大人とは違う、子供の虫歯の6つの特徴と治療法

子供の虫歯
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子供の口の中をみたら、なんかあやしい場所があった。
子供が歯をやたらといじっているから見てみたけど、よくわからない

このように、お子さんに虫歯があるのか不安に思っている親御さんはいらっしゃいませんか?

今回は実際の写真とともに、子供の虫歯の特徴について説明させていただきたいと思います
自分のお子さんが当てはまるか、チェックしてみてくださいね

1.子供の虫歯で注意すべき6つのポイント

子供の虫歯は大人の虫歯と同じではありません。大人のばあいは、小さい虫歯は経過観察をすることがありますが、子供の虫歯で同じことをすると虫歯があっという間に広がってしまうことがあります。

今から子供(乳歯、はえたての大人の歯)の虫歯について説明をしていきます

1-1.虫歯の進行がはやい

乳歯は永久歯にくらべてエナメル質の厚さが4080%しかありません。また、石灰化度もひくく、永久歯よりもやわらかいといった特徴もあります。そのため、虫歯になると短い時間で深いところまで進行してしまいます

1-2.目でみて虫歯とわからないことが多い

虫歯の進行がはやいので、エナメル質に穴があいていないのに、象牙質に虫歯がすすんでしまっていることがあります。そのため、仕上げ磨きを毎日しているお子さんやフッ素を定期的に塗っているお子さんも、穴があかない虫歯がおこることがあります

1-3.食べ物の影響をうけやすい

子供は食べ物の食べるタイミングや、回数などによって、虫歯になりやすくなります。仕上げ磨きやフッ素塗布をしていても、お菓子やジュースのせいで虫歯になってしまいます

おやつ

虫歯のリスクをさげるポイント

  • おやつやジュースの時間を決めている
  • おやつの時間以外は砂糖を含む食べ物や飲み物を口にしていない
  • 1)おやつのあと、2)食事のあと、3)寝る前に仕上げ磨きをする。フロスも使用する
  • 子供の手に届く場所にお菓子をおかない
  • 親御さんなどに子供を預かってもらうときも、上記のルールを守ってもらう

-4.年齢ごとに虫歯になりやすい場所がかわる

歯がどんどん生えかわるので、そのたびに虫歯になりやすい場所がかわります。歯がはえかけているところが汚れがたまって虫歯になりやすくなります

1-5.自覚症状がすくない

子供は自分の感覚や感情をうまく表現することができないので、虫歯の発見がおくれることがあります。また、虫歯の進み方によっては痛みがほとんどないまま、神経まで虫歯が広がることがあります

虫歯ができた子供のしぐさの変化

  • ごはんを食べるときに、歯をかばっている→かむと痛いのかも→虫歯の可能性あり
  • 指で歯をいじっている→食べカスが歯にはさまっているかも→虫歯の可能性あり
  • 昼間はなんともないのに寝るときに歯が痛む→虫歯が進行している可能性あり

1-6.はえたばかりの永久歯は虫歯になりやすい

はえたばかりの永久歯とは、専門用語で幼弱永久歯(ようじゃくえいきゅうし)といいます。

幼弱永久歯は、歯のあたまの部分は完成しているのに根っこの部分は完成していません。また、歯の表面が成熟をしていないので歯が柔らかく歯の溝がふかくなっています。そして、かみ合っていないので自浄作用がはたらきにくいといった特徴があります。これらは、虫歯になりやすい原因となります。

幼弱永久歯の特徴

幼弱永久歯を虫歯からまもるためには、毎日の仕上げ磨きでよごれをためないことと、シーラントで溝をうめてしまうことがあげられます。

2.子供の虫歯の症例写真

お子さんの口の中を見て「虫歯なのかな?」と心配になる部分はありますか?今から、実際に虫歯になってしまったお子さんの写真を紹介していきます。

2-1.穴があいている虫歯

子供の虫歯

このように、あきらかに歯に穴があいていると虫歯と考えられます

2-2.穴があいていない虫歯

 子供の虫歯

子供の虫歯は進行がはやいので、大きな穴があいていないのに、虫歯になっているときがあります。歯科用のライトで見ると、歯の色がすこし白くなっていたり灰色になっています。家庭用のライトでは微妙な色の違いを判断することは難しくなります。

穴があいていない虫歯は、仕上げみがきやフッ素をぬっているお子さんにもおこるので注意が必要です。歯科医院でエックス線写真を撮ってはじめて発見されることがあります

2-3.神経まで達する虫歯

 子供 虫歯 瘻孔子供 虫歯 瘻孔
↑歯ぐきに膿の通り道ができている

子供 虫歯 瘻孔
↑青い矢印は虫歯
 黄色い矢印は膿の通り道

子供の虫歯は進行しやすく、歯科医院にかかったときにはすでに虫歯が神経まで及んでしまっていることがあります。歯ぐきに瘻孔(ろうこう)という膿の通り道ができてしまっていると、神経の治療をしなければなりません

2-4.前歯のひどい虫歯

哺乳瓶う蝕(ボトルカリエス)

 ボトルカリエス 子供の虫歯

離乳時期をすぎた子供に、長期にわたり寝るときに母乳をあげていたり砂糖のはいった飲み物を哺乳瓶にいれて飲ませると、上の前歯に虫歯ができます。これを哺乳瓶う蝕(ボトルカリエス)といいます。

子供を寝かしつけるときに、甘いものを飲ますといった習慣があるのなら、すぐにやめたほうが良いでしょう

環状(輪状)う蝕

 環状虫歯 子供環状虫歯 子供

歯の表面が全体的にとけてしまっています。これを環状(輪状)虫歯といいます。
歯みがきが苦手で食べかすが歯にたくさん残っていたり、おやつを時間を決めずに好きな時間に食べると、このような虫歯になります。

2-5.はえたばかりの永久歯の虫歯

 幼弱永久歯の虫歯

はえかわったばかりの永久歯(幼弱永久歯)は、とても虫歯になりやすい歯です。仕上げ磨きのときに奥歯に食べかすが残っていないかよく見てあげましょう

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3.代表的な6つの子供の虫歯治療

子供の虫歯の治療は、子供の年齢・性格・経験によって、やり方や回数が変わり、担当歯科医師が子供にあった治療方法を選択します。

それでは、今から子供にする虫歯の治療法を説明していきます

3-1.セメント

虫歯を削ったところに埋める薬のことを言います。セメントにはいろいろ種類があり、虫歯の深さや治療法によってセメントを使い分けます

セメントの特徴

  • 短時間で虫歯の穴をふさぐことができるので、歯科治療に慣れていない子供に使える
  • 色が歯の色とは違うので、審美性がわるい
  • グラスアイオノマーセメントのばあいは、フッ化物イオンが溶け出すという効果が期待できる
  • 強度がなく、つめたところが欠けやすい

3-2.コンポジットレジン

虫歯を削ったところに埋める充填(じゅうてん)物の1つです。大人の虫歯にも同じ材料を使用します。

コンポジットレジンの特徴

  • 唾液がない状態で詰めなければすぐにとれる→子供の場合は防湿がとても難しい
  • 施術が煩雑で、詰めるときに子供が長時間、口をあけていなければならない
  • 乳歯は永久歯と形や成分が違うので、すぐにとれることがある
  • 歯の色に似ていて審美性が良い

3-3.インレー

子供 インレー

大きな虫歯をカバーすることができます

インレーの特徴

  • 強度がある
  • 型とりをしないといけないので、歯科治療にかなり慣れた子供じゃないとできない
  • 間接修復(模型上で技工士にを作ってもらう)ので、歯と詰め物の適合が良い
  • 治療回数が2回かかる
  • 審美性が悪い
  • 乳歯は永久歯より小さく物理的なひっかかりが少ないので、永久歯に比べてとれやすい

3-4.乳歯用既製金属冠

 乳歯金属既成冠 インレー
↑(1) 乳歯用既製金属冠 (2) インレー

とても大きな虫歯ある歯に使用したり、虫歯がたくさんある子供に使用します

乳歯用既製金属冠の特徴

  • 1日でできる
  • とれにくい
  • 既製品なので、歯ぐきと金属の適合がわるい
  • 咬む力が強い子供は、金属に穴があくことがある
  • かみ合わせの変化に対応できる
  • 審美性が悪い

3-5.サホライド

 サホライド サホライド

歯にサホライドという薬をぬって虫歯の進行を抑制します

サホライドをぬると、細菌の侵入経路を封鎖、歯の耐酸性の上昇、抗菌作用などの効果が期待できます。

問題は、虫歯になった部分(軟化象牙質)を黒くしてしまうことです

サホライドの特徴

  • 歯を削らない
  • 歯科治療が苦手な子供に使える
  • 歯が黒くなるので審美性がとても悪い
  • 歯科治療に慣れたら、黒くなったところを再治療することがある

3-6.根管治療

虫歯が神経まで広がっているばあいは、神経をとることになります。神経をとったら薬をつめて、コンポジットレジンや金属でうめたり被せたりします。

根っこの先に膿の袋ができたまま放置をすると、歯のはえかわりや歯並びに悪影響がでることがあります。また、永久歯のエナメル質が変質してしまうこともあります
(下図:Turner歯参照)

これらをふまえると、根管治療は治療時間と回数がかかりますが、歯科治療の苦手なお子さんもがんばって通院して治したほうが良いといえるでしょう

Turner歯

Turner歯Turner歯Turner歯

上の写真を見ると、永久歯がおかしくなっていますよね。これは、上にはえていた乳歯の根っこの先にできた膿から、永久歯が細菌感染をしたことによりおこります。

茶色や黒くなってしまったことを、専門的に“エナメル質減形成”といいます。

永久歯のあたまの部分は、歯の種類によってかわりますが、4~7才に完成します。

歯種によりますが、4~7才の間にとてもひどい乳歯の虫歯があるのなら、治したほうが良いでしょう。あまりに重症なときは、抜歯をすることをすすめられるかもしれません

後継永久歯の歯冠完成

3-6.カリソルブ(CarisolvTM

薬で虫歯になった象牙質をとっていきます。エナメル質にはつかえないので、穴のあいた虫歯に使用します。

次亜塩素ナトリウム溶液、グルタミン酸、ロイシン、リジンをまぜて、虫歯の部分を柔らかくします。

タービンなどを使わずに済むので、歯科治療に慣れていない子供にも使用できます

カリソルブの特徴

  • 振動、不快音、発熱、痛みが少ない
  • 歯科治療が苦手な子供に使える
  • エナメル質には無効
  • 設備がある歯科医院でしか行えない

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4.年齢によって治療法が違う

子供の成長はめまぐるしいものがあり、数か月で身体的にも精神的にも驚くべき成長をします。

そのため、2才児といっても「2才0か月」と「2才11か月」の子供の成長度合いはまったく違います。成長の差や性格の違いも踏まえると、子供は大人と違ってパターン化することができません。そのため、歯科治療も全員が同じ治療をすることができなくなります

もし、同い年のご近所のお子さんが、自分の子供と同じ治療をされなかったとしても、心配する必要はありません。

4-1.3才がボーダー

3才をこえたあたりから、子供の精神的発達がいちじるしくなります。とくに言葉の発達がめざましいので、コミュニケ―ションをとることができるようになります。そのため、大人と同じ治療をすることができるお子さんが増えてきます

4-2.1~2才の子供の特徴

この時期の子供は、情緒面が未熟で自我がありません。そのため母親への依存心が強くなります。また、見慣れない人や大きな音に不安や恐怖をいだきやすい年齢です。そのため、見慣れないスタッフと大きな音のする道具が多い歯科医院は、1~2才児にはたえがたい状況といえます。

説明や説得などのコミュニケーションがとれないので、歯科治療は、痛みなどの不快な感覚をなるべく少なくして、なるべく短時間ですます必要があります。そのため、削らなくてすむサホライドの使用、または作業が簡単なセメントをつめて治療が終了することがあります

この2つのやり方は審美性は期待できませんが、年齢的にこの方法でしか治せないことが多いです。審美的に気になるということでしたら、大きくなってから再治療する必要があります

4-3.3才以上の子供の特徴

この時期の子供は、4-1のとおり、精神面と言葉の発達がめざましくなります。そのため、簡単な言葉で説明をすることによって大人と同じ治療(コンポジットレジン・インレー修復など)をおこなうことができます。

しかし、自分の感情のコントロールを十分にすることができないので、最初は治療を我慢できても、限度をこえると治療に拒否行動をしめすことがあります。そのため、治療回数はかかりますが、子供が治療を嫌がるまえに治療を終了するほうが良いでしょう。

また、ほめ言葉に敏感で、ほめられることで自信を持つようになります。そのため、治療をがんばったお子さんにはたくさんほめてあげてください

 

5.歯科治療が初めての子への配慮

歯科医院はいろいろな音がしたり、薬のにおいがしたりと、子供にとっては恐怖の対象でしかありません。そのため、お子さんが歯科治療にトラウマをもたないように、初回は歯科治療になれる練習をしてもうことがあります

これを行動変容法といい、コミュニケーションのとれる3歳以上の子が適応となります。

5-1.TSD法

  1. Tell  これから行うことをわかりやすく話す
  2. Show  使用する道具を見せる
  3. Do  実際に行ってみる

「これは掃除機だよー。水をすえるよ」
コップの中の水をすってみよう」
「次はお口の中の水をすってみようか」

医院で使う道具を、お子さんと一緒に使って恐怖心をなくしていきます

5-2.モデリング法

望ましい行動を見せて、その行動をまねしてもらう方法実際の診療を見てもらったり、診療の動画や本などを見てもらう方法があります。

「おにいちゃんが歯にフッ素ぬるからみてみよう」
「自分の歯にもフッ素ぬってみよう」

「ママが虫さんの治療するから応援してあげよう」
「次は自分の虫さんの退治してみよう」

5-3.オペラント条件づけ法

ちゃんと出来たらごほうび(正の強化因子)をあたえ、次に来たときに、お子さん自身から行動するように促す方法です

ごほうび(正の強化因子)の例

  • 歯科治療が終わったらシールをあげる
  • 歯医者にがんばって通った日のやつは、子供の好きなものにしてあげる
  • 虫歯の治療が全部おわったら、好きなおもちゃを買ってあげる

6.まとめ

子供の虫歯について説明してきましたが、全体像がなんとなくご理解いただけたでしょうか?子供の虫歯と大人の虫歯はまったく違うので、毎日のケアでお子さんをよく見てあげてくださいね

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