度で当てながら、噛み合わせの面はしっかり磨くようにしましょう。
奥歯を磨くときにはお子さんに「アー」を大きくお口を開けてもらうと磨きやすくなります。
“「6歳臼歯」はとくに念入りに磨く!”
6歳頃から生えてくる奥歯の永久歯を「6歳臼歯(きゅうし)」といいます。
この歯は大人の歯であるため、この先ずっと付き合っていくことになる歯となります。
また、噛み合わせや歯並びの基本ともなる大切な歯でもあり、食べ物を噛むときにもとても重要な存在になります。
しかし、奥歯に生えているため生えかけの頃は周りの歯に比べて低く、歯ブラシの毛先が届きにくいために虫歯になるリスクが非常に高い歯でもあります。
そのため、6歳臼歯が生えてきたら特にこの歯のケアを仕上げ磨きの際にはしっかりしてあげるようにしましょう。
画像:ライオン公式HP
4-4 お子さんと楽しくコミュニケーションを取りながら歯磨き
小さなお子さんの場合は、仕上げ磨きをされている途中で集中力が切れてぐずってしまうことがあります。
話しかけたり、数え歌を歌ったりしてお子さんが歯磨きに集中できるようにしてみましょう。
5.定期的に歯医者さんで検診とフッ素塗布を
お子さんの歯を健康に守るためには、もちろん毎日のおうちでの歯磨きも大切ですが、定期的に歯医者さんで虫歯チェック、歯磨き指導、フッ素の塗布をしてもらうことも大切です。
その際に、普段の歯磨きのことでのお悩みや、歯並び・歯の着色のことで気になることがあったら遠慮せずに相談するようにしましょう。
だいたい3か月ごとや半年ごとを目安に、定期的に診てもらうといいでしょう。
また、定期検診で小さい頃から歯医者さんに慣れておくと、いざ治療をするときに歯医者さんを怖がったりすることも少なくなります。
6.まとめ
お子さんの大切な歯を守るために、おうちの方の丁寧な仕上げ磨きはとても大切です。
楽しく、手早く、効果的に仕上げ磨きする方法を習得して、お子さんのおうちの方もストレスなく歯磨き習慣を続けられるようにしましょう。