コロナウイルスの感染が拡大し、『肺炎』について連日報道されています。
ひとくちに肺炎と言っても様々な種類があり、細菌が原因のもの、ウイルスが原因のものなどたくさんあります。
4月にテレビや映画、CMなどで活躍されていた俳優さんが『誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)』でお亡くなりになりました。
2018(平成30年)厚生労働省の「人口動態統計月報年計(概数)」では、この誤嚥性肺炎が原因による死亡者数は約4万人とあります。
とても多くの方が亡くなっている怖い病気なのです。
今回はこの誤嚥性肺炎について、その症状の詳細と自宅でできるケア方法、オススメ歯科グッズについてご紹介していきます。
目次
1.『誤嚥性肺炎』ってなに?
「誤嚥(ごえん)」とはなんらかの原因で食べ物が食道に正常に送られず、誤って咽頭と気管にはいってしまう状態を言います。
加齢による筋力の低下や、飲み込みの反射に問題があることで起こります。
他にも筋肉やのどの病気が原因になることもあります。
誤って飲み込んだ食物や唾液が肺に入ることで、細菌が繁殖して肺炎を起こした状態を「誤嚥性肺炎」と言います。
画像:埼玉県歯科医師会
2.こんな症状は危険なサイン!
高齢者の場合、見た目の症状は軽いのに肺炎が進行していることもよくあることで、注意が必要です。
典型的な症状と、とくに注意すべき症状を挙げていきます。
2-1 誤嚥性肺炎の典型的な症状
一般的に起こる典型的な症状です。
①激しく咳き込む…食事時にむせたり咳き込むのは誤嚥が考えられる
②高熱が出る…38℃の熱が長期に続く
③濃い黄色の痰が出る
④呼吸が浅く苦しそう
2-2 誤嚥性肺炎のとくに注意が必要な症状
普段の生活の中で以下の症状が見られたら、とくに注意が必要です。
日常生活の様子を注意深く見守り、これらの症状が確認されたらできるだけ早めに呼吸器内科などの専門医に診てもらいましょう。
①普段よりも元気がない
②食欲がなく食べる量が減った
③ぼんやりしていることが多い
④食べたものが飲み込めない
3.誤嚥性肺炎の予防に口腔ケアが必要なわけ
誤嚥性肺炎を起こす高齢者の特徴は、飲み込む力や、咳をして吐き出す筋力の低下の他に、胃液の逆流や認知症の進行など様々ありますが、歯磨きなどの口腔ケアが不十分で口腔内が不潔なことが挙げられます。
歯みがきで取り残した細菌は唾液と共に肺に誤嚥され、肺で繁殖します。
歯をきれいに磨くことはとても大切なことなのです。
ご本人が上手く磨けない場合は、ご家族や介護者の協力が不可欠になります。
画像:埼玉県歯科医師会
口腔ケアの必要性については、以下の記事をご覧ください。
『高齢者の口腔ケア~介護者に知ってほしいお口のケアの必要性~』
4.口腔ケアにおすすめのアイテム
口腔ケアの目的は「食べかすやプラーク(歯垢)を丁寧に出来る限り取り除く」事なので、残っている歯の本数や形、場所によってあると便利なもの、必ず必要なものがあります。
画像:埼玉県歯科医師会
4-1 必ず使用してほしい5つの口腔ケアアイテム
先に挙げたイラストの中で、必ず必要なアイテムがあります。
使い方を見ていきましょう。
①普通の歯ブラシ
歯肉が腫れていると痛いので、毛先の硬さは「やわらかめ」のものを選ぶようにします。
持ち手はストレートで毛先は小さめが使いやすでしょう。
歯の表面と歯肉をマッサージするのに使います。
★歯ブラシ選びに悩んだら、『介護で使う歯ブラシならズバリ!これがおすすめ~必ずお役にたちます』記事をご覧ください。
歯ぐきからの出血が気になる方へのオススメの歯ブラシや、お口が大きく開かない方向けの歯ブラシを第1章でご紹介しています。
②タフトブラシ
歯と歯肉の境目や歯並びが重なっている場所を磨きます。
根っこだけの歯や一本だけ孤立している歯を磨くのに大変便利です。
画像:ライオン歯科衛生研究所
★オススメのタフトブラシは、㈱オーラルケアの「プラウト」です。
画像:㈱オーラルケア公式HP
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③歯間ブラシ
歯と歯の間を磨きます。
食べかすやプラークは歯の間にたくさん残っています。
前後左右に良く動かして汚れを取り除きます。
見落としがちなのはブリッジ(歯のない部分につなげてかぶせるもの)の下には食べかすが詰まっていることが多いです。
▲歯間ブラシでブリッジの下の隙間までキレイに!
★オススメの歯間ブラシは、LIONの「DENT.EX 歯間ブラシ」です。
カラーによってブラシのサイズが異なります。
ブリッジの下の掃除にはやや大きめのLサイズが便利です。
画像:ライオン歯科材㈱公式HP
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④粘膜用スポンジブラシ
うがいが出来なかったり、寝たきりの状態の場合は、歯みがきの後の細菌を含む唾液を残さず吸い取ります。誤嚥の予防です。
保湿剤を付けて頬や舌に塗ることで口腔内の乾燥を防ぎます。
★オススメの粘膜用スポンジブラシは、㈱モルテンの「ハミングッド」です。
画像:モルテン公式HP
購入は公式HPのコチラから
⑤舌ブラシ
舌の表面にある白い苔のような汚れを「舌苔」と言います。
口臭の原因になり、これが厚くなると細菌が繁殖したり味も感じにくくなります。
力を入れず優しく一方向に、舌の奥から舌先に向けて数回動かします。
画像:カワモト公式HP
★オススメの舌ブラシは、カワモトの「マウスピュア フレッシュメイトK」です。
画像:amazon購入ページ
★舌みがきの正しいやり方については、当サイトのyoutubeチャンネルにアップしているコチラの動画を参考になさってくださいね!
4-2 あると便利な7つの口腔ケアアイテム
必ずしも必要ではありませんが、口腔内の状況やご本人の状態によってはあると便利なものです。
①電動歯ブラシ
手の力が弱っていたり、歯ブラシをうまく動かせないときに使用します。ブラシの動きを邪魔しないように手を動かさず、毛先をじっくりと当てておくのがコツです。
★「電動歯ブラシってちゃんと磨けるの?」「デメリットはあるの?」と気になる方は、ぜひ『買おうか悩んでいるアナタに教えたい!電動歯ブラシの効果とメリットデメリット』記事をご覧ください。
②吸引付き歯ブラシ
歯磨き中の唾液を吸い取ってくれるので大変便利です。
専用の吸引器を購入する必要があります。
また、吸引力が強く口の中が乾燥しやすいのでドライマウスでお悩みの場合は使用を避けたほうがよいでしょう。
画像:カワモト公式HP
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③デンタルフロス
歯と歯の間に挟まっている食べかすやプラークを取り除きます。歯間ブラシが入らない場所にはデンタルフロスを使用しましょう。
★デンタルフロスの正しい使い方については、『細菌が溜まりやすい奥歯からの使用がおススメ!!~正しいデンタルフロスの使い方教えます~』記事をご覧ください。
④フッ化物配合歯磨き剤
歯周病などで歯肉が下がって露出した部分は虫歯になりやすいので、フッ素の入った歯磨き粉はおすすめですが、うがいが出来る場合に限って使用します。
★うがいをして歯磨き粉を吐きだすことが難しい方には、トライフの「オーラルピース」がオススメです。
赤ちゃんからお年寄り、ペットまで使うことができる安心の成分で作られた歯磨きジェルで、飲みこんでしまっても体に害はありません。(※フッ化物は配合されていません)
画像:オーラルピース公式HP
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⑤洗口液
洗口液は通常の歯磨きを終えたあとに、プラスアルファで使用するものです。
液体を水で薄めたりなどして、口にふくんで「グチュグチュペッ!」!と吐きだします。
殺菌効果のある洗口液は、誤嚥性肺炎予防に効果が期待できます。
なかには外国産の刺激の強いものもありますので、できればアルコール成分を使っていない商品をオススメします。
また、洗口液とは別商品で「液体ハミガキ」というものもありますので間違えないように気をつけてくださいね。
※液体ハミガキの場合は、表のパッケージや裏の成分表のところに「液体歯磨」・「液体ハミガキ」と記載されています。
★オススメの洗口液は、ウエルテックの「コンクールF」です。
コップ1杯の水に本製品を数滴まぜてすすぐだけで、歯周病や虫歯を予防する効果があります。
画像:いずれもウエルテック公式HP
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⑥口腔保湿剤
ジェルタイプが一般的です。
お口の中の乾燥を防いだり、口腔内に硬くなってこびりついた汚れをふやかして取りのぞきやすくします。
★オススメの口腔保湿剤は、カワモトの「マウスピュア 口腔ケアジェル」です。
しっかりイチゴ風味・ほんのりウメ風味・さっぱりレモン風味と、唾液が出やすそうな3種のフレーバーが用意されています。
画像:カワモト公式HP
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⑦口腔ケア用ウェットティッシュ
口腔内の汚れを拭き取るのに便利です。
ウェットティッシュを1枚指先に巻いて、それでお口の中をやさしく拭きとるようにします。
★オススメの口腔ケア用ウェットティッシュは、オーラルプラスの「口腔ケアウエッティー」です。
携帯用のコンパクトなサイズも発売されていますので、外出時にも大きな荷物にならずに持ち歩くことができます。
画像:Asahiグループ食品公式HP
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“高齢者の方向けの口腔ケアについてもっと知りたい方には!”
各オススメ商品の詳しい使用方法や、入れ歯のケア方法について『介護の歯磨きが劇的に変わる!訪問歯科の衛生士が教える上手な磨き方』でご紹介しています。ぜひコチラもご覧くださいね!
5.まとめ
肺炎はとても苦しい病気です。
しかし、毎日の歯磨きで細菌を減らす事で誤嚥性肺炎は予防が出来ます。
寝る前の歯磨きが一番重要です。
一日の終わりにゆっくり時間をかけて、丁寧に磨くことを毎日心がけていきましょう。